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保証人狙いの養子縁組迫り「夜間待ち伏せ」ーー人口減少都市の農地に1億円アパートの絶望計画を企てた大東建託の悪質営業

情報提供
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アパートの建設資金1億円の銀行融資の保証人にする目的で、叔父と「養子縁組」をさせられそうになったA子さん。日が暮れて帰宅すると大東建託社員が張り込んでいたという。
 過酷なノルマ主義を背景に、執拗な営業によるトラブルや架空契約などの不正を多発させ、果てには殺人未遂事件という凶悪事件まで引き起こした「反社会的企業」といってもよい大企業・大東建託(本社・東京、熊切直美社長)が、世の批判をものともせずに無茶な営業を続けていることが判明した。人口減少が著しい岩手県の中規模都市で暮らす高齢の農地所有者(60歳後半)に対して、採算が取れないことが明白な事業費1億円のアパート計画を勧め、相続人の息子が銀行融資の保証人になることを拒んだとみるや、相続関係のない親族の女性(30歳代)を保証人にすべく養子縁組を持ちかけ、さらに養子縁組を拒否する女性に対して、社員らが夜間、自宅付近に張り込んで「待ち伏せ営業」を行い、女性を恐怖に陥れた。知人宅に一時避難を余儀なくされた女性は「同様の被害を受けている人がほかにいるのでは」とやり場のない怒りを露にしている。
Digest
  • 近所の農地は「大東建託」だらけ
  • いやな予感
  • 「年収200万円の収入増」
  • 1億円の借金のために「養子縁組」
  • 養子縁組を断った夜に「待ち伏せ」
  • 本社に抗議でようやく平穏とり戻す
  • むちゃくちゃ営業の背景に「9月決算」か
  • 金利上昇でたちまち債務不履行

近所の農地は「大東建託」だらけ

 以下は、夜間の「待ち伏せ」営業の被害に遭った女性A子さん(30歳代)の証言に基づく事件のいきさつである。

発端は2018年9月11日、70歳近くになる叔父からの連絡だった。ちょうど正午ごろ、仕事中だったA子さん(30歳代)の携帯電話に着信があった。叔父とは普段、ほとんど会話がない。なんだろうと思って応答したところ、電話口で叔父はこう言った。

「いま大東建託がきている。説明をしているから来てほしい」

大東建託と聞いた瞬間、A子さんはいやな予感がしたという。

 叔父には、親から受け継いだ農地がある。そこにアパートを建てるという話らしい、と察しはすぐについた。これまでも、しばしば不動産業者の営業マンが訪ねてきていた。叔父の近くに住んでいるA子さんのところにも、営業マンはやってきた。しかし、うまくいくはずがないと断ってきた。売る気もなかった。

それがどういう事情か、叔父は急にやる気になったのだろう。

「だまされているのではないか」と気になったA子さんは、仕事を抜けて叔父の自宅に向かった。

部屋にはいると、背広姿の男が二人来ていた。大東建託北上支店(岩手県北上市)の社員だという。名刺を見ると、若いほうは「建築営業」、中年のほうが「建築営業課課長」とあった。

二人の前で叔父は、資料に目を落としていた。アパートの計画が書かれた書類だった。

 A子さんを待っていた様子で、大東建託の二人は滔々(とうとう)と説明をはじめた。

ーー1棟4戸、1棟6戸の計2棟を建てて、大東建託が一括で35年間借り上げる。総事業費は1億円あまり。銀行から借り入れる。毎月の家賃収入は52万円。空き部屋があっても保証する。銀行返済が30年で終わったあとは、すべて家賃収入になる。

本当だとすれば悪くない話だろう。叔父はすっかりやる気になっていた。だが説明を聞いてもなお、A子さんの「叔父はだまされている」という考えに変わりはなかった。

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岩手県の中規模都市郊外の農地のあちこちに大東建託のアパートが建っている。空き部屋が目立つ物件もある。

いやな予感

「アパートを建てませんか」「土地を売ってくれませんか」ーー叔父やA子さんのところに来た不動産業者には、これまでにも、レオパレスと並んで大東建託がやってきていた。

それらをすべて断ってきたのは、周囲の農地に大東建託のアパートが何棟も建っていて、空き部屋が目立っていたからだ。人口が減っているこの町では当然のことである。借金をしてアパート経営をしたところで、成功する理由がなかった。建設業に携わる知人からも同じ意見を聞いていた。

「ここでアパートやってもうまくいくとは思えない」とA子さんが懸念を口にすると、大東建託の社員はこう返した。

「この場所は利便性がいいから入ります(入居者が入る)

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作り手の高齢化や死亡により耕作放棄された農地の中に立つ大東建託のアパート。

岩手県の中規模都市郊外にある大東建託のアパート。この建物には「満室」の表示がされていた。

国立社会保障・人口問題研究所が公表している都道府県ごとの人口推移の予測値。2045年の岩手県の人口は2015年と比較して69%に減少すると予測されている。

大東建託が公表した2018年9月決算資料。3月と9月の受注高が突出して高い。「決算期前はノルマがきつい。成績をあげないと従業員は生活できないくらいに給料を下げられる。実現困難な内容であっても形だけでも契約をとらざるを得ない」と経営者の責任を指摘する内部からの声は絶えない。

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匿名2019/01/02 20:23
中垣2018/11/12 15:36
2018/10/09 11:42
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