部下への暴力は「何十回」「愛があればいい」 ステーキのくいしんぼパワハラ上司が証言、店長の過労死裁判で
渋谷センター街。和孝さんが働いていた「ステーキのくいしんぼ」の看板もある。 |
【Digest】
◇エリアマネージャー、部下のシャツを燃やそうとする
◇殴る蹴るの暴力も 「目が腫れていたり、唇が切れていたり」
◇彼女も証言 「殴られた傷が腫れていた」
◇「あまりのひどさにショック」と目撃者
◇「指導のために叩いた」 会社側、暴力認める
◇証人尋問:暴力について(1)
◇証人尋問:暴力について(2)
◇証人尋問:暴力について(3)
◇証人尋問:暴力について(4)
◇証人尋問:暴力について(5)
◇証人尋問:暴力について(6)
◇証人尋問:携帯電話をゴミ箱に捨てたとする遺族主張について
◇証人尋問:シャツを燃やそうとしたことについて(1)
◇証人尋問:シャツを燃やそうとしたことについて(2)
◇証人尋問:シャツを燃やそうとしたことについて(3)
◇証人尋問:「謝罪の気持ちはあるか」と聞かれ
◇「暴行あった」と労基署 調査報告で明らかに
◇「和孝が毎日12時間働いていたことは知っていた」
◇「あなたの会社はそういう会社だったのですね?」裁判長が質問
◇ブラック企業ではありません! 会社従業員が必死の訴え
◇証人尋問:裁判長の最後の質問
◇その他の会社側主張
◇資料ダウンロード
渋谷センター街の24歳の飲食店店長が連続勤務90日目に自殺した事件の民事裁判で、店長に暴力をふるっていたエリアマネージャー(当時)の証人尋問が、今年6月、東京地裁であった。
マネージャーは、部下への暴力の是非を聞かれると「愛があればいいと思う」と述べ、死亡した店長に手をあげた回数は「一度や二度ではない。何十回というくらい」と証言、遺族への謝罪の気持ちも「今はない」と明らかにした。
暴力や長時間労働の問題をめぐり、裁判長が「あなたの会社はそういう会社だったのですね」「そういうことをやっていた会社なんですね」などと語気を強める場面もあった。
死亡したのは、株式会社サン・チャレンジが経営する飲食チェーン、「ステーキのくいしんぼ」渋谷センター街店の店長をしていた和孝さん(死亡時24歳、姓は匿名)。
証言などによると、和孝さんは日頃からこのマネージャーの暴力を受けていたほか、毎月200時間ほどの残業を強いられ、連続勤務90日目の2010年11月8日夜、店舗ビル内で過労自殺した。
労災認定した労働基準監督署の調べによると、和孝さんが死亡前7か月間に取得できた休みは、わずか2日だった。
遺族によれば、同社は自殺当日、「息子さんは出勤途中、知らない人に刺されて死んだ」と説明したという。
遺族は12年5月、損害賠償などを求めて会社とマネージャーらを提訴。
これまでの裁判で、会社側は一貫して責任を認めず、「苦痛なら退職しているのは明らか」「親子関係が悪化していた」「恋人との破綻が原因」「自殺に偽装した他殺の可能性を否定できない」などと主張し、今年8月の弁論最終日には、「脱法薬物を使用していた疑いがある」とする新しい説明を裁判所に提出した。
東京都監察医務院と渋谷労働基準監督はそれぞれ、裁判以前の段階で、「死因は自殺」(医務院)であり「業務以外に要因はない」(労基署)とする結論を出しており、会社側の主張は、公的な結論を覆そうとするものだ。
死亡までの詳しい労働実態や連続勤務の様子、会社側の異常とも思える主張については、2回に分けて報告済みです。なお、会社側は1本目の記事に対して「即刻削除せよ」との警告文を筆者宛に送った経緯があり、このことは2本目の記事に書きました。全体を把握するためぜひお読みください。 ◎渋谷センター街飲食店の24歳「名ばかり店長」が過労自殺 月200時間残業でもパワハラ上司が休み与えず |
暴力の証言、エリアマネージャーの一問一答、会社ぐるみを疑う裁判長の質問、発言ミスをきっかけに会社側の主張が崩壊していく様子から、上司や会社側の、あまりにブラックな考えが明らかになった。ブラック企業の行動パターンや発想法とはどういうものなのか――以下、裁判で明らかになった驚愕の事実を詳細にみていこう。(肩書きなどはすべて当時)
◇エリアマネージャー、部下のシャツを燃やそうとする
和孝さんが死亡する約1年前の09年7月深夜、梅田というこのエリアマネージャーは、和孝さんのシャツに火のついたライターを近づけ、嬉しそうにニヤニヤ笑いながら燃やそうとした
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渋谷区恵比寿西の株式会社サン・チャレンジ本社。
会社側の最終書面の冒頭部分と結論部分。
梅田氏の尋問調書の最終部分。
(上)ブラック企業でないと主張する陳述書の一部(下)薬物について述べる陳述書の一部。
(上)遺族の最終陳述(下)会社側の回答書。遺族は回答内容について、「面会拒絶は嘘。なぜ故そこまで嘘をつくのかわからない」と述べている。
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「死亡した店長に手をあげた回数は「何十回」と証言、遺族への謝罪の気持ちも「今はない」」。会社側は裁判で「「苦痛なら退職している」「自殺に偽装した他殺の可能性」「脱法薬物を使用していた疑い」などと主張」
恐ろしい…
どんな肉体の変調や暴行も「医師の診断書」に変換しておくことが大事なんですね
恐ろしい・・・同じ時代、文明を生きているとは信じられない。
エリアマネージャーの梅田は殺人罪で逮捕されるべき
以後、何があってもこの会社の系列店は利用しない。
クズの中のクズ
マネージャーは、部下への暴力の是非について「愛があればいいと思う」と述べ、死亡した店長に手をあげた回数は「何十回」と証言、遺族への謝罪の気持ちも「今はない」と明らかにした。暴力や長時間労働をめぐり、裁
これは異常
上司も上司なら会社も会社だった。危うきに近寄らずしか術は無いな。
会社が殺してるんだから自殺に偽装した他殺というのは正しいのでは
正直で良い
yabai
すごい
“会社側(サン・チャレンジ)は裁判で「苦痛なら退職している」「自殺に偽装した他殺の可能性」「脱法薬物を使用していた疑い」などと主張している”
会社側の主張,自分の立場や状況に対するまともな判断力のある人間の主張とは思えないんだけど会社だし顧問弁護士とかいる気がするしマジでどうなってんだ
「部下への暴力は「何十回」「愛があればいい」 ステーキのくいしんぼパワハラ上司が証言、店長の過労死裁判で」。わかりやすいまでのパワーハラスメント
愛は地球を救うかも知れないが、人を殴って自殺にも追い込むそうです。/ちなみに、ワタミも従業員は家族と言い張り労働組合がないよ! http://tm2501.hatenablog.com/entry/2014/07/01/054912
愛よ
facebookコメント
読者コメント
飲食店チェーン「ステーキのくいしんぼ」の店長だった男性=当時(24)=が自殺したのは過酷な長時間労働と上司によるパワーハラスメントが原因だとして、両親が経営会社「サン・チャレンジ」(東京)などに約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で東京地裁は2014年11月4日、約5790万円の支払いを命じた。
客観的かつ総合的に鑑みて、完全に刑法の暴行罪、傷害罪などの刑事責任を問われる形で暴力を振るったエリアマネージャーは逮捕および起訴されるべき極めて悪質な事件にも関わらず、なぜエリアマネージャーは逮捕されないんだよ。
遺族側は被害届を提出するなり。刑事告訴するなりしなよ。
これは完全に刑事責任を問えるだけの悪質な暴力事件だ。
記事冒頭にさらりと書いている「あなたの会社はそういう会社だったのですね」という裁判長の言葉は、裁判を通して重要な伏線になっています。記事後半で伏線を回収し、問題の本質が分かるように書きました。ぜひ最後までお読みください。(筆者)
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