トヨタ系デンソーの元期間工、労災で謝罪と賠償求め提訴 右肩内部組織を損傷も責任認めず
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ケガをした現場の写真をパネルにして説明する高比良肇氏。現場での仕事はもちろん、改善提案を正社員以上に提示し、会社にも貢献していただけに、期間工の安全を軽視する会社の姿勢が許せないと言う。 |
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- 脂汗を流す期間工、見ているだけの正社員
- トヨタ自動車正社員からデンソー期間工へ
- 2年間に493件の改善提案で金賞受賞
- 「高比良さん、仕事やりすぎだよ」と他の期間工
- 期間工が受けた“四重苦”
- 右肩腱板損傷と診断
- 労災支給決定でも会社は責任認めず
- 「高比良氏と会社の主張に齟齬なし」と決定書は判断
脂汗を流す期間工、見ているだけの正社員
2009 年5月28日、(株)デンソー西尾製作所。カーエアコンの部品をプレスする音が響くなか、コンベアに乗って横5センチ縦16~17センチくらいの金属製プレートが次から次へと流れてくる。
期間工の高比良肇氏(当時46歳)は、朝から必死にこのラインで作業を続けていた。流されてくる部品を良品と不良品にわけ、良品だけを箱詰めにして台車で移動させる作業である。
この日はとくに部品がコンベアに同じ方向にきちんと並べられておらず、なかには重なって流されてくるものもあった。そうなると、重なった部分に錆び止め塗料が噴射されなくなる。それを選別する仕事も重なったため、通常の検品とあいまって、高比良氏はだんだん焦ってきた。
ペアを組む正社員Aに手伝ってくれと頼んだが、正社員は良品が積まれた箱を台車で移動するだけ。コンベアのスピードも落としてくれない。おまけに、150個の部品を満載して7キログラムになる箱は17個しかなく、しかたなく2倍の300個14キログラムの大箱を使用し、脂汗を流して仕事をしていたが、そんな高比良氏の姿を、Aは背後に立って見ていただけだった。
始業から1時間ほど経過して右肩が熱くなり、痛みが増すが、なんとしてもラインを止めてはならない、と作業を頑張りつづけた。その間、正社員は何も助けない。そしてついに、後に右肩関節内部を負傷してしまった。
トヨタ自動車正社員からデンソー期間工へ
高比良氏は長崎県の高校を卒業後、大阪などで働き、昭和59(1984)年にトヨタ自動車に入社し、上郷工場で働いた。最初の6か月は準社員で、その後、正社員に登用され、途中で田原工場でも働いたことがある。
およそ8年間働いた後、家庭の事情で1993年にトヨタ自動車を退社し、故郷に戻った。その後、再び愛知県に戻り05年、デンソーに期間工として入社した。1年(一度更新)後に辞め、再び同社に期間工として入ったのが、2006年だった。
入社以降これまでに何があったのかを高平氏本人に聞いてみた。「デンソーの期間工は半年契約で、3年まで。以降は、辞めるか、正社員登用の試験を受けます。時期や残業時間にもよりますが、手取りで月20万円はもらっていました。期間工は雇用調節であるけれど、アルバイト・パートなどに比べれば恵まれているかもしれません。半年勤め上げると満了金50万円が支払われ、それも、半年ごとに上がっていきました。
契約更新の期限3年になったときに、正社員登用の試験を受けましたが、落ちました。課長などは私を推してくれたようですが、当時40代半ばという年齢が大きかったと思います。だいたい若い人が正社員になっていました。
いくら期間工が頑張って改善提案を出して手当をもらったとしても、それなりの年齢の正社員よりも低い
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入社1年ころから高比良氏は積極的に改善提案をした。辞める2か月前の時点で、その数は493件に達していた。
銀賞、金賞を受賞したほか、近くのスーパーで高額の万引きを2回も防いだ功績で表彰されたこともあった。
ケガをした当日の作業をイラストに示したもの。いくら頼んでも正社員がまったく手を貸さなかったことに非常に憤りを感じている高比良氏である。
診断書。
愛知県労働局が会社に立ち入り、労災が起きた場所を写真撮影した。
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読者コメント
「デンソー」「期間工」「 裁判」「 結果」で検索すると結果が分かります。
期間工から落ちると次も期間工、もしくは介護か日雇い土方かハタ振り整理員。これが現実やろな
本人がコメントしているが、裁判は勝ったのですか?報告なしって事は、負けたんじゃないの?
裁判はどうなった?勝った話は聞かないが?
