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『明治北海道牛乳』 放牧モデル牛を探せ!…1

情報提供
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コレクション(1)
商品名:明治北海道牛乳
■種類別名称:牛乳(常温保存可能品)
■無脂乳固形分:8.4%以上
■乳脂肪分:3.6%以上
■原材料名:生乳100%
■殺菌:140℃ 3秒間
■内容量:250ml
■賞味期限:上面に記載
■保存方法:常温を超えない温度で保存してください
■製造所所在地:北海道旭川市永山町7-29
■製造者:明治乳業(株)旭川工場
■お問合せ先 お客様相談センター 0120-589-369
 私たちが飲む牛乳のほとんどは、狭い牛舎で飼われた牛から搾られたものだ。乳牛の自然放牧を続けている酪農家は、ほんの一握りだけ。だが、牛乳のパッケージや宣伝では、放牧の牧歌的なイメージで売り出されていることが多い。両者は、成分や味など、品質が全く異なるにもかかわらず、だ。

◇牛乳パック766コレクション
 「牛乳離れが進んでいる。北海道では3月、生産過剰となった集荷済みの生乳1000トンが捨てられ、酪農家は減産傾向を強めている。・・・」(「<牛乳>もっと飲んで!とあの手この手 ペットボトル化も?」『毎日新聞』2006年5月2日 11時50分 最終更新時間 5月2日 12時38分)という記事がアップされていた。

 記事中の写真紹介に、「さまざまなパッケージの製品が並ぶスーパーの牛乳コーナー=東京都大田区で野田武写す」とあった。私が気になっているのはこの牛乳のパッケージ。商品やCMに出ている放牧された牛たちのことである。

 牛乳パックコレクションというサイトがある。牛乳、加工乳、脱脂乳、乳飲料、はっ酵乳、乳酸菌飲料、豆乳など種類別、製造者別に牛乳パックを766(2006.05.13現在)もコレクションしている。アップされている牛乳を見ていると、いかに牧歌的で自然をイメージさせるパッケージが多いかがわかる。共進牧場「こだわり牛乳」は牛舎の中の牛の写真に見えないこともないが(鮮明でないのでよくわからない)、牛舎でつながれている牛はなかった。

 以前、〈牛舎でのぎゅーぎゅーの密飼い牛、運動不足の牛、輸入飼料を食べさせられている不健康な牛をパッケージや宣伝に使ったのでは、牛乳もイメージダウンだ。〉(「”タレント牛”もたいへんだ!」)と書いた。観光牧場の「マザー牧場」(千葉県)などで見られる牛は、例外だ。また、毎年、各都道府県で開催されている“美牛”コンテストに出場するような牛は、牧場内でも特別扱いされていると考えられる。

 「牛乳パックコレクション」サイト管理者がコレクションを始めた動機について書いている。
〈僕が牛乳パックを集めようと思ったのは大阪で2000年に発生した食中毒事件。今後この牛乳メーカーはどうなるんだろう。この牛乳パックを残しておいたら、何年かしてもこんな事件があったんだと語れるかもしれない。そんなことがきっかけ。だけど、すぐにはコレクションを始めるには至らず、始めたときにはあの低脂肪乳は発売中止に。〉

 「そうだ! わたしも牛乳パッケージをコレクションしよう」
 都内で販売されている牛乳パック&ビンのコレクションを開始し、商品に描かれている牛が、実際の商品を表しているものなのかを確かめるため、牛のモデル探しをすることにした。

◇山路酪農という自然放牧

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山路酪農を実践する岩手・中洞牧場
 自然放牧でいえば、岩手・中洞牧場の「四季のむかしの牛乳」、岩手・田野畑の「山路酪農牛乳」、島根・木次乳業「山地酪農牛乳」(木次乳業直営・日登牧場)などがある。いずれも、山地酪農にこだわる牧場だ。

 上記の牧場が、放牧牛をモデルとして登用するのなら納得するが、実際に売られているほとんどの牛乳については、牧歌的風景は、イメージコマーシャルの中だけのものとなっている。しかし、他の広告で見かける注意書き、たとえば「この牛はイメージです。実際の牛は檻の中で飼育されています」といったものは見当たらない。

 大手だけではない。生協や自然食品店で売られている牛乳なども、「低温殺菌」や「ノンホモ」(=脂肪球の粒を砕いていないという意味。脂肪球径が生乳に近い状態)であっても、必ずしも自然放牧牛ではない。牛舎で飼われている。販売者側はそのことを知っているはずなのだが、消費者に伝えていない。

 自然放牧家・中洞牧場を訪ね、中洞正さんに話を聞いた。
 「草だけを食べた牛の乳は、決して白くありません。市販のほとんどの牛乳が(ペンキのように)真っ白ですが、草を食べた牛乳は黄色味を帯びています」
 自然環境の中で放牧されている牛は山の草を食べ、水を飲んで過ごすので、季節季節で牛乳の色も風味も変わる。それが、ごく普通のことだという。

 明治乳業のCM「牛乳工場篇」が最近、またテレビで流れていた。工場見学をしている子どもたちに、「牧場で飲む牛乳の味、知っていますか? あの味に近づけたいんだ。もっともっと近づけたいんだよ。」と工場の人が言っている。だったら、牧場も見学させてあげればいいのに、と思った。

 中洞さんが解説する。

「市販の牛乳と牧場で飲む牛乳の味がなぜ違うのかは、ホモジナイズという工程があるからです。これは、120℃以上で高温殺菌するために必ず必要な工程で、牛乳の中に含まれている、大きさがまちまちな乳脂肪分脂肪球を砕いて、均質化します。これで、味が変わります。当然、120℃以上の温度で殺菌をすれば、(本来の)牛乳の味も損なわれます」

