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MBA留学で得るもの、失うもの “総額5千万円”の投資対効果は「ワクワクするか」が基準

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「ダイバーシティー豊かな環境で鍛えられたい」2013年2月現在、26歳。現在大手企業の入社4年目だが夏に退職し、9月にバルセロナのIESE 入学。ブログはこちら→『IESE MBA、そして Entrepreneurへ
 人材市場がグローバル化するなか、日本人のMBA留学は、米国の大学が減少傾向にある一方、欧州の大学は増加傾向にある。2013年卒業組で10人超を数えた大学だけでも、『ロンドンビジネススクール』『バーミンガム』『インシアッド』『IESE』『IE』『HEC』と6校に。なかでもIESE(バルセロナ)は日本人21人と、米国含めた全MBA2013年卒のなかで最多(アクシアム調べ)。今夏より、会社を辞め、1千万円超のローンを組んでまで自費でIESEに留学する社員(26歳)に、その目的や留学準備、選考プロセス、必要経費、そして「20代でサラリーマンを降りるキャリア」の意義について、具体的に聞いた。
Digest
  • 「脱藩者」扱いの日本企業
  • 「キャリアチェンジの可能性が拡がる」
  • 日本人的な「間」の感覚で新型VCを
  • 「米系は上院議会、欧州系は国連」
  • メガバンクに門前払いされた留学資金融資
  • 投資対効果をどう考えるべきか
  • 入学試験対策、「濱口塾」でよかったこと
  • 「審査官と顔見知りに」「早い者勝ち」な選考実態

「脱藩者」扱いの日本企業

僕の勤め先は、誰もが知っている国内の大企業で世界シェアも高いですが、カルチャーは普通の古い日本企業と同じで、留学に行く社員は「脱藩者」のイメージを持たれます。だから現在は、名前も顔も出せません。

実際に、社内で僕より年次が上の先輩で、僕と同じように海外留学に行きたいという人がいたのですが、先輩に相談したところ激怒され、村八分みたいにされて、追い出されるように会社を去っています。

その人は結局、自力で何とか留学しましたが、僕はそれを知っていたので、同じ部署の上司も含め、誰にも相談できず、信頼できる他部署の先輩1人だけに相談して、推薦状を書いて貰いました。

だから、連絡も社内メールを使いませんでしたし、ものすごく気を遣いました。私の在籍する会社は、若い人に大きな仕事を任せてくれる等の点では、フラットなカルチャーだし、感謝もしているのですが、会社を辞めていく人との人間関係構築・維持という観点では、他の多くの日本企業と同様、オープンなわけではないのです。

日本企業に在籍していると、概して、このような逆境があります。でも、それを理由に挑戦を諦めてしまう受験生は、馬鹿げていると思うのです。

「キャリアチェンジの可能性が拡がる」

企業から出るなら、上限35歳がリミットでしょう。30代後半では、やり直しが利きにくくなり、脱サラが難しくなります。

だから、35歳までに、実力を高め、箔のつくキャリアを身につけ、できれば起業も経験したい。そう考えると、僕のようにキャリアチェンジを目指す場合、28歳くらいまでがリミットです。今回、MBAを取得して帰国する予定の年には29歳になっているので、違うことをやるチャンスとしては、最後でした。今の会社で身につけるよりも、MBAに行ったほうがキャリアチェンジの可能性が拡がる、と考えました。

MBA留学や転職は、起業よりも先のほうが、当然よい。若いうちは、まだ給料が安くて、機会損失が小さいからです。30代の給料2年分と20代の給料2年分では、かなりの差があります。キャリアを身につけて帰ってきてから、それを活かせる期間も、早く行くほど、長くなります。

MBAは26~28歳で行くのが、アメリカ、欧州、アジアを問わず、世界の平均。日本人は28~32歳くらいが平均で、少し歳を食っていて、クラスの中でも年上のおじさん的なポジションとなることが多いと言われています。平均29歳の学校となると、かなり珍しい上に、Exective MBAに近いイメージです。IESEは、平均27歳台(1学年 280人)で入学し、29才台で卒業します。

日本人的な「間」の感覚で新型VCを

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Letter of Reccomendation。推薦者2名の記載が必須で、うち1人は社内であることが望ましいとされる。
エントリー提出資料全体としては、
Aパーソナルデータ、
Bテストスコア、
Cエデュケーション、
D推薦者、
Eスポンサーシップ…と続く。

僕がMBA留学を考えたのは、10年後までに、新しい形態のVC(ベンチャーキャピタル)を創りたい、という目標があるから。従来型のVCは、投資先とVCとの距離が遠いと思うんです。だから、もっと距離を縮めて、日本人的な「間」の感覚でやりたい。

たとえば、プルデンシャル生命やソニー生命のセールスの人も、各会社の支援や仕組みがあるからこそ、正社員の地位から“脱サラ”して、個人事業主として、独立的な立場で仕事ができている。一から全て自分でやるとなると、リスクが高いし、準備が大変すぎて、ハードルが高すぎる。事業の立ち上げでも、これと同じことができると思っているんです。

「起業したかったけど、結婚してしまったからリスクはとれない」という人は実際に知っているし、そういう、少し支援があればできそうな人が組織に埋もれてしまうのは、もったいないと思うのです。もっとベンチャービジネスにチャレンジする日本人が増えれば、経済も活性化します。

日本では「アイデアを生み出す力」が、スキルの1つとして認定されていない

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奨学金申請に必要なエッセイ(2本のうちの1本)。大学は貸してくれたが、日本の銀行は門前払い。卒業後に最も稼ぎやすいMBAトップスクール生にさえ貸さない。「もっと国内にビジネスを作り出す人材にカネを出すべき」

成績証明書の提出が必要。将来、留学を考えているなら、平均でB以上をとっておけば、選考で不利にはならないと言われている。

「『20代で大企業サラリーマンを降りるキャリア』が、もっと主流になるべきだ」

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 2017/01/27 00:56
 2016/12/24 23:54
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