【スピ11】自称貧乏ジャーナリスト、「貧乏&暇な境遇で書いたハリポタ作者タイプ」の鑑定
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カウンセリングが行われた青山のマンション(当時)。 |
◇遅刻してあわてて駆け込む
7月初めの蒸し暑い日の昼過ぎだった。電話で予約をしたのがかれこれ1カ月前。サラ金苦から強盗をやった自衛官の取材やら、イジメられて自殺した警官の取材やらで飛び回っているうちに、危うく忘れるところだった。
テレビを見ないせいか、「スピリチュアル企画やりますよ」と聞いても「スピリチュアル」というカタカナがよく理解できなかった。どうせ視聴率稼ぎを狙ったテレビの仕掛けではないか。そんなうがった気持ちで訪れたのは、都内でスピリチュアル業を営む女性霊能者Aさんのもとだ。
予約の日時の直前になってバタバタと出かけた次第だが、案の定、目当ての青山のマンション(当時の鑑定場所)が見つからない。約束の時間まであと数分というのに、右往左往する有様である。
料金は前払いで、40分コース1万2600円。すでに取材費としてMyNewsJapanから振り込んでもらっている。無駄にはしたくない。
「ああ、なんで東京はこんなにビルだらけなんだ!」
思わず毒づいてしまう。すぐにやけを起こすのは悪い癖である。大学時代、剣道の試合でなかなか勝てなかった理由のひとつは、精神的な弱さだった。
わたしは、これから霊能者に視てもらおうというときに、はからずも弱点をさらけだしてしまったわけだ。
雨が降りだした。住所を書いたメモがよれよれになり文字がにじむ。焦って電話をかける。
「はい、Iです…」
しごく落ち着いた女性の声がした。受付担当者らしい。
--あの・・予約している三宅ですが、ちょ、ちょっと、場所がわからなくて。遅れてしまいそうなんです。
「大丈夫ですよ。いまどちらですか?」
こういうときに、キンキンした声で応答されていたら最悪の気分になっていただろう。しかし受付の女性は親切に、しかも的確に道案内をしてくれた。すさんだ気持ちは少しやわらいだ。
目的地のマンションは眼の前にあった。雨が降るなかタオルを頭に乗せてマンションの部屋に入る。10分の遅刻だ。ほのかに香水がただよう。
「・・・黄色いタオルを頭に載せて歩いていたでしょう?」
吹き出る汗をタオルでぬぐっているわたしを、Aさんは微笑をたたえて迎えた。慌てふためくわたしの醜態を、Aさんは3階の部屋から見ていたようだ。
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毎回出してくれる「カバラ(数秘術)」。ライフナンバー7。「7の人は変わった人が多い」とAさん。![]() |
「はい、では最初にこちらにお名前と、西暦でお誕生日を」
1965年9月21日生まれ、三宅勝久--言われるままに正直に書く。
「では、三宅さん。今日はどういうことから視ていけばいいですか?」
霊能者に取り立てて何を期待していたわけではないわたしは、漠然と感じている悩みのようなものを適当に言ってみた。
--40歳すぎて、いろいろなできごともあって行き詰まり感があったり、自分がどういう人間なのかを知りたい。
「うん、わかりました。なるほど、はい」
Aさんは、ワープロで升目や文字の書き込まれた用紙を取り出すと、なにやらごちゃごちゃ数字を書きはじめた。
「まず、数秘のチャートをつくってみます」
数秘のチャート? 紙の上部には「カバラ数秘術でみる人生のサイクル」とある。まったく理解できない。ただ「カバラ」という言葉だけは聞いたことがある。数字を書き終えたAさんは、テンポよく説明をはじめた。
紙の右上にある「ライフナンバー/魂の目的」という部分には「7」と書かれている。
「7の人は変わった人が多いです」
変人と言われるのは慣れている。かつては悪い気はしなかった。だが「変人宰相」小泉純一郎の出現で、わたしの変人のイメージは一変した。人の痛みがわからない変人と一緒にされたくはない。
Aさんが続ける。
「うん。エネルギー集中型なんですね。一点に集中しちゃうとほかのものが見れないというか(笑)。だから、職人的だしプロなんだけども、いわゆる調和の和というのが、うん、実は苦手だったりするんですよ」
今度は少し面映い気分になった。勝手なものだ。なるほど、わたしの性格をつかんでいる。
数字の羅列を見ながらの人生分析が始まった。上、中、下と3段の数字が並び、わきにAさんは人間のイラストを書き込む。1段目は「人生の動機、誘因、精神的な作用」、2段目には「実際の行動」、3段目は「不安定箇所」などと説明書きがなされている。
3段の数字が、横に4列並ぶ。年をとるごとに左から右に進んでいくようだ。左からそれぞれ形成期、生産期(前、後)、収穫期と名づけられている。
「人生の、これをたとえば、大きな三宅さんの人生、小説だったとするじゃないですか。起承転結の『転』のところに入っているんだと思っていただければ…」
42歳にして「転」。人生が中盤を過ぎていることを、嫌でも思い知らされる。
分析は続く。
「最後の4番目のステージ、ここが48歳からのステージ。よかったですね(笑)」
Aさんはそう言って笑った。6年後の「収穫期」から人生が上向きになるのだという。
「4っていうのがすごく安定的な数字なんですよ。だから、相変わらず自分の才能を使っていろんなことをやらなきゃいけないかもしれないけれども、現実的にはきっと安定します。だからあと6年間くらいで、ここをどう完成させていくかが一番大きなところかなと」
要するに、やけを起こさずまじめに生きていれば、あと4~5年したら展望は開けるだろう。そういうことのようだ。悪い気はしないが、ありきたりの人生相談である。
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Aさんが説明してくれたグループには、職人、作家、研究者、絵描きなどがいる。![]() |
やがてAさんは紙から目を起こすと、わたしの周囲を眺めるような表情で一気に語りはじめた。
「それであと三宅さんの前世も含めて、どういうグループに属している、どういう魂なのかを見たときにはね。やっぱりね、作家、研究者のほかにね、どういう仕事かというと…職人さん」
--うーん。
前世、グループ、魂…何のことかよく理解できない。わたしは、あっけにとられて聞いていた。
「ひとつ、この職人というところにはっきり出てくるのがね