デンソーの裁判は2016年の今年、3月28日に判決がでます。また裁判で、デンソーは労働基準監督署の現場調査にて当事者の2人を隠し、替え玉の作業者に作業をさせて見せ、疾病時の時の作業内容を捏造、労災隠ぺいを工作した事が判明しました。私は2月に労働局に抗議に行く予定です 。あまりにもデンソーは汚い卑怯である。
今から始めようと思っている人。絶対にやめた方がいい
デンソーは労災認定の労働局に対し、労働基準局の判断(不支給)が正しいと反省もなく居直り外道な答弁を言っているそうだ!デンソーは国に対しての挑戦か!!デンソーは何様のつもりなのか?高比良さん、こんな会社は必ず罰がおりる。裁判結果が楽しみです。がんばれ
トヨタを含む三河地域にある、労働監督署は会社と馴れ合いの関係があるのではないかと、疑問に感じる事がある。特に目に見えない傷病については、労災認定は難しいと感じてしまう。他所の地域では労災認定出来た傷病でも、三河地域では労災認定は、まず難しい。これはどういう事なんだろう?
労災の認定医師会の長は、トヨタの診療所担当だから、トヨタ系で労災はほぼ不可能だと思うよ。違う会社にあたるべきだろうね。
11月29日付の中日新聞に、彼の記事が掲載されていました。労災ではなく選挙の記事。変える…響かない。その通りだと実感しました。彼の様にぶれない意思を持つ人が立候補した方が、世の中を変えてくれる気がしました。会社との問題は、きっと彼が勝つと思います。デンソーの中にも、まともな感覚を持った従業員はいます。
トヨタ系はどこも一緒さ。共通してるのは、真面目な奴は馬鹿を見る。社員、期間工?関係ないね。期間工が戦うのは、意味があるかも知れんな。タカが期間工…。されど期間工。期間工も人間…。泣きもすれば、笑いもする。でも会社からすればタダの消耗品。
デンソーは労災にしないよう必死である。特に医局(会社診療所)の医者は「病院をどれにする?」と患者本人に決めさせるし、会社は期間工を使い捨て、相談苦情は満了期間まで話合いの時間を伸ばし辞めて行くのを待つゲス企業こんな企業がある限り格差社会やパワハラは無くならない。法廷が平等ならばこの記事を読んだ市民やマスコミ関係者よ立ち上がれ
だから、トヨタとトヨタ系はブラックなんだって!国が認めても、会社の基準や決まりには問題ない、だから労災として認めないのさ。ただ、今まで泣き寝入りしていた、従業員や期間従業員、派遣社員が声を上げる事は、画期的じゃないかな。
この労働事件のポイントは、すでに県労働局で、作業と負傷の因果関係が認められていることだ。ダウンロードでその「決定書」を全文読める。これで会社に責任がないとは言えないだろう。
トヨタが「表向き」prしている、ムリ・ムダ・ムラの排除。
裏では真逆かよ。おいおい。
非合理そのもの。
まるで田中真紀子が「3大学」を生贄にしたが、本当の「非合理」は追及しないという「非合理・不合理」と同じ。
宣伝のようになりますが、事実これに関連したスキャンダルを「ネイビー通信」でスクープしています。
どこの会社にも、クズ社員はいる。正社員Aってのは、典型的なクズ社員の代表。こういうのが増えると、会社はどんどん悪くなる。
正社員Aより、高比良氏を正社員にした方が、デンソーにとっては良かったのでは?見ているだけの、カカシ社員なんて必要ない。無能な社員を養う程、デンソーは余裕があるのか?裁判が進行すれば、カカシ社員も引っ張り出されるのに期待する。
トヨタ系はどこも似たり寄ったり。真面目にやると馬鹿を見る。今働いている諸君、上に立つ者は、金魚の糞か胡麻すりだと感じないか?そんな奴等が現場の大変さ、痛みが分かるか?私達、期間工の契約は次はない。その穴は社員が入る。そして穴が埋められない時は、解雇問題が起きるだろう。国内生産は難しい、海外移転して仕事はなくなっていく。これからもっと厳しくなる。
トヨタの闇の続編を希望します。トヨタグループの闇と実態を暴露してもらいたい。これだけ事件が続くと、ネタは尽きないだろう。
トヨタを含め、トヨタグループは法律を守れ!人権を重視しろ!これは氷山の一角、泣き寝入りはもっといるだろう。
腐りきっている企業(人間)が多すぎる。身の保身に走り弱者を見捨てる社会になっている。前からかもしれないが、警察などの行政も腐りきっている。警察は犯罪の手助けをしている
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