10年後に何が食えるのか?――藤原和博氏と考える仕事の未来(下)――
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藤原和博=杉並区立和田中学校・前校長、東京学芸大学客員教授。(撮影:梅谷秀司、以下同様) |
(司会・構成:佐々木紀彦)
- Digest
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- 第5回 「年収200〜400万円の“新中間層”が生きる道」
- 第6回「成熟社会でも食える4つのエリア」
- 第7回「団塊世代が引退したら、日本は変わるのか」
- 第8回 安倍さんの教育改革はピントがずれている
- 第9回 学校も大学も、生徒による授業評価が必須だ
第5回 「年収200〜400万円の“新中間層”が生きる道」
渡邉:藤原さんの話では、これから若者の多くは、準公務員的な仕事に就くことになるということでした。ただ、今はそうした制度がないので、難しいですよね。当面、若者はどんなキャリアを追求することになりますか。藤原:まず、一部の人たちは、「絶対自分は人の100倍努力してグローバルで成功し、年収を今の10倍から100倍に持っていく」という方向に進むと思う。たとえば、オリンピックのアスリートを目指す人もいるわけじゃないですか。そういう人は、スポーツやビジネスの世界に限らず、あらゆる分野で増えてきているんではないかな。
渡邉:増えていますかね?
藤原:増えていると思うよ。サッカーで言うと、私が小学生のとき、世界レベルで活躍していたのは釜本邦茂だけだった。それが今では、海外組が20人以上になっている。日本代表メンバーも、海外で活躍している選手ばかりになったでしょう。これはすごいと思うんですよ。
ほかにも、欧州が源流のクラシックバレエやピアノやバイオリンでも、日本人がマスターになったり、グランプリを取ったりしているでしょ。そこにはちゃんとおカネも落ちている。だから実は、ものすごく多様化した中で、世界に出て行っている人たちは多いんですよ。僕らが気づいていないだけで。
ただ、問題になるのは、普通にサラリーマンをやっている人たちだよね。渡邉さん流に言えば、その人たちは、どこにジャパンプレミアム(日本人ならではの価値、差別化)を見つけるかということですよね。
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渡邉正裕=MyNewsJapan編集長![]() |
藤原:時代の流れに気づくか気づかないかは、専らその人たちの責任だと思う。渡邉さんは、そういう人まで救おうという気持ちを持っているのかもしれないけれど、それは難しいんではないかな。
渡邉:ただ、そういう人が生活保護に頼らざるをえなくなると、税金の負担が増えてしまいます。だから、結局はみんなで支えないといけない。犯罪と一緒で、国全体として何とかしないといけないわけですよ。
藤原:なるほど、そうか。国家の安全保障問題だと。
渡邉:その人の子どもまで被害者になるっていう話になってくるので。
———では、そういう人はどうすればいいのでしょうか。
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藤原和博(ふじはら・かずひろ)=杉並区立和田中学校・前校長、東京学芸大学客員教授。 1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08~11年、橋下大阪府知事ならびに府教委の教育政策特別顧問。著書に、人生の教科書シリーズ、『リクルートという奇跡』、『つなげる力』等。最新刊の『坂の上の坂』が10万部を超すベストセラーに。 ![]() |
渡邉:ダメですね
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『10年後に食える仕事食えない仕事』と『坂の上の坂』
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