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メガバンクの生涯賃金は大手商社の半分以下!——昭和のまま残る年収の「神奈川沖浪裏モデル」【業界超分析】

情報提供
サムネふごく36景神奈川沖モデル
三菱UFJ銀行の年収分布推移図。メガバンクは、40代で一気に差が開き52歳で崩れる、富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」(北斎)モデル。波のように、はかなく泡と消えていくものに人生をかけるべきか、よく考えてみるべきだろう。

世間で思われている水準に比べ、平均的なメガバンク行員の生涯年収はそう高くもない。実は、総合職の中央値で比べると、大手商社の半分以下にとどまる。これは、20代の賃金が不当に安いまま抑えられてきたことに加え、52歳までに全員が銀行本体から出されて年収がほぼ半減するという、昭和時代からの特殊な賃金モデルによる。40代で出世競争に勝ち抜くと2千万円超に達するため上位1割がまずまず高いものの、その期間は短く、波が崩れるように52歳でストンと暴落し、半減する。この放物線を俯瞰すると、葛飾北斎の有名な富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」にも似た、ゆっくり上がってストンと落ちる絶叫ジェットコースター型になっていることがわかる。

Digest
  • 20代と50代が低く、40代のピークだけ高い
  • 横並びで初任給を引き上げ
  • みずほ銀「人事制度改定で来年、大量に辞める」
  • 入社後6年間も低い給料
  • 下積み&選別が進む20代
  • 1千万円貰うまで10年かかる
  • メガバンクは40代が全て
  • “伊佐山部長(市川猿之助)”の年収
  • ボリュームゾーンは「支店の次長」どまり
  • キャリア研修(たそがれ研修)後に辞める社員も
  • 三井住友銀もみずほ銀も51歳まで
  • バブル期前から続く銀行員の前倒し人生
  • 途中で辞めると退職金&年金没収のワナ
  • 三菱UFJ銀VS三菱商事 の年収推移
  • 銀行トップ層 VS 商社中位
  • 「ごまかし」「先送り」に限界がきた

20代と50代が低く、40代のピークだけ高い

なぜ高いようにみえる錯覚が起きているのかというと、40代のピークだけは確かに他業界に比べ高めで、総合職であれば全員が年収1000万円を超え、一部の出世組は2千5百万円に達するからだ。実際、筆者の同年代の知人が何人かメガバンクに就職したが、しっかり本部の部長に昇進している者もいる。

ところが、①20代と50代の賃金が、それに比して安い、②40代での出世組と非出世組の差が約2倍にも開く。そのため平均的な出世(ボリュームゾーン=中位出世モデル)だと、勤め上げた場合の生涯賃金は、そう高いともいえない水準に落ち着くわけである。

半沢直樹
原作者・池井戸潤氏は、三菱銀行出身で、現在の半沢淳一頭取は1988年入行のリアル同期。7年勤務した経験をもとに三菱銀行の内情が象徴的に描かれている。

ドラマ『半沢直樹』の主人公である半沢直樹は、43歳(2013年)で「本部 営業第二部 次長」のまま、出向を経て本部に戻り、同じ肩書きで50歳(2020年)を迎えている。

本部の次長は、同期で「上位10%には入っていないが上位30%には入っている」という、2番手集団にあたる。年収は2200万円前後である。

まずまずの出世組だが、2年後にグループ会社に出されて年収は半減未満となる運命だ。

賃金推移グラフ詳細版
詳細解説入り:三菱UFJ銀の賃金放物線(時系列分布図)

「本部の部長以上になれるのは、同期でも上位1割くらいの狭き門ですが、それでも52歳時に本体から出され、転籍先で用意されるポストが年収800万円の関連会社役員だったりします。下位のほうは、無理やり居残っても55歳で『専任行員』という身分に自動的に移行して『最大で年収560万円+残業代』になる労使協定が結ばれていますから、それよりは少しマシな条件で、50代前半までに出向・転籍を受け入れるのが一般的です」(三菱UFJ銀社員)

いわゆる「たそがれ研修」(40代半ばで、50代以降の行員人生について説明を受ける)で、こうした説明を受けることになるが、すでに40代半ばにもなると転職市場では競争力が弱く、社員の大半を占める支店キャリア(融資外勤営業=量産型銀行員)のスキルセットだと1千万円超は貰いすぎ水準なので、転職を思いとどまらざるを得ないケースも多いという。

横並びで初任給を引き上げ

歴史的な初任給上げに追い込まれたメガ
2023→2024年で入社が1年違うだけで、学卒で基本給5万円/月引き上げ。いかに人材市場を無視した値付けを長年にわたって放置してきたか…。

メガ3行は大枠で、同じ人事処遇システムになっている。代表例として、半沢淳一頭取率いる三菱UFJ銀行で説明する。新入社員の初任給は、昨年まで昭和時代の香りが残る「20万5千円」というメガバンクらしさを保っていたが、ついに重い腰をあげ、2024年4月入社から5万円引き上げ、大卒25万5千円に。それでも年収は400万円台半ばで、外資系投資銀・コンサル上位・GAFAといった就活トップ層の勤務先に比べると、約200万円安い。

みずほ銀も2024年から同5万5千円引き上げ26万円に。三井住友銀は、1年はやく2023年入社の新卒初任給から5万円引き上げ、25万5千円とした。1年ずらしたり、5千円ずらしたり、という苦肉の策がみえるが、メガバンクは何でも横並びカルテル体質があり、顧客や人材市場ではなく、他社と金融庁を見て仕事をしていることがよくわかる。

三菱UFJキャリアパスと報酬
三菱UFJ銀行のキャリアパスと報酬水準

三菱UFJ銀の実際の年収は、2019年に現在の制度になってから、「PG」で管理されている。これはコーン・フェリー・ヘイグループ(現コーン・フェリー・ジャパン)がグローバルで運用してきた「ヘイグレード」をベースに、「ポジショングレード」(PG)と呼び名を変えたものだという(右記参照)。

PGは、O(オフィサー)→M(マネージャー)→S(シニア)→理事→執行役と大きく4ステージに分かれ、PG1~PG30まで細分化されているが、実際の運用としては

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元三井住友銀行総合職の「おにきん」氏が説明しているので参考にされたい。51歳までしか保障されないのは、三井住友銀もみずほ銀も同じ。

三菱UFJ銀行VS三菱商事の中位出世組年収推移グラフ

三菱UFJ銀行トップ層VS三菱商事中位の年収推移グラフ

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