1.社員の人柄や人間関係が自分に合っている ♯【組織カルチャーが自分にフィットしている】
❐人間関係 ―生活軸『いい会社はどこにある?』
社風マップ |
俗に「体育会系」だとか、「ドライな社風」などと、さまざまな言われ方をする組織カルチャー。実に曖昧なので、分析の枠組みと、モノサシが必要だ。筆者の長年の取材では、「人柄の特徴(トップダウン⇔ボトムアップ)」と「社内の人間関係(ウエット⇔ドライ)」によって、大きく4つに分けられると思っている。
- Digest
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- 見極めるポイント
- 権限が1人に全集中
- 業界・ビジネスモデルで見分ける
- 人間関係の「ウエットさ」とイニシエーション
- 出征中の軍隊のような会社
- 住む場所にまでケチをつける
- 体育会系は世界で勝てる
- ZARAと真逆なユニクロの労働環境
- マニュアル化のないステルス式トップダウン
- 「上司ガチャ」がロシアンルーレット化
- 部活のシステマチックな運用
- 社員を近くに住ませる
- グーグルとNECの違い
見極めるポイント
第2章生活軸の構成(本稿は単行本『いい会社はどこにある?』の元原稿 《一部アップデート完全版》です) |
「人柄の特徴」で重要となるポイントは、上下関係である。カリスマ経営者がいるような企業は、トップダウンで末端まで統制し、それで業績が右肩あがりなら誰も文句を言えないので、そういう社風が、企業の成長とともに強化され固まっていく。
1人の天才経営者(+番頭)、そして残り全員が兵隊、である。当然、そこに入社すれば自己主張は許されないが、自分で考えなくてよいからラクである。そういう人柄の人物ばかりが組織に残り、出世していく。
トップダウン型の経営者は、社内に危機感を持たせるため、社員全員に厳しく、マイクロマネジメント※を行い、大企業でも朝令暮改(柔軟性が高い)。たとえばユニクロ社員を取材すると、現場の1社員や新入社員であっても、柳井社長のエピソードが次々と出てくる。そのくらい、独裁者的に、末端まで支配している。
※社員に権限を与えず、現場の細かい意思決定にまで介入しないと気がすまない管理手法。世の中で一番賢い自分がすべてを決めるからうまくいくのだ、という考えに基づく。
ユニクロ各店には、火曜夜に書類5枚ほどの情報が届く。1つは『営業部実行方針』だ。「たとえば、柳井社長が『いま売り場を見たが、商品を持ちすぎだ』と述べ、新方針を伝えます。先週までは『売り場パンパン』で、スケール感を持たせる方針を自分で指示していたのに、什器の連結を解体して全て変えろ、と。1週間でやらなきゃいけないので、ものすごく大変です」(元店長)
もう1つが『部長会議ニュース』。これは部長会議の議事録である。「店を各地域で統括するブロックリーダーと、商品化を担当するマーチャンダイザー、そして柳井社長で会議をした内容が伝えられます。マーチャンダイザーが商品の提案をすると、柳井社長が『キミは何を言ってるんだ』とキレてることが多いです。常に『ネガティブフィードバック』が特徴。たとえば大規模な会議をパシフィコ横浜で開いたことがあり、本部社員と店長以上の全員が参加し、海外組もイヤホンの同時通訳で聞くので、数千人規模です。佐藤可士和などが出てきて商品発表会をするのですが、それに対して柳井社長が、『こんな普通のファッションショーをやってるようじゃ終わりだ』といつものネガティブコメントを発し、社員たちをけなします」(同)
別の元社員も、その独裁ぶりを語る。「本部会議の内容が現場に回ってくるのですが、女性向け商品開発のトップを任され、ヒット商品『ヒートテック』『ブラトップ』の開発責任者でもあった白井恵美氏(女性初の執行役員)が、「同じものしか作らない人はいらない」などと公然と柳井社長から非難されるようになって、執行役員から外され、退職しました。副社長の澤田貴司氏や社長玉塚元一氏といったナンバー2クラスでも、どんどん否定され、辞めさせられ
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