【追記2】(2020年5月5日)
4月29日の取材で、シマトレーディング社取締役は「国との契約はない。ユースビオからの依頼で輸入業務をした」と説明していた。ところがその後5月2日、政府から福島みずほ参議院議員にシマ社とユースビオの契約書2通が開示された。シマ社の契約書には「ベトナム産抗菌布マスク」350万枚(単価80円)、ユースビオ社のものには「ベトナム産抗菌布マスク原料」(単価55円)との記載がある。なぜ、「国との契約はない」との説明をしたのか、筆者は5月4日午前、シマ社取締役に電話取材した。以下はそのときのやり取りである。
ーー先日(29日)きいたところでは、国との契約はない。支払いはユースビオからうけたという理解だったが。
シマ ぼくもいろいろ電話きてて詳しくどう話したかがあれだが、・・・ごめんなさい。ご質問は?
ーー29日の話では、国との契約はなく、ユースビオの依頼で荷受人を引き受けたんだと。
シマ えっと、ぼくもそのときに質問の捉え方を間違えたのかわからないけど、契約自体は国とシマトレーディングはしてまして…。
ーーはい。
シマ ユースビオはユースビオで、国、というか厚労省か、と(契約)していて。
ーーじゃ、シマさんはシマさんで国と契約していたと。
シマ そうですね、でたぶんぼく、話なんとなくなんとなく覚えているが、国との直接のやりとりをやっているかという質問と勘違いしたのか…疲れていたので。そういう意味でたぶん答えたかなと思うけど。
ーー私は、「国と契約はないんですね」ということでお聞きをしたつもりだったが、じつは国とシマは…。
シマ 契約自体はしています。ただそのやり取りのなかでこまかい生地とか厚労省とのやり取りをしていたのはユースビオ。
やや歯切れの悪い言い方で、29日の説明内容を翻して国と契約があったと述べた。また、過去に億単位の契約をしたことがあるか、また国との契約をしたことがあるか、尋ねたところ、いずれもないとの回答だった。国と契約する経緯は、経営者が親戚関係にあるユースビオ社(樋山茂社長)を通じて行った、などと答えた。
同日、ユースビオの樋山茂社長にも電話で取材を申し入れた。なぜ国との億単位の契約が取れたのかを聞きたかったが、樋山社長は「アエラ(週刊朝日と思われる)とバズフィードの記事を見てもらえればいい。大手の取材にしか応じない」などと拒否した。郵便で拙著と質問内容を書いたものを会社宛に送りたい旨伝えたところ、「送ってもらっても届くかどうかわからない。郵便物を抜き取る者もいる」などと答えた。なお、樋山社長が指摘する記事とは、樋山氏のインタビューが掲載されたものだ。契約の経緯について、「山形県から経産省の担当者を紹介されて、『そちらに情報共有してるので連絡してください』ってつないでくれたんですよ」と述べている。一方山形県は、バズフィード記者の取材に、素性がわからなかったので経産省に照会した。紹介したのではないといった趣旨のことを説明している。また、記事の中で山鹿県職員は、経産省はすでにユースビオを知っていたと思うとも話している。
【追記】(2020年4月29日)
4月28日の衆議院予算委員会で、加藤勝信厚労大臣は大串博志議員(立憲)の質問に対して、ユースビオ社(福島市、樋山茂社長)と国との契約金額は5・2億円(輸入布マスク350万枚)、契約日は3月16日で、緊急随意契約だったと答弁した。また、契約当時ユースビオ社の会社設立目的に輸入業務がなく、4月1日に変更の手続きをとったこと、輸入業務はシマトレーディング社(千葉市、島正行社長)が行ったことも
明らかにした。登記簿謄本が取得できないのは変更手続きが原因であった。
シマトレーディング社の取締役は29日、筆者の電話取材に応じ、概ね次のように説明した。
▽樋山社長は私(取締役)の親戚にあたる。
▽2月末?3月はじめごろ、マスク輸入の荷受人をユースビオから依頼され、引き受けた。
▽国との契約関係はない。
▽3月末にベトナムから数回にわけて荷が航空便で到着し、輸入手続きを行った。
▽輸入手続きはすべて書類上で行った。現場に行っておらず荷も見ていない。
▽支払いはユースビオから受けた。金額は言えない。
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