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JT本社でタバコ濃度測定 非喫煙者でも喫煙スペースに案内するお客様相談係

情報提供
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JT本社1階にあるタリーズコーヒーの禁煙ルームにて。椅子の上に置かれているのがデジタル粉じん計。喫煙ルームとの扉に面した禁煙ルームの席で測定したところ、扉の開閉時には意外に高い数値が出た。
 健康増進法が施行されてなお進まない日本の分煙環境。タバコを独占販売するJT(日本たばこ産業株式会社)は足下の自社内では、どのような取り組みをしているのか。JT本社ビルをアポなしで訪問し、タバコ煙の濃度を測定した上で、お客様相談センターに疑問をぶつけた。その応対は手馴れたものだったが、タバコを吸わない2人が通されたのは、タバコの煙が充満したスペースだった。

◇デジタル粉じん計を抱えJT本社へ
 平日の午後、虎ノ門駅からJT本社ビルへ向かった。同行したのは会社員の男性(40歳)で、彼も私も非喫煙者だ。

 JT本社の敷地には、建物の外に石造りのベンチが設けられ、その全てに灰皿が設置されていて、腰掛けた人の2人に1人はタバコを吸っている。

 まずはここでデジタル粉じん計のスイッチを入れてみた。空気中に浮遊する粉じんの濃度を測定してデジタル表示できる機器で、受動喫煙の測定にも活用されている。

 この機器は、産業医科大学の研究員である中田ゆりさんからお借りした。中田さんは首都圏の飲食店のタバコの粉じんをデジタル粉じん計で測定し、分煙対策の実情を調査し、受動喫煙の防止対策を提言している。

 中田さんによれば、目安として、デジタル表示の数値(cpm)が188を超えれば、健康増進法や労働安全衛生法で規制されている0.15mg/立法メートルの濃度を上回ることになるという。

 健康増進法第25条には「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のタバコの煙を吸わされることをいう)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」とされ、その具体的な数値は厚生労働省により「デジタル粉じん計を用いて時間平均浮遊粉じん濃度が0.15mg/m3以下」とされている。

 労働安全衛生法労働安全衛生法第二十二条には「事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。 一  原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害」とあり、この粉じんには、タバコの煙も含まれる。

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JT本社(東京都港区虎ノ門)にて。
写真は上から
■本社前の灰皿付きベンチ。JT本社敷地内にある灰皿の備え付けられた石造りのベンチは喫煙者にとってのみの憩いの場所。清掃担当が頻繁に灰皿交換に来るが、そのたびにニコチンの匂いが鼻につく。

■玄関前で撮影をしようとしたところ、警備員が飛んできて制止されたためピンボケになった。JTお客様相談センターに問い合わせると、「無断の撮影を止めるように指示しているが、警備員から説明がなかったのは申し訳ありませんでした」とのこと。左側に光るオレンジのロゴがタリーズコーヒー店。

■1階ロビーベンチ。ガラス越しに水面を眺められる吹き抜けの空間だが、全てのベンチには灰皿が付いているため、たばこの臭いで心地良さが台無しになる。

■1階ロビーにあるベンチには全て灰皿が備え付けられ、喫煙者がたばこをくゆらせているため、非喫煙者の座れる場所はない。肩にかけた小さなショルダーバッグはタバコ煙の濃度を測るためのデジタル粉じん計。
 第百十九条では「該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と罰則規定を設けている。その実施のための事務所衛生基準規則第五条 で「室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。一  浮遊粉じん量が、〇・一五ミリグラム以下であること」とある。

 タバコ煙に影響されていない清浄な空気なら10~30あたりになるという。

 この日は快晴で風も強く、喫煙者も2、3人と少なかったため、最高でも80程度だった。

◇タリーズコーヒー喫煙席で計測
 JT本社の玄関を通り、1階ロビーに入る。1Fフロアは、タリーズコーヒーや「虎ノ門JTビル歯科」など医院がテナントとして入っており、もちろん非喫煙者も含む「多数の者が利用する施設」(健康増進法)である。

 1Fフロアにあるベンチに腰掛けながら、測定を開始した。全てのベンチには灰皿が備え付けられ、喫煙者がタバコをくゆらせていた。ここでの測定値は20と、それほど高い値は示さなかった。

 10分足らずでその場を去り、ビル内で営業しているタリーズコーヒー店(虎ノ門JTビル店)に入った。タリーズは、カフェチェーンの中でも分煙のレベルが高いことで知られている。

 それでも、ガラスで仕切った喫煙ルームの扉に面した禁煙席に座って約30分測定してみたところ、客が喫煙ルームから出入りする際の扉の開閉時には、100以上という高い数値を示した。

 その後、意を決して喫煙ルームに入り、約30分測定したが、最初の4分間が特に高く、最高で344と、0.15mg/立法メートルの目安となる200を大きく超える数値が出た。

 ヨーロッパでは公共の場での禁煙が進み、フランスでも禁煙法により2008年1月からカフェやバーも含め全面禁煙になる。ハワイでも昨年11月からレストランやバーを含めた公共の場所が全面禁煙となり、違反すると最大50ドルの罰金となる。

 タリーズの喫煙ルームを出て、エレベーターで22階にある総合受付へ向かった。

 受付では氏名と電話番号のみを記入し、同行した会社員は「他1名」と書けばOKだった。

◇タバコを吸わないのに喫煙ルームで面談開始
 受付前のベンチで待つこと10分。するとお客さま相談センターの部長と主任が現れ、おもむろにベンチの後方にあるテーブルに通された。そこはオープンスペースで、10台以上あるテーブル全てに灰皿が置かれていた。社員らしき人間が入れ替わりで常時20人ほどテーブルにつき、そのうち10人以上はタバコを吸っている状態だった。
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面談したJTお客様相談センター部長の名刺。なぜか代表電話のみでお客様相談センターの直通番号は載っていない。面談も半ばを過ぎてから口頭で03-5572-3336という直通番号を教えてくれた。丁重かつ隙の無い応対には感心したが、喫煙者か否かの打診もないまま、すぐに喫煙コーナーに案内されたのには驚ろかされた。

 中込  なかごみ 敬介担当部長「これは、どのような機械ですか?」

--デジタル粉じん計といって、タバコなどの粉じんを測る機械です。屋外だと10くらいの表示ですが、タリーズの喫煙ルームでは100から300くらいでした。こちらの表示はその累積ですが、喫煙ルームの約30分間でトータルとして約4600くらいでした。

 この数値が人間の体に与える影響について教えてもらいたくて来たのですが、いかがでしょうか?

中込「タバコの害ということからお話しますと、副流煙に関しては、吸わない方とかお子様とかにとっての迷惑になるものだということで、それとタバコの害というのはまた違う話です。

 一言で言ってしまうと、副流煙の害が科学的にどうこうということに関しては、私どもも知見を持っていませんし、パッケージに表記する要因になっているのは、全部疫学のデータ、統計学についてのデータなので、数値に関してロジカルにこのくらいだと危険だとか大丈夫だとかの回答は持ち合わせていません。たとえこの数字が何万ということでも同じことです」

◇数値について回答できないJT
中込「ガン1つとっても、食生活とかいろんな要因があり、タバコだけでの話ではありません。マウスの実験では、皮膚を切り裂いてタバコのタールを繰り返し塗ったらがん細胞ができたという話がありますが、それを吸う本数に換算すると、1日に何千本ということになります。

 だから、タバコだけでガンを作りだすことは難しい。いずれにしても、数値についての話は、回答できることはありません」

--この測定器を貸してくれた人の話では、この数値で200を表示すると、厚生労働省が定めている0.15mg/立法メートルという基準を超える目安だそうです。それより低くても、いろんなリスクはあると思います。

 その数値が基準として設定された根拠はわからないので、教えてもらいたいのですが。

中込「厚生労働省が定めたところについては、私も知識は持っていませんが、健康増進法に定められているところでも、分煙しろと書いているわけではなくて、タバコについては適切な対応をしろ、と書いてあることと、努力目標として数値があるのであれば、罰則がなくても、施設の管理者としては努力しなければいけません。

 定められた数値に対して、測った数値がどのくらい危ないだろう、ということになると、定められた数値は厚生労働省さんしかわからないかもしれないし、数値については疫学的なものしかないので、どのくらい危ないとかはわかりません」

 JTのこれらのコメントに対して、中田さんは次のように話す。

 「空気を遮断して完全に分煙しているように見えても、実際にはこのように禁煙席へと煙が漏れる不完全分煙がほとんど。特に、喫煙ルームの中に立ち入って働かなくてはならない労働者は、濃度の高い受動喫煙に曝露され健康が脅かされていることも事実です。

 JTは、サービス業で働いている数多くの労働者がこのように危険な受動喫煙を浴びていることについてどのように考えているのでしょうか?

 WHO(世界保健機構)は、受動喫煙に安全なレベルはなく、わずかな量でも危険であると警鐘を鳴らしています。また、数多くの研究において受動喫煙の健康被害が報告されています。受動喫煙の害に関して知見がない、答えられないという態度は製造側として無責任です。

 分煙あるいは禁煙しなくては、適切な対応をすることができません。分煙の基準については、厚労省から明確なガイドラインが出ています。
■新たな職場における喫煙対策のためのガイドラインの策定について
■分煙効果判定基準策定検討会報告書

 タバコを製造し販売する会社としては、きちんとこの数値を守るようタバコ煙を測定し対処するべきです。

 自社の製品が人体に及ぼす影響について、こちらではわからない、という返答は無責任と感じます。嗜好品であるお茶やコーヒーそのもの、あるいはその香りに強い発がん性があると証明されているなら、企業は売らないでしょうし、知らなかったなどということは社会常識的にも許されないことでしょう」

◇面談時の煙害に体調を崩す同行者
 中込担当部長らと話しているうちに、同行の会社員の具合が悪くなるのを感じて、デジタル粉じん計の数値を見てみると、いつの間にか130を超えていた。

 ここで、たまりかねた同行者が口を開いた。

会社員「ここは、みなさんのスペースなのですか?」

中込「基本的に面会で来られた方とお会いするスペースです。部屋がふさがっていたので、

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■粉じん調査(データ分析・作図産業医科大学研究員中田ゆり氏)◆図(上)JT屋外ベンチ:体感的にはたばこの臭いを強く感じたが、風が強く煙が流されたためか、ベンチに置いた測定器の数値は低めだった。JT1階ロビー:灰皿に比べて測定器を置いたベンチの位置が低かったためか、体感した臭いに比べて数値は低かった。タリーズ禁煙コーナー:禁煙コーナーとはいえ、平均して屋外の3倍から5倍の濃度。100を超えた部分は、喫煙ルームの扉が開閉されたためと思われる。タリーズ喫煙コーナー→エレベーター→22階受付→喫煙スペース:32分まではタリーズ喫煙コーナーで測定。入ってすぐに規制値の目安となる200を大きく超えている。その後、1階ロビーに出てからエレベーターで22階に上がるまでの10分間は数値が下がるが、22階のフロアに出た42分からはまた上昇し、喫煙スペースのテーブルについた56分頃からはより高くなり、同行者の体調が悪化した88分頃にはピークを迎えていた。◆グラフ(下)JT本社のタバコ粉じん濃度グラフ:粉じん濃度0.15が健康増進法と労働安全衛生法による規制値。横軸は分単位の時間経過。完全禁煙の室内での粉じん濃度は、0.01程度なので、JT本社内の空気がいかにタバコに汚染されているかがわかる。

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隣人は逆切れ毒蛍族2014/07/16 17:08
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