2013年での家庭用マーガリンワースト5。逆に含有量が少ない製品は、2つめの画像(52製品の全データ一覧)参照。
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米国が新たにトランス脂肪酸の全面禁止へ乗り出す一方で、日本は表示も規制もない野放し状態が続く。直近5年の家庭用マーガリンを調査すると、企業によって、その含有量に大きな違いが見えた。J-オイルミルズはマーガリン製造段階のトランス脂肪酸発生をゼロにし、最終製品でも1%前後と少量を達成。一方、日本生活協同組合連合会『コーンソフト』のように2008年と比べまったく低減せず、いまだ10%超の商品も。この日生協マーガリンは、毎朝パンに塗る量だけで平均摂取量の2倍近く摂ってしまう。外食ではファストフードのフライドポテト揚げ油で、モスバーガーやロッテリアが率先して改善したのに対し、日本マクドナルドだけは頑なにトランス脂肪酸を含むショートニングを使い続ける。日本では表示義務がないため、心疾患に不安のある人は、本稿を参考に消費行動することで自衛していただきたい。
【Digest】
◇アメリカで全面禁止検討へ
◇「影響は小さい」と恣意的判断下す日本
◇「マーガリン製造時のトランス脂肪酸はゼロ」Jオイルミルズ
◇5年前から改善が見られない日生協
◇ファストフードのワースト1位はマック、2位はKFC
(アメリカの新しい規制案の詳細がわかる日本語翻訳資料付き)
◇アメリカで全面禁止検討へ
アメリカの食品医薬品庁(FDA)が11月7日に、食品中のトランス脂肪酸についてさらに規制を強化する案を発表した。
トランス脂肪酸とは、マーガリンやショートニングなどの原材料となる「部分的水素添加油」を製造する際に一部不純物として発生する脂肪酸だ。本来常温では液体である植物油を、マーガリンなどの固形に加工するために水素添加する過程で発生してしまう。摂取すると心臓疾患の一つである冠動脈疾患のリスクを上げることが確認されていて、世界各国で規制の取り組みが進められている。
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世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量の目安として1日の総エネルギー摂取量の1%以下にすべきだと勧告している。1日のエネルギー摂取量を1800kcalだとすると1%は18kcal、脂肪だと2g相当となる。
ただ1日2g以下なら安全ということではない。トランス脂肪酸自体は必須栄養素でもないため摂取量ゼロが望ましい。しかし一方で必須脂肪酸などの栄養素の不純物として存在するため、そうした栄養素の摂取が欠乏しない範囲でできるだけ低くすべきであるというのがWHOやEU、アメリカなどの食品行政機関での一致した意見だ。
アメリカではこれまでに、栄養成分表示の中にトランス脂肪酸の表示を義務づけるなどの措置をとってきた。
またカリフォルニア州やニューヨーク市など一部の自治体では、レストランなど外食産業に対して、一食当たり0.5g以上のトランス脂肪酸の使用を禁止する規制などを行ってきた。
それらの規制の結果、アメリカ人の平均的なトランス脂肪酸の摂取量は劇的に減り、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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市販の家庭用マーガリン52種類のランキング(100グラムあたり含有量の多い順) |
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食用精製科用油脂の生産量の推移。トランス脂肪酸の原因となる「硬化油」の減少が目立つ。J-オイルミルズ社のマーガリンは原材料の「食用精製加工油脂」はトランス脂肪酸の出ないエステル加工油脂を使用とのこと |
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主なファストフードでの揚げ油の聞き取り調査 |
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