技能集約的な職業のうち、「人間が行うことに積極的な付加価値が生じるもの」が、この「③職人プレミアム」エリアの職業群である。左隣の「手先ジョブ」(人間でも機械でも顧客にとってはどちらでもよい)との違いは、顧客が、(機械ではなく)人間の作業に価値を感じてより多くの対価を支払う点にある。営業や看護・介護などの対人サービス職、伝統的な熟練を要するモノ作り職人、身体性(ボディー)が不可欠となる警察・消防・自衛隊などがこのエリアだ。その中核業務においてITやAIを活用する余地は少なく、AIとの相乗効果も期待できない代わりに、その影響もほとんど受けない。つまり、テクノロジーとは無縁で、AIやITにアレルギーを持つ人にとっての一番の逃げ場となるエリアだ。左隣の「手先ジョブ」よりも雇用が安定しており、報酬水準としても中間層を形成し、上振れもしやすい。
【Digest】
◇美容師、理容師、接客系全般
◇修行が必要なモノ作り系職人
◇「常識」がボトルネックとなる通訳
◇緊急対応系の職種全般
◇美容師、理容師、接客系全般
美容師や理容師は、髪を切ったりセットするという「結果」に加え、いわゆる床屋談義のような雑談や、より本人に合うスタイルなどのコンサルティングといった「プロセス」に対して、顧客が付加価値を感じ、料金を支払う。人間的な会話や手先の技術が揃って、はじめて成立する職業だ。人間の強みである5つの要素(1.創造ワーク、2.感情ワーク、3.信用ワーク、4.手先ワーク、5.ボディワーク)を、すべて必要としている。
ウェイター(ホールスタッフ)で言えば、通常の料理を運ぶだけの外食店ウェイターは「手先ジョブ」(②)だが、気遣いを要するバーテンダーや、高級店で素材や調理法を説明し質疑応答できるスタッフには本質的に「職人プレミアム」がある。活気がある居酒屋の店員も、人間の強みを発揮する。この違いは何か。
「居酒屋は、雰囲気を求めてやってくる客が多いんです。アルコールを飲みにきてるから。そこが普通のメシ屋とは違います。店員と会話したいニーズがあって、
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『AI VS 教科書が読めない子供たち』 |
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「5つの安全・安心系公務員機関が合同で就職説明会を開催します」――。官庁も、「安全安心系」というカテゴリでまとめて合同就職説明会を開いている。これらは人間の強みである『信用ワーク』や『ボディワーク』であり、「職人プレミアム職種」である。 |
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