大庄・元トップ店長が語る「ブラック企業のいいところもお伝えしたいと思います」
在職中は、都内の「庄や」「こりゃうめぇ」「日本海庄や」八重洲店の計3店で店長を務め、各店とも歴代最高売上高をマーク、いまだ破られていないという“ミスター大庄のスーパー店長”。2012年に、FCではなく完全独立を果たした。既に大庄時代より高収入に。店舗数を増やした後、居酒屋への人材派遣業も手掛けるのが次なる目標。 |
- Digest
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- 「なにか違う原因あるんじゃないの?」
- 夢が叶えばブラックじゃなくなる
- 大庄のいいところとは
- 社員をうまく利用してその気にさせる社長
- 「若さを浪費してバカじゃないか」と父
- 利益を出さないとプライドが保てない会社
- 上層部の発言はブラック連発
- 違法労働分の利益がなくなり、業績下方修正
- 給料には満足していた
- 独立志向を表明するとSV以上にはなれない
- 27歳、中途採用枠で入社
- 1年で8~9割辞めちゃう時代
- 大庄のFC制度で条件満たせず
- 「熱が冷めるのが一番怖い」と独立
- モチベーションは人材育成
「なにか違う原因あるんじゃないの?」
滋賀県で過労死事件が起きたとき(2007年8月)は、「日本海庄や八重洲店」(180席)で店長をしていました。社員17人、バイト30~40人、年4億円弱を売る大型店で、カラオケなど併設なしの単店としては大庄で最大の売上を誇る店でした。
午前10:30出勤~23:30退勤が普通で、休憩が2時間。12時間~14時間拘束で、休みは月4日だけ。事件が起きるまでは、月26日×12~14時間=約300時間労働、が普通でした。
過労死について、当時の自分のまわりの社員の受け止め方としては、「何か違う原因あるんじゃないの?」という感じで、社員も含め、全般的に、深刻に受け止めていない空気でした。それが、労災認定(2008年12月)された直後から、勤怠情報をダウンロードできなくなって、おかしいぞ、と。証拠をとらせないためでしょう。
それで、僕がやめる3年前、「名ばかり店長」らに対する未払い残業代として、計5億円を払ったんです。(※2009年10月末に“名ばかり管理職”問題を受けて07年9月~09年8月の未払い残業代を約1200人に対し払った)
僕は20万円だと言われて、そんなはずはない、そんなものはいらない、と。100万円払われた人もいました。当時、残業時間は「(勤怠システムに)打つな」と言われていて、どうせ定額だから、と打たなかったんです。
そうしたら、20万円だけだ、と。ひどい話ですよね。当時の部長は細かい説明もなく、とりあえずハンコを押せ、とそればかり。僕らにとっては大切な事なのに。僕は「そのカネはいらないから今すぐに(社内のフランチャイズ独立制度で)独立させてほしい」と言いました。でもその部長は「結婚してないからダメだ」と。
夢が叶えばブラックじゃなくなる
労働環境として、ブラックかどうか?といえば、はっきり「ブラックです」と断言できます。社員の8割以上の人が、ブラックだと思っている会社でしょう。
部長や上司が部下に対して行う暴言や指導もパワハラ的でブラックだったし、労働時間もブラックです。週休2日でもないし、ほとんどの店でサービス残業をやっている。
ただ、夢が叶えばブラックじゃなくなるんです。独立して自分の店を持つことを夢見ている人も多い。
ブラックじゃない企業で働けば、みんな幸せなのか?と思います。みんな足並み揃えたら、幸せなのか。資源もなく、勤勉さ以外に売りがない日本人が、それでいいのか、と思うんです。
大庄のいいところとは
大庄には、いいところもあります。遺族のかたの心情としては「とんでもない」と言われても仕方ないですし、それを承知のうえで、あえてお伝えしようと思います。
1:店長の裁量権が大きい。イベントなど、独自でできてしまうのが、大庄の特徴ですこの先は会員限定です。
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現在の店のメニュー。メニューを考える調理長との折り合いの付け方を身につけたことが大庄での収穫。調理長も大庄の元同僚。
大庄店長時代の給与明細。つけられる残業時間は決められているため、事実上、毎月の支給額は一定額。別途、ボーナスが最大20万円×2回。
大庄のキャリアパスと報酬水準。独立志向の人は、管理職クラスにはなれない。
年間離職率8~9割の時代に入社。研修では、デキが悪いと殴られたり、空気椅子で授業、などのスパルタ式で、休み時間に失踪する人も
48席ある現在の店(東京都板橋区)。元焼き鳥屋の居抜き。原価率4割と高めだが利益を出している
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それはそれでいい。死人が出るような職場には誰も就職しようとしなくなるだけ。
年間離職率8~9割って、よく組織を維持できますね・・。
ブラック企業で生き残ったスーパー店長のインタビュー
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読者コメント
かつて体育会系の部活などで、コーチや先輩などの指導者からスパルタ式の指導を受けた人ほど、いつのまにかに辛い体験が美化されて良い思い出となり、後輩たちにも同じ事をする。この元店長とやらも過去の体験の「美化」という点では同じこと。(本人も気がついていないだろうが・・・そう!洗脳と似ている)
さて、人間は「仕事のため」に生きているのであろうか?、それとも人間は「生きるために」仕事をしているのであろうか?
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