原発と電気料値上げに反対、各地に広まる抗議の「電気代不払いプロジェクト」
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電力料金の自動引き落としを止め、自分の判断で支払い期日と金額を指定して支払う運動を提唱する大畑豊氏 |
- Digest
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- 独占企業に消費者が直接かかわる
- 自動引き落とし停止が第一段階かつ最大のポイント
- 1円不払い運動で企業献金を止めた実績
- 東電からの威嚇・圧力にプロジェクトスタッフが助言
独占企業に消費者が直接かかわる
「福島から東京に移住した女性が『原発事故の賠償もされていないのに事故を起した東電から電気料金の請求書だけ届く』と怒っているのを聞いて、何かできることはないかと考えたんです」
埼玉県在住の大畑豊氏(49歳)は、東電の電気料金の一時不払いプロジェクトに参加したきっかけをこう語る。
「原発に反対しながらその推進・維持する費用まで含まれた電気代を素直に払うことはできません。すでに一時不払いや原発分の電気量を差し引いて払う活動をしていた知人らとともに、『電気代不払いプロジェクト』を立ち上げ、料金の一時不払いを始めたのです」
福島第一原発の事故後、東京電力は政府とともに情報を隠し続け、賠償も進まず、減額されたとはいえ大半の幹部がボーナスを受け取り、副社長以上の報酬をカットしていたが、それも復活。1年以上たって小出しに公開した事故処理関連映像も不完全だった。
また、マスコミ・世論対策として福島原発事故前には、広告費以外に年間200億円以上もの資金(普及開発関係費)が投入されていたと言われており、これも電力料金に加えられている。
電力料金と言えば、これ以外にもあるので一部を整理してみよう。
原発の維持促進に使われる「電源開発促進税」も電力料金の一部(標準家庭で月110円)だし、もし消費税増税が実施されれば、実質的電力料金はさらに上がる。
10月1日に導入された「地球温暖化対策税(環境税)」も電気料金へ転嫁されはじめている。東京電力は、値上げした9月以降の家庭向け電力料金に、今後3年間の増税総額を1カ月当たりに平均して織り込んだ。標準家庭(30アンペア、月間使用量290キロワット時)で14.5円、負担が増えている。
核燃料から出るゴミの、最終処分用地取得のための人件費や広報費も、電力各社が集めた電気料金でまかなっている。
つまり電力料金には、いくつもの“多重課税”が含まれている。にもかかわらず、納税者・消費者・市民は、いま挙げたような実質的税金や電力会社の運営に一切口を出せないのが現状だ。こうした状況に風穴を開ける意味でも、消費者の「電気代不払いプロジェクト」という直接行動は意義がある、と大畑氏らは考えている。
「いま首相官邸前で原発再稼働反対の連続デモが行われたり、各地で同じような行動がありますが、なかにはデモに行けない人もいるかしれないし、そもそも、デモのような行動を好まない人もいるかもしれません。
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電気代支払拒否プロジェクトのビラ。非常にわかりやすい。![]() |
「一方、デモをしようが何をしようが、政府や東電は聞く耳を持たないという感じです。それならば、消費者が独占企業に直接働きかける必要があり、料金の支払いをコントロールすることで、それは実行できるのではないかと思いますし、一人でもできます」
しかし、そうは言っても、いろいろと不安がつきまとう。具体的にどうやって一時不払いや減額払いをできるのか。多くの人は金融機関から自動引き落としにしているし、もし消費者が行動を起こしたら、電力会社はどのような反応を起こすのか
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(上)東京電力から送られてきた振込用紙。(下)「電気代不払いプロジェクト」のサイトから印刷した振込用紙。空白にメッセージを書き、なおかつ請求金額より1円低い料金を振り込む。これを郵便局の窓口に出す。
電気料金支払いを遅延すると、督促状が届く。
請求金額より1円少なく支払っているため、その1円分に対する督促状がとどく。その期限を遅らせると、このように電力供給停止の知らせが届く。
誰も見たことのない約款。この冊子に電力供給の規定が書かれている。これは電力会社に要求すればもらえる。
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まあ、そういう電気料金不払いの対応にかかったコストも全部電気料金に上乗せできるわけですが。
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読者コメント
ここにも林さんの記事発見♪
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