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オーナーに電話1本せず「一括借り上げ」空室分の賃料支払いを停止した大東建託――「家賃交渉したが同意得られず」と虚偽説明

情報提供
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大東建託パートナーズと一括借り上げ契約をしているにもかかわらず、いっさい連絡がないまま空室賃料の支払いを勝手に凍結された家主のAさん。大東建託のビジネスモデルが土台から崩れるような話である。
 空室が出ても家賃保証するので家主様は安心です――大東建託の看板である、この「一括借り上げ」システムが重大な不安を抱えた代物であることが発覚した。大東建託が建てたアパート・マンションを一括で借り上げて管理する100%子会社・大東建託パートナーズが、都内の家主に対して、契約にもとづいて空室の家賃保証をするどころか、何の連絡もしないまま突然、空室家賃の支払いを中止したことがわかった。さらに、「家賃引き下げに応じないと払わない」という趣旨の、恫喝ともとれる手紙を送りつけ、賃料引き下げを迫った。家主が抗議すると、営業所長は「なんども連絡した」などと嘘をついた。その後、非を認めたものの、支払い再開にあたり家賃を8500円、強引に引き下げられた。「手っ取り早く入居率を上げるためには家賃を下げればよいと考え、不正な手段で空室の家賃保証を停止したのだろう。ほかでもやっているのではないか」。そう話す家主に、実際に自らの身に起きたことを聞いた。
Digest
  • 突然の空室家賃の支払い凍結
  • 「交渉した」と嘘ついた営業所長
  • 家賃交渉が先のはずなのに
  • 手っ取り早く空室率下げるための禁じ手?
  • 家主の抗議でやっと再開した家賃保証

突然の空室家賃の支払い凍結

東京都練馬区に住むAさん(50代)は、12年前に大東建託でマンションを建てた。2DK〜3DKの4戸。古くなった自宅の建て替えを兼ねて、アパート経営に移行しようと考えたのだ。貯金を崩して3000万円の自己資金を入れ、8000万円弱を銀行で借りた。返済額は毎月約30万円。大東建託子会社の大東建託パートナーズ(旧大東建物管理)と一括借り上げの契約をし、同社から毎月払われる家賃から返済をしてきた。

一括借り上げ契約には、いろいろな種類がある。Aさんの場合、①家賃の額については空室が出るたびに協議して「適正賃料」をきめる、②空室が出た場合、部屋が埋まらない期間も、一括借り上げをしている大東側が「空室中借上賃料」として適正賃料をAさんに支払う、という内容だった。

適正賃料についての協議がまとまらなければ、大東側は一括借り上げ契約を解除することができる。協議中は家賃を支払わなくてもよい、ともとれる内容なので、「協議」や「適正賃料」「支払い停止」をめぐって当初よりトラブルが予想される、問題含みの契約である。

築年数が増すと空室も出やすくなり、トラブルが発生しやすくなる。Aさんの物件は、都心で場所もよいことから、新築から10年以上は、経営は概ね順調だった。家賃もほとんど下げていない。そうした状況で昨年11月末に3LDKの部屋が空いた。じきに埋まるだろう、とAさんは楽観していた。

部屋が空いてから3ヶ月ほどが過ぎた今年1月末、大東建託パートナーズから一通の手紙が届いたのは今年1月31日のことだった。「転貸条件及び空室中借上賃料についてのご案内」と題して、こう書かれていた。

(前略)さて、既に弊社よりご説明申し上げておりますが、オーナー(賃貸人)様から一括借り上げをさせて頂いております建物について、空室発生に伴う新たな入居者募集活動を実施するにあたり、現行賃料額を維持できるよう検討しましたが、誠に遺憾ながら周辺賃料相場の変動等により、募集賃料額の減額見直しが避けられない状況となっております。

ところが、オーナー様からは新たな募集賃料額にご同意が得られないため、新たな募集賃料額での入居者募集が実施されておらず、適正賃料等での入居者募集活動が実施されていることを前提とする「空室中借上賃料」の支払いもなされていない状況にあります。このような状況は弊社としても極めて望ましくないことと考えております。

 つきましては、何卒、現在の周辺賃料相場をはじめとする諸般の状況についてご理解を頂き、募集賃料額の変更にご同意を賜ります様、本書面をもちまして重ねてお願い申し上げます。また、今後転貸条件(賃料等)の確認手続きが完了した場合の「空室中借上賃料」支払開始日は確認手続き完了の翌日となり、遡及してのお支払いはいたしかねますのでご了承ください。オーナー様の賃貸経営に資するよう努力してまいりますので、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜ります様、お願い申し上げます。(後略)

一読してAさんは驚いた。大東建託パートナーズが一括で借り上げる契約をしているので、空室が出たとしても家賃は保証されるはずだ。だが、それを払わない、と言ってきている。空いている3DKの部屋は、これまで月12万円あまりで貸していた。

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大東建託パートナーズがAさんに送りつけた空室家賃の引き下げを求める文書。説明したが同意してもらえなかったなどと書かれている。しかしAさんによれば、一本の電話すらなかったという。

Aさんが通帳をたしかめてみると、入金されていると思っていた空室の家賃が入っていなかった。

店子であるはずの大東建託パートナーズが空室家賃の支払いを止めた理由は、送ってきた文面によれば、賃料引き下げにAさんが「同意」しなかったため、ということらしい。

だが、同意もなにも、Aさんは募集賃料について大東建託パートナーズから「説明」はおろか、相談された覚えすらなかった。突如として家賃の入金が止まり、賃料引き下げを迫られたのだから仰天するしかない。家賃を止められてしまえば、当然、銀行への返済にも支障がでかねない

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1本の電話もかけていないのに、家主と交渉したと虚偽の説明をして空室家賃の入金を凍結した大東建託パートナーズ練馬営業所(東京都練馬区)。入居率上昇のノルマに追われて家主との交渉の時間すら取れなくなり、不正が横行しているのではないかとの見方もある。

大東建託パートナーズ練馬営業所と大東建託練馬支店が入居するビル。

大東建託ホームページに表示された入居率は96%を超えている。

大東建託本社(東京都品川区)。

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