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「大東建託の賃料激下げに異議あり」 店子との直交渉や調停で、ある倉庫オーナーが「まっとうな賃料」を勝ち取るまで

情報提供
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大東建託パートナー社による賃料の“激下げ”に抵抗した日々を振り返る倉庫オーナーのOさん。
 築20年で賃料が新築時の約半分というのはひどい――大東建託子会社の30年一括借り上げシステムで貸倉庫を営む男性オーナーが、激しい賃料引き下げに対して異議を唱えた。大東建託側は聞く耳をもたず、空室時の家賃保証金を払わないなど強気の姿勢を取っていたが、男性があきらめず、周辺相場を丹念に調べ、民事調停を起こして不当性を訴えた結果、ついに賃料の大幅引き上げと未払いの保証金の全額支払いに応じた。1年半に及ぶ闘争を振り返って男性は言う。「大東建託はてっとり早く客付けをしたいのと、空室保証の負担を軽くするため、安易に賃料を下げた。泣いているオーナーはほかにもいるはずです」
Digest
  • 賃料激下げ
  • 賃料引き上げ作戦
  • 「賃料低すぎる」と言った営業社員
  • 家賃保証の支払い停止
  • 高額なエアコン交換費、疑問のドア修理
  • 「低賃料に泣いているオーナーがいるはずです」

◇高齢の父がはじめた倉庫2棟

「賃料が一気に下がっている。すごいですよ」

嘆息まじりに話すのは、貸倉庫2棟3戸のオーナーOさん(70歳)だ。大東建託の一括借り上げシステムで経営している。「すごいですよ」というのはその賃料のことだ。新築当時48万円~45万円だった賃料がものの20年ほどで約半分の20万円台になってしまった。

Oさんがいきさつを語る。

2棟の倉庫はいずれも1991年~92年にかけて父親(故人)が建築した。費用は1棟目が約3000万円、2棟目が約7000万円。資金の大半は金融機関からの借り入れでまかなった。

1棟目は床面積約100坪の事務所付き倉庫が1戸、2棟目は同約70坪の倉庫2戸の作りだ。当初は大東建託独自の「共済制度」で家賃保証を行っていたが、その後2007年に一括借り上げシステムに切り替わった。

以後、長年にわたって貸倉庫の経営は父親がひとりでやってきた。なぜ大東建託の倉庫をやるようになったのか、息子のOさんは知らない。ただ思い当たる節はある。税理士だ。父親とつきあいのある税理士が「大東建託はいいわよ」としきりに勧めているのを見たことがある。父親は先祖伝来の土地をいくつも持っていた。税理士は大東建託と協力して、そこに貸倉庫を建てさせようとしたのかもしれない。

Oさんが経営を引き継いだのは、父が90歳を過ぎた2017年ごろのことだ。建物は築25年ほどになっていた。だがそれほど傷んでいない。負債は、かなり済んでいたもののまだ残っていた。

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Oさんが父親(故人)から相続した大東建託の貸倉庫。新築当時48万円だった賃料は、30年たった今では半分に下落。周辺相場と比較して低すぎると感じている。

賃料激下げ

経営を引き継いだOさんは、ここではじめて具体的な賃料額を知る。月額27万円から23万円だった。当初賃料の半分だ。それほど低くなっていたとは思わなかった。近隣にある条件が似た物件が40万円くらいで貸しているのを知っていた。

どういうことなのか--疑問を覚えたOさんは、まず大東建託パートナーズに説明を求めた。大東建託パ社は一括借り上げ契約の相手である。

しばらくすると、大東建託パ社の担当社員が訪ねてきた。過去の賃料の推移を文書にしたものを携えていて、Oさんに見せた。Oさんはあらためて驚いた。新築後早い時期から、更新や入退去があるたびに大幅な下落を繰り返している。築後わずか数年で10万円近く下がった例もあった。以下が、その賃料推移だ。

1棟目

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Oさんの貸倉庫。賃料を安易に下げて手っ取り早く客付けをしようとしているのではないか。大東建託の激しい賃料の下げ方にOさんは不審を抱くにいたった。

賃料”激下げ”の状況を物語る資料(大東建託パートナー社が作成)。更新契約に伴って、9年目で10万円近く下げた例もある。Oさんはこうした事情を父親から経営を引き継いだ数年前まで知らなかった。

Oさんの貸倉庫の脇に掲げられた大東建託の看板。

Oさんは民事調停を申し立てて大東建託のやり方に異を唱え、未払いの空室保証金の支払いや募集家賃の大幅引き上げを勝ち取った。写真は調停調書。

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記者からの追加情報

本文中、数字に不正確な部分がありましたので、おわびして下記のとおり訂正します(2021年2月26日本文訂正済)。
(1)「費用は1棟目が約3000万円、2棟目が約7000万円」
(2)「現在の賃料 は24万円あまり」
(3)「12万数千円ほど上げた36万余円で契約更新となった」
(4)(損失額)1億円→1億7000万円
(5)「1億円 の投資で月の純利益はせいぜい15万円程度」
(三宅)
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