やってみたら地獄だったドイツ現地就活――難民向け起業ワークショップ参加、そして9か月超でやっと内定
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難民・移民の自立を目指した起業支援団体「シンガビジネス・ラボ」のワークショップに参加。 |
- Digest
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- 内定、学びは「結局運とタイミング次第」
- 「新聞の求人広告を見てみろよ」をきっかけに参加
- シリア人だらけの起業ワークショップ
- ドイツでやたら目にする「ビジネスモデル・キャンバス」の実例
- 金をどうやって稼ぐか?
- ストーリーを語るワークショップ、日本人の強み
- やっぱり「メシ・ビジネス」がかなり強い
- ドイツ飲食業界利益最大でも10%
- 自分が市場で何を提供できるか?ポートフォリオは何か?
- プログラムの辞退、残った起業家は3組みのみ
内定、学びは「結局運とタイミング次第」
筆者はドイツ現地法人で内定を取ることができた。契約等の関係上、具体的な内容は一切記載することはできないが、これまでの経歴に沿ったITコンサルおよび通信領域に関連するポジションにつくことができた。
「内定を取れた秘訣のようなものは何か?」と問われると、筆者は頭を抱えてしまう。なぜなから、以前の記事でも記載した「内定の法則は『結局、運とタイミングなんだな』としか見出せなかった。」から追加できる話がほとんどないためである。
さらに、その記事で同級生の動向を分析して、「内定を取れる法則的なものは一体何か?」を見出そうとすると、「エンジニアの専門性:ドイツ語習熟度は決定的でなく、エンジニア分野(機械工学、自動車工学、建築学)で即戦力となる人材であること」、そして「比較的若手:就業経験8年未満で、卒業時の年齢は20代後半〜30代前半、転職回数が多くない人、アソシエイトレベルの人が内定を得やすい」の2点に行き着くことを記載した。
筆者の場合、非エンジニア学問(商学部)の学士卒業、転職回数が5回以上あり、年齢も30代後半なので、非常に厳しい状態であった。そうなると、わずかな運にかけるしかない状況であったと言える。
「結局、運とタイミング」次第のドイツ就活ではあるが、内定を取るためのターゲットをどのように絞るかによって、以下5点の狙い目がある、といえる
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ドイツ企業でかなりよく見るビジネスモデル・キャンバス。筆者のMBAでも何回も目にし、筆者の修士論文もビジネスモデル・キャンバスを扱った。ビジネスをゼロから作り上げる起業だけでなく、会社内の新規事業立ち上げなどにも使えるフレームワークである。画像ソースはWikipedia"BusinessModelCanvas"より、筆者加筆。
筆者がドイツ人メンターと一緒になって作成したビジネスモデル・キャンバス(全てドイツ語)。日本語ですらも上手くまとまっていないアイデアを成果物として出すのはしんどいのに、さらにドイツ語ではかなり疲弊する作業であったが、メンターが粘り強く付き合ってくれて、形にすることができた。
シリア人女性起業家によるシリア料理のケーターリングサービス。この料理はかなり美味であった。こういう具体的な目に見えかつ顧客のフィードバックを直に受けられる「モノ」を提供するサービスはかなり強い、と素直に思った。
「どうやって金を稼ぐか」をテーマとしたビジネスモデルの研修を、メルセデスベンツ銀行にてワークショップを受ける。弾丸的に外にいる人の質問をするという実習も行った。ここで「君の場合はドイツでインターンしか職歴がないから非常に厳しいと思うよ」と言われた。ドイツでサービス業で金を稼ぐには、高いドイツ語能力と信用、Referenz(第三者の高い評価による紹介状・推薦状)が求められる。
「市場で自分は、どんな付加価値を提供できるのだろうか?」「何に顧客はお金を払ってくれるのか?」という問いのもと、ドイツ人のメンターのチェックを受けてドイツ語で自分の「ポートフォリオ」を作成した。この作業は、就職・転職活動でも役に立つと感じられた。
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読者コメント
日本より先進的に見える欧州の社会も、実際はいろいろ問題がある。そういうテーマの記事だと思います。
だからといって、日本の貧困や格差・貧富の差が増大し、さらにそういった弱者がスケープゴートにされ、バッシングされる。そういう問題が無視されて良い、という事にはならない
もちろん欧州でも、経済のグローバル化に伴う貧困や格差・貧富の差の増大、それに伴う社会の右傾化は大きな社会問題になっている
転職、就職できるか否かは「結局運とタイミング次第」かなり厳しい現実だなと。これなら2年間かけてドイツMBAを取る意味を問われるんじゃないかと。MBAなんてのは結局アメリカでしか流行ってない印象。
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