顧客の見ている前で、支店長は左手で堂々と書類を偽造した――大東建託のモラル完全崩壊ぶりを元社員が告発
大東建託大阪鶴見支店の支店長は、本来顧客の親族が書くべき同意書の署名を、当人になりすまして左手で偽造したという。その様子を再現する、元同支店社員で目撃者のI氏。 |
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支店長が左手で書いた「同意書」
2018年3月30日、大阪府東部で農業を営む地主Aさん(70歳代)の自宅で事件は起きた。以下は大東建託大阪鶴見支店(以下、鶴見支店)の建築営業社員としてAさんを担当したI氏(39歳)の証言に基づくことの経緯である。
Aさんは自分の敷地に大東建託のアパートを建てようと考え、この日、大東建託と契約書を交わすことになった。自宅の部屋には、Aさんと妻、鶴見支店のS支店長、I氏が同席した。契約書をはじめいくつもの書類に記入していった後、S支店長がごく自然に一枚の書類を取り出し、Aさんに渡した。
書類は「建物建築に関する同意書」と題されたA4判1枚ものだった。上段に「□□△△(親族の氏名)が下記物件を建築することに同意します」と印字している。下の方に空欄が2つ。親族夫妻2人がそれぞれ署名捺印する場所だ。
「(親族夫妻に)同意の署名捺印をもらってください」
S支店長がそう説明した。Aさんは同意書に目を落とし、答えた。
「これから説得するから少し時間がほしい」
すでに契約書を交わした後なのだが、じつは契約には親族の同意がどうしても必要だった。予定地の大半はAさん名義だが、一部が親族との共有名義になっている。社内規定では、土地の名義人すべてが同意しなければ契約することができない。
そして、親族の同意はまだ得られていなかった。同意がないのに契約するというのは、手続き違反であるし、常識で考えてもおかしい。
I氏が事情を説明する。
「3月末の決算期で支店長は数字がほしかった。だから、同意書は後からでもなんとかなると考えて強引に契約を先行させたのです」
説得の時間がほしいというAさんに対して、支店長は「そうですか。わかりました」と同意書を引き取った。そしてAさんに向かって、「印鑑を2本貸してください」と言った。Aさんと親族夫妻は同じ名字だから、同じ名前の認印2つを渡した。認印を3本用意しておくよう、あらかじめ支店長が指示していた。
印鑑を受け取ったS支店長は、右手に持っていたペンを左手に持ち変え、同意書の署名欄にさらさらと親族の住所氏名を書き始めた。住所に続いて氏名。捺印。1人目は、強い筆跡で、2人目は、やや弱く。筆跡も微妙に変えた。書き終えるまでに要したのはものの1~2分だった。
私文書偽造という犯罪に問われかねない不正行為だが、Aさん夫妻は、まったく気づいていなかった。契約に必要な書類を書いているくらいに思っていた。
「あまりの手際のよさに、あっけにとられてしまいました。とてもはじめてとは思えません」(I氏)
利き手ではない左手で書いたにしては、きれいな字体だった。
書類偽造の不正があったという大東建託大阪鶴見支店(大阪市鶴見区)。 |
不法侵入を強要して逃げた課長
I氏が大東建託の入って約3年、ことあるごとに遵法精神の乏しい会社だと感じていた。その印象は、同意書の偽造を目撃したことで決定的となった。
思えば、疑問は入社手続きのときからあった。前職をやめて仕事を探していたところ、「リクナビ」で大東建託の求人を見つけた。大阪府内の支店勤務は家から通いやすい。何より基本給が28万円以上という条件に惹かれたこの先は会員限定です。
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大東建託のアパート計画が中止されたAさん所有の土地。
署名が偽造された「建物建築に関する同意書」。中央右の年月日より下のモザイク部分が偽造された署名。
大東建託支店長の不正を告発する元社員のI氏。
大東建託大阪鶴見支店に掲げられた看板。同社のコンプライアンス意識はあまり「進化」していないようにみえる。
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読者コメント
恐ろしく悪質な事件だ。しかし大東建託で起きたと聞くとごく自然という感想だ。
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