元旦の早朝からイジメで泣く

今年の元旦、始業の朝８時30分すぎから、不愉快なトラブルが起きた。

「あまりに情けなくて元旦早々に涙がでました。なぜこんな仕打ちをされるのか・・・」

と嘆くのは、ワタミ手づくりマーチャンダイジング相模原センターで働く橋本和子さん（仮名）だ。同社は、６７０カ所のワタミグループ外食店舗や介護施設に提供される食材の製造販売のほか、介護食、保育園、学校などの給食事業も行う。全国12カ所のセンターと工場をもち従業員約3800人が働く。

元旦早々にパートのおばさんが泣きながら仕事をしているとは穏やかではない。しかも、心労のあまり２回、心療内科に駆け込み、軽症うつ症状と診断されたという。

実は、日産自動車グループ内で起きている２件の鬱病解雇事件を調査しようと、筆者が神奈川県央コミュニティ・ユニオンを訪れた際に、このパートいじめを知った。

人数の少ない狭い事務所で現在も働いているため、「橋本さんが直接インタビューに応じてしまうと、さらに火の粉が降りかかる恐れがある」と組合が判断したため、組合が過去1年2か月にわたり聞き取り調査し、橋本さんが答えた内容を教えてもらう形にした。以下はその詳細である。

「2003年10月、新聞の折り込み広告を見て応募し採用されました。最初は時給780円で、朝８時30分から午後５時30分までの契約。休憩は60分ですが、まず45分とっておいて、午後の仕事のようすをみて残りの15分をとります。

仕入れに関するデータを入力したり、帳票と照合したりするのが主な仕事でした。小学校の教室よりやや狭い部屋で、だいたい10人～12人くらい働いています」

このような低賃金のパート労働者でもグループの総帥・渡邉美樹会長のビデオレター（通常５～10分）の視聴を毎月義務付けられ、さらに感想文を書く。

れっきとした業務だが勤務時間にビデオ視聴と感想文執筆は許されず、休憩時間を削るしかないという。

「パート扱いですが、厚生年金など社会保険はあります。ボーナスはありません。契約は４か月ごとの更新の繰り返しで、少しずつ時給が上がり、860円まで行きました」

一番給料が高かったころの橋本さんの給与明細書。この翌月から時給が856円と４円下げられた。さらに業務が削られて労働時間がすなわち賃金が減り始めている。

特定のパート従業員だけ時給引下げ

「契約を繰り返すときに、自己診断が二十数項目くらいあり、たとえば、『無断欠勤がなく、やむを得ぬ欠勤が月１回以内』『渡邊美樹会長のビデオレターの視聴と感想文執筆を月１回しているか』『ユニフォームを清潔に保ちきちんと着用しているか』というようなものです。

すべてできているので、全項目にマルをつけました。上司も同じ項目にマルをつけます。ところが２０１１年12月勤務分からから４円下げられ時給856円にされてしまったのです