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娯楽用マリファナが合法化された米国コロラド州を現地ルポ――「アルコールより危険がない」(オバマ大統領)を検証する

情報提供
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コロラド州で発行されているコロラド・マリファナガイド。マリファナ成分入りの食べ物やヴァポライザーなど、合法化によって新たに商品化されたプロダクトの紹介や、どこで吸ったら良いかなどの説明が書かれている。
 2014年1月1日、アメリカのコロラド州において、全米史上で初めて娯楽用マリファナの販売が合法化された。初日から行列ができるほどの人だかりだったというが、その後、どうなっているのか。自分の目で確かめるべく今年8月、州都・デンバーや、コロラド大学のあるボルダーを訪れた。実際にマリファナ・ショップに行き、葉っぱ(サティバ種)、マリファナジュース、マリファナキャンディなどを購入し、次々に試した。オバマ大統領が「自分も吸っていたし、アルコールよりも危険がない」と言うマリファナの危険性を、自身の体験をもとに、アルコールやタバコと比較し、お伝えする。現地では、マリファナ入りのお菓子を子供が普通のお菓子だと思って食べてしまい小児病院に運ばれるといった問題も起きている一方、犯罪の減少や経済面での効果も見えてきており、合法化の流れはカジノより速い可能性がある。マリファナに対する投資まで考えるアメリカという国の、新ビジネスを創り出す魅力も感じた。
Digest
  • デンバーの街中に何件ものマリファナショップがある
  • 外人旅行者でも簡単にマリファナが手に入る
  • 品種や種の違いなど、マリファナの種類に驚き
  • 手には入れたが、いったいどこで吸えば良い?
  • 合法化でコロラドに移住する人も増えている
  • マリファナビジネスで約11億円の税収増加
  • 合法化により犯罪も激減し節税効果も
  • マリファナ入りのお菓子を子供が食べて問題に
  • マリファナ・ジュースやキャンディにトライ
  • オバマ大統領「自分も吸ってたしアルコールより危険がない」
  • マリファナの危険性と酒やタバコと比べて
  • 各州で進むメディカル・マリファナの合法化
  • 大塚製薬が開発販売しヨーロッパで商品化のSATIVEX
  • 合法化にあわせてマリファナに投資する

 2012年11月、娯楽用のマリファナの使用に関して、コロラド州は住民投票を実施。その結果、54.83% 対 45.17%の賛成多数により、娯楽用のマリファナの合法化が決定した。これによって、少量(約28グラム)の所持と、公共の場所以外での使用が認められたのである。そしてついに2014年1月から全米で史上初めて、コロラド州において娯楽用マリファナの販売も合法化された。医療用以外で普通に販売されるのは、アメリカ合衆国でも初めてである。

 以前、 自殺大国日本には医療用大麻が必要だ という記事を書いた僕にとって、このニュースはとても興味があった。コロラド州での娯楽用マリファナ販売解禁が、社会にどのような影響を与えているのか――、同年8月に現地に向った。

デンバーの街中に何件ものマリファナショップがある

 2014年8月1日、僕が降り立ったコロラド州の玄関であるデンバー国際空港は、高い天井が白い布で覆われ、清々しい。この天井は、日本人による作だと空港の案内に書いてあった。空港から市内までは、RTD(Regional Transportation District)のバスで、セントラルステーションまで行き(11$)、そこからは街のショッピング通りを無料で走るバスに乗って、ホテル近くまで行ける。

 ただ、初めての街で勝手も分からなかったので、僕は空港からSuper Shuttleという乗り合いのミニバンでのサービスを利用してホテルの目の前まで行ってもらった(22$)。Super Shuttleの受付はデンバー空港のカウンターで予約できた。

 11th streetとブルーバードAvenueのコーナーに立つ11th Hotelは、1泊=22$でドミトリー(相部屋)をネット予約したが、実際にチェックインしてみると、2人用の2段ベットがある部屋を1人で使わせてくれた。

 とりあえず部屋に着くなりネットに繋いで辺りを検索すると、ホテルからすぐの所に「ディスペンサリー」と呼ばれるマリファナ・ショップが数件あるではないか。早速、財布と身分証明書を持って行ってみることにした。

外人旅行者でも簡単にマリファナが手に入る

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店で売られているマリファナには幾つかの品種や種産地の違いなど、数多くのブランド(上)が、瓶詰めにされて売られている(下)。値段はオンス(重さ)による

ホテルから歩いて3分の道路沿いにあったディスペンサリー"Herbs4you"のドアを開け、中に入ると、左側にカウンターがあり、黒髪の綺麗な女性が身分証明書(ID)を見せてくれ、と言う。

 僕が国際免許証を出したら、奥に入って行くドアを開けてくれ、店の中に入った。中は8畳ほどの広さに、ガラスのショーケースが置かれている。ショーケースには、瓶詰めにされたマリファナのバッツ(メス株のトップの部分のこと)が幾つも置かれている。サティバ、インディカ、ハイブリットと、先ほどの女性店員が説明してくれる。値段は1/8オンス(約3,5グラム)で、35$から50$ほどである。

 ちなみに、デンバーの店では国際免許証でOKだったが、後日に訪れたボルダーの店では国際免許証では店内に入れず、パスポートを見せなければならなかった。

品種や種の違いなど、マリファナの種類に驚き

 「サティバとインディカ、ハイブリットの違いは何なのですか?」そう店員に尋ねると、彼女は、カラーで印刷された、それぞれの違いが書かれた用紙を見せてくれた。その紙には、こう書かれていた。

【INDICA】
・Night time use. Body high(身体的な効き)
・Sedative(鎮静させる)
・Relieves Anxiety(不安や心配を和らげる。軽減、緩和する)
・Causes Sleepiness(眠気を引き起こす)
・Relives Pain(痛みを和らげる)
・High CBD level(CBD成分が高い)

【SATIVA】
・Day time use. Cerebral High(脳的な効き)
・Energetic(エネルギッシュになる)
・Simulate Appetite(食欲を感じさせる)
・Enhances creativity(創造力を強化)
・Relives Depression(鬱を和らげる)
・High THC level(THC成分が高い)

 ハイブリッドは、インディカとサティバ種の掛け合わせである。ひとくちにマリファナと言っても種類によって効能や使い方が違うものなのだと驚いた。

 僕が、どれにしようか迷っていると、他のショーケースに並べてあるクッキーやキャンディーを、女性店員が薦めてきた。クッキー8$、キャンディ11$、ドリンクが15$、ペンサイズのヴァポライザー17$などである。迷ってる僕を横目に、娘さんとお母さんが、親子でマリファナを買っていく。

結局、僕はサティバ種を1/8オンス(約3,5グラム)、そしてドリンクとキャンディとクッキーを購入することにした。カウンターのすぐ横にレジがあり、女性店員はコンピューターに僕の名前などをインプットしている。

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購入したマリファナは右に写っている緑色のプラスチック容器に入れられ、ジュースやキャンディなどと一緒に白いアルミ製の袋に入れられた。持ち歩く時は、この袋に入れてなければならない。
 購入したものは白いアルミ製の袋に入れられ、「この袋に入れて持ち歩かないと違法になるので気をつけて」と店員に言われ、その袋に、僕の名前や客番号などがプリントされたシールが貼られた。

 コロラド州にあるディスペンサリー(dispensary)と呼ばれるマリファナショップでは、このように旅行者でも簡単にマリファナを購入できるのである。ただ、同じディスペンサリーでも、Recreational Marijuana(娯楽用大麻)の店と、Medical Marijuana(医療用大麻)の店があり、Medicalの店には、コロラド州が発行するMedicalの証明書を持っていないと、僕のような旅行者は入ることもできない。ちなみにメディカルのマリファナの方が値段も安く、質も良いという話である。

手には入れたが、いったいどこで吸えば良い?

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マリファナの娯楽利用が合法化されたコロラド州にはDispensaryと呼ばれるマリファナショップが幾つもあり、メディカルの店(中)には旅行者は入れなかった。

こうしてマリファナを手に入れたは良いが、どこで吸うのか?オランダのアムステルダムにあるコーヒーショップとは違い、コロラドのディスペンサリー(マリファナショップ)では、その店内で吸えるわけではない。

 合法化されたと言っても、マリファナの使用は家庭内に限られ、公共の場での使用は許されていない。また、コロラド州の法律によれば、マリファナを吸った後での運転は違法であり、もし5ナノグラム以上のTHC(マリファナのハイになる成分)が血液検査で見つかった場合は、逮捕されるらしい。

ホテルの部屋に戻って吸おうかと思ったが、ホテル内には至る所に禁煙の表示がされている。それなら公園にでも行って吸おうか、と考えたが、公園は公共の場所なので、公園でも吸えない。もう少し予算を奮発して、喫煙ができるホテルなり部屋を確保しなくてはならない。

デンバーの街中にある公園を訪れると、髪を長く伸ばしたインディオ系のアメリカ人と仲良くなった。「マリファナを買ったはいいが、吸う所がないんだね」と相談したら、「Come with me」と、公園の一角に連れて行ってくれた。

 そこには、ヒッピー風の白人やホームレスのような人達が5人ほど居て、フライドチキンやポテトチップスを食べながらピクニックをしている。彼は「そこに座れ」と言って僕を皆に紹介し、すぐにマリファナの詰まったパイプに火をつけ、僕にまわしてくれた。いやいやさすが本場の味。香りが良く、とても美味しい。

 日本ではもちろん、長いこと吸ってなかったせいか、一服ですぐに効いて来た。気分が1段階あがった感じ。なんか無性に嬉しくなってきて

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マリファナの成分THCが入ったマリファナ・ジュース。容器にはTHC成分が、どれだけ入っているか?何分後に効いてくるかなど説明が表示されている(右)。

1個=10mgのTHC(マリファナ成分)が入ったキャンディー

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KoshianX2014/12/28 15:40

合法化されたはいいが禁煙の場所だらけで吸えるところが無いとゆーのはなんとも。

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