”追い出し部屋”の文芸社、今度は労務管理部長が“個人”で、ツイッターやウェブサイトが名誉棄損と内部告発者を提訴
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東京都新宿区にある、文芸社の本社。 |
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- 地下倉庫からの脱出を勝ち取った小川さん、しかし…
- 労務管理担当部長が、個人名で提訴
- 「真の目的は組合活動威圧だ」
- 田熊部長を直撃
地下倉庫からの脱出を勝ち取った小川さん、しかし…
自費出版分野では国内最大手の出版社である文芸社(瓜谷綱延代表取締役社長 本社東京都新宿区)。
同社に2010年5月入社し、11年6月からは子会社の日本文学館(米本守代表取締役社長 本社東京都新宿区)に出向していた営業マン小川秀朗さん(42歳)は、営業成績優秀だったにもかかわらず12年2月に理由も告げられないまま自己都合退職を強要された。そしてこれを拒否した結果、「原稿管理課」なる部署への異動を命じられた。
原稿管理課は小川さんのためにわざわざ新設された小川さん一人の部署で、事実上、小川さんを自主退職に追い込むためのものだった。ここで小川さんに与えられた業務は、(以前までは単にそのまま廃棄していた)保存期間を過ぎた原稿をテキストデータ化しろ、というもの。日本文学館には多い月で1000本以上の原稿が送られてくるが、このうちプリントアウトされて送られてきた原稿を全て手作業で入力しろと命じてきたのである。
印刷された原稿を読み取り、テキストデータに変換するOCR(テキスト変換)ソフトは1万円も出せば買えるものであり、これをわざわざ手で打ち直す作業にはなんら合理性がなかったが、それにもかかわらず文芸社は、小川さんにこれを厳命。小川さんは外部の労働組合「東京管理職ユニオン(池袋)」に加入し、昨年9月の団交でソフトを導入させたが、すると同社は、印刷原稿に加えて手書き原稿の入力をも命じ、あくまで手入力を継続させた。
また、この作業に1時間の休憩を挟んで1日8時間、厚生労働省の定めるVDTガイドライン(註)を無視して従事させられた結果、小川さんの両手の指は、最初の1ヶ月で10本とも関節炎になってしまった。
小川さんは医師から手指を使った作業を禁じられ、会社にも診断書を提出したが、それに対して会社は、小川さんに地下2階にある倉庫行きを命じ、そこで廃棄原稿を束ねるホッチキス針やセロテープを(当然ながら手を用いて)外し紙だけを取り分ける「リサイクル作業」を毎日2時間行うよう指示。それ以外の時間は相変わらず入力を行うよう命じてきた。
日本文学館=文芸社によるこの”追い出し部屋”の実態については、筆者が今年4月5日付の当サイト記事「『廃棄原稿を入力しろ』 現役社員が語る文芸社“追い出し部屋”の手口」で既報。続く4月23日には、フジテレビの朝の情報番組『とくダネ!』が追いかけたほか、同25日には「レイバーネット日本」のインターネット放送局「レイバーネットTV」でも特集された。
『とくダネ!』では文芸社や日本文学館は「都内の出版社」とされ、具体的な固有名詞は伏せられたものの、メディアの取材が重なるにつれ、社内の雰囲気は重苦しさを増していったという。
並行して小川さんは文芸社を相手取り、一方的に約30%も減給された賃金の支払いを求めて東京地方裁判所に労働審判の開始を申し立て、受理された。
そしてその第1回目の期日である7月9日を目前にした6月27日、「地下2階倉庫にセキュリティー対策を施す」との理由により、地下倉庫でのリサイクル作業は「無期限で」中断となることが伝えられた
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日本文学館の地下2階倉庫にある”追い出し部屋”。小川さんはここからようやく出ることができた途端、今度は労務管理担当部長から個人名で訴えられた。
小川さんの携帯に毎日のようにかかってきた、公衆電話からの嫌がらせ電話の履歴。
田熊貴行氏の自宅。仮に田熊氏が文芸社の傀儡として利用されているなら、彼もまた被害者の一人ということになるが.....
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よくわからんな。長年務め上げた会社を理由もなく追い出されたって話かと思いきや入社2年か。自己都合退職の強要だけを争点にして金取って、体壊す前にさっさと辞めればいいのにとも思うが。
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読者コメント
文芸社に支払った費用の返金の話、どうなってますのやら。ずっーとお願いしてますけどね。単なる釣り餌とちゃいますよね。
(続き)そうすれば、ブラック企業や嫌がらせ人事に対抗できるのではないでしょうか?会社組織としてではなく、”組合員経由での嫌がらせ”というやり方は、大手製造業も行うやり方だったかと思います。番組のほうも視聴しましたが、小川さんを応援したくなりました。がんばれ小川さん!
VDT作業(ガイドライン)には、事業者に対する強制力や罰則がないから、こうのようなことが起こるのではないでしょうか?関節炎とのことですが、肩凝りや首の凝りはどのくらいだったのだろうか?小さな会社は、疲労度を管理する仕組みがほとんどないです。たとえば、弁護士と医者が一緒になって労働者側の立場で疲労度を認定や管理やサポートするなサービス企業が出てきてほしいものです。
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