 「搾りたての牛乳を、鍋で噴きこぼしのないよう、じっくり温めた牛乳の味を知っている人が少なくなってきているのは、とても残念なことです」

 ブルガリア出身の大関・琴欧州が、明治おいしい牛乳のCM「琴欧州風呂上り篇」に登場している。ヨーグルトに続いての登用だ。CMでは銭湯で何本も飲み干し、「まっ ことおいしゅう ございます」と言う。伝統的酪農国の多くは、熱変性の少ない低温殺菌牛乳以外を、フレッシュ牛乳とは呼ばないそうだ。日本の高温殺菌牛乳のどこがおいしいのか、琴欧州に聞いてみたいところである。

◇どんな牧場・牛舎で育ったのか
 本当に放牧牛から絞った乳なのだろうか。

密飼牛なのに、CMなどで都合よく放牧のイメージばかりを利用してよいものだろうか。

 そんな折、日本テレビ「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(5月28日)で「超難問!きき牛乳に全員大苦戦」という企画をやっていた。目隠ししてまず飲んだ牛乳がどれだったかを当てる「きき牛乳」ゲームだ。

 きき牛乳は、やまがた牛乳(城西牛乳)、那須高原のおいしい牛乳(グリコ)、おいしい牛乳(明治)、低温殺菌牛乳(タカナシ)、北海道の贅沢搾りミルク(明治)、特選十勝牛乳(よつ葉乳業)、農場3・7牛乳(小岩井乳業)、オホーツクおこっぺ牛乳(ノースブレインファーム)、おっぱ牛乳(おっぱ乳業)、札幌3・8牛乳(北酪乳販)、スイスの森牛乳(うぶやま牧場牛乳)、富士山高原いでぼく牛乳(井出種畜牧場)の12本。

牛乳苦手という山崎邦正は「ぜんぜん、においが違う」と言い、牛乳好きのココリコ田中は乳脂肪分の%のことを気にし、オホーツクおこっぺ牛乳を「飲みやすい」と言っていた。

おこっぺ牛乳は、池袋・東武百貨店の地下に出店されていた当時、私も飲んでいた。ノースブレインファームのHPには「自然に近い状態で育ててあげることが牛にとって幸せなこと」「牧草主体で育てています」とある。微妙な表現だ。

 富士山高原いでぼく牛乳」の井出種畜牧場のことは、知らなかった。HPを見てみたら、牛と牛舎の画像が出ていた。衛生面の徹底を掲げ、「健康でストレスのない牛たちは、良質の牛乳をたくさん出」すとあった。牛の飼料は、非遺伝子組み換えのとうもろこしを使用、とある。

どんな牧場・牛舎で育ち、どんな餌を食べて育てられた牛の乳なのかによって品質も味も異なる。なかでも、放牧か密飼かは大きなポイントだ。

◇明治北海道牛乳のモデル牛はどこ?
 まずは、最大手・明治乳業の「お客様相談センター」に聞いてみることにした。

--昨日、日テレの「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」で「きき牛乳」というのをやっていて、おもしろかったんですね。明治の牛乳が2種類(おいしい牛乳、北海道の贅沢搾りミルク)出ていて、ほかの牛乳のサイトを見ていたら牛(の画像)などが出てきたんですけど、明治のHPを見ていると牛とか出ていないから、どこの牛なのかなとお伺いしたいと思って……。「おいしい牛乳」と「贅沢搾りミルク」は、どこの牧場の乳ですか?

 「北海道贅沢搾りミルクは、北海道が産地の生乳です。おいしい牛乳の場合、北海道から四国まで、工場に近いエリアから集めてきます。契約している酪農家から集められた生乳を買っていますので、どこの牧場かといった詳しいことはわかりません」

--買っているというのは、農協とかからですか?

 「ええ」

--牛は、牛舎の牛と放牧の牛では違うと思うんですけど、それはどっちですか?

 「酪農家との契約をしていますから、そこの酪農家によると思います」

--常温保存可能な「明治北海道牛乳」も、北海道でとれたものですか?

「ええ、北海道ですね」

--「おいしい牛乳」には牛の絵はないですけど、こちら(明治北海道牛乳)には牛の放牧の絵が描かれているんですけど、放牧は少ないと思うんですね。それで、この牧場はどこかなと思ったんですけど。

 「それも、北海道の酪農家から集めた生乳です」

--牛舎の牛じゃあないかと思うんですが……。

 「北海道では土地も広いですので、牛を飼うことはむずかしくないですが、北海道以外だと、放牧は土地の事情などもあるかもしれません」

--(明治が生乳を)買っているところに聞けばわかりますか?

 「全酪連、全ミルクだと思うのですが、そちらでお聞きになると、わかるかもしれません」

--昨日番組ご覧になってないですか? おいしい牛乳、贅沢搾りミルクが2本出ていましたよ。

「いいえ、見ていないですよ」

 各メーカーの宣伝提供かと思っていたが、対応してくれた女性は昨日の番組のことを知らなかったので、そうではないのかもしれない。

--おいしい牛乳って、ほかでも出されていますよね」

 「森永さんも出されていますね」

--明治は、工場とか、とってもきれいなのはわかるんですけど、原料がどうなのか、食べものだから気になるんですね。買っているのはわかるんですけど、どんな牛かが、どうも気になったもので。

 「そうですね。口にするものですからね」

 昨年聞いた際の、「基本的には、工場近辺にいる牛のミルクでとったものです」との返事と、変わらずだった。広大な土地を持ち、自然のイメージが強い北海道の酪農は、工業的酪農が中心であることを知らないのだろうか。

 生乳が集められてくるということは、その中にひとつでも放牧牛がいたら、宣伝に使ってもよいの

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北海道2008/02/01 02:50
サイトウケン2008/02/01 02:49
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