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【こだわりグルメ】国内唯一の天然酵母ビール 博石館「自然麦酒」(ビール/お取り寄せ)

情報提供
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天然酵母ビール「自然麦酒」が造られている博石館工場内部。
 麦芽100%で自然発酵の地ビールを探していたが、天然酵母であっても、大手と同様、純粋培養されたビール酵母菌のものしかなかった。ベルギーのランビックビールのように、昔ながらのビール造りができないものかと考えてたおり、自然発酵の天然酵母ビールの開発に長年取り組んでいた博石館ビール(岐阜県中津川市)の職人と出会い、自然発酵ビールの発売をお願いして2001年にできあがったのが「自然麦酒」だ。麦芽もホップもオーガニック、仕込み水は地下水を無処理で使用、副原料なし。ビン内熟成で、ワインのような独特のおいしさだ。
◇ビールのはじまり
 ビール造りの歴史は紀元前6000年頃から始まったとされる。最初は雨に濡れたパンに空気中の酵母が取り付きビールが出来たものとされている。酵母が取り付いて発酵を行っていることなど知らない大昔の人にとっては、神様の贈り物ぐらいに考えられていたのだろう。

 ビール造りの長い歴史において酵母がアルコールを造りだすことを発見したのは、ほんの100年前の事だ。その後酵母を純粋培養する技術が確立され、現在では純粋培養された酵母を仕込みに使うことが当たり前となっていた。現在のような純粋培養が行われるまでは運を天に任せるような気持ちでビール造りを行っていたものと思われる。

 ビール造りにおいて通常は安定した味わいを出すため一種類の酵母だけを選択的に純粋培養し選択された酵母以外は使わないようにし、さらに酵母以外の乳酸菌などは一切入れてはならないということが常識とされている。

 しかし現在でも大昔と同じく空気中の浮遊酵母を採取してビール造りを行っている地方がベルギーのブリュセル周辺で10数軒あり、ランビックビールという少し酸味の強いビールを昔ながらに造っている。

 ドイツでは、1516年にバイエルン地方の君主だったウィルヘルム四世の公布した「ビール純粋令」があり、大麦の麦芽、ホップ、水、酵母だけで造られた、いわゆる麦芽100%のものしかビールとは言えない。これ以外の副原料を使ったものは、ビールとは言えないのだ。しかし、近年ドイツの最高裁判所が砂糖入りのビールを認めてしまい、この「ビール純粋令」は崩れかけている。

 ドイツ以外日本などでは、副原料として穀類やデンプンや糖液などの使用が認められている。原材料表示にコーンスターチと書いてあるビールがあるが、トウモロコシのデンプンのことだ。これではビールというよりビールもどきだ。

 また、最近ビールのような発泡酒が良く売れている。発泡酒とは、水とホップ以外の原材料の麦芽使用率が3分の2未満のものだ。3分の2以上あればビールになる。麦芽使用率が低いほど、酒税が安いため、発泡酒の価格が安いのだ。

 ただし、麦芽使用率が3分の2以上で麦芽100%でも、決められた副原料(コーンスターチなど)以外の果汁や香料などを入れると発泡酒になる。

◇探し続けた天然酵母ビール
 近年、日本でも消費者の本物志向のニーズに応えて、副原料を一切使わない麦芽100%のビールが増えている。

 酒税法の改正で最近増えた地ビールは、大麦やホップや水にこだわり、オリジナルのビールをアピールしているが、肝心なビール酵母菌は、大手メーカーと同じような純粋培養されたビール酵母菌を使っている。「ビール純粋令」のあるドイツでも純粋培養されたビール酵母菌の使用を認めている。

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石のテーマパーク「博石館」にあるレストラン「バッカス」。

博石館ビール

◆住所:〒509-8301 岐阜県中津川市蛭川田原5251-1
◆TEL0573-46-0015 FAX0573-45-3303
◆E-mail:info@hakusekikan-beer.jp
 だが、純粋培養されたビール酵母菌を使うと、菌の遺伝子操作の疑いや、培養液に化学調味料などが使われている可能性が高く、自然発酵のほうが望ましい(【こだわりグルメ】マルカワみそで紹介した「発酵醸造菌の培養液」と「遺伝子操作菌」参照)。

 私は2000年(平成12)頃から純粋培養されたビール酵母菌を一切使わない、自然発酵の地ビールを探し始めた。「天然酵母ビール」と宣伝している地ビールがいくつかあったが、それらの酵母は樹木や花などの天然酵母だが、純粋培養されたものだった。これでは、大手メーカーのビールと変わらない。

 「天然酵母」の定義が曖昧なため、新たに花や土などの自然界から天然酵母を採取して使っていれば、たとえ純粋培養しても「天然酵母」と言っているようだ。

◇自然発酵ビールの試作から発売へ
 2001年(平成13)5月になって、岐阜県中津川市の博石館ビールが自然発酵の天然酵母ビールの開発に取り組んでいる、という情報が入った。

 早速、博石館ビールに見学に行った。

 博石館は石材の加工会社が母体となり、1985年(昭和60)に石の博物館として開館した。結婚式場やレストランやコンサート会場などがある施設で、1997年(平成9)から地ビールの醸造を始めた。

 当初は一般的な純粋培養のビール酵母を使っていたが、担当のビール造りの職人である丹羽智さんが以前から、自然発酵のビールをぜひ造ってみたいと長年研究開発をしていた。

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ビール職人の丹羽智さん。「自然発酵のビールをぜひ造ってみたい」と長年研究開発をしていたことが、「自然麦酒」につながった。
 岩本社長と丹羽さんに市販のビール酵母菌の現状を説明し、自然発酵のビールを発売して頂けるようお願いした。丹羽さんはこれまでの経験を生かし、自然発酵ビールの完成を目指した。

 丹羽智さんはビール造りを始めた時からベルギーのランビックビールのように空中を浮遊している酵母を使い、この日本でも同じような昔ながらのビール造りができないものかといつも思い続け、ビールの仕込みに使う麦汁を屋外に持ち出し酵母が取り付かないものかと幾度となく実験を繰り返していた。

 そんな時、丹羽さんはたまたまベルギーのランビックビールの醸造所に出掛ける機会に恵まれ、昔ながらのビール造りを見学することが出来た。

 その時のことを丹羽さんは「醸造所に入って先ず驚いたのは匂いです。私の実家は昔から味噌、醤油を自宅で消費する分だけを作り続けていましたが、まさにその味噌蔵の土臭いにおいでした。その匂いに懐かしさと同時に驚いてしまいました。その時に頭の中にピンと閃くものがあり、日本でもベルギーと同じようなビール造りが出来るのではないかと確信をしました」と言っている。

帰国後また以前と同じような麦汁を外に持ち出し、また取り込み恒温器で数日温めるという作業の繰り返しを何十回も繰り返したが、何れも失敗に終わってしまった。

 2001年(平成13)3月の寒い日にいつもと同じように外に出し恒温器に取り込み、3日後の朝、シャッターを開けて工場に入ったところ、あのベルギーの醸造所のあの味噌蔵の匂いがするのに驚き、早速恒温器を覗いたところ、真っ白な細かい泡が吹き上がり発酵が始まっていた。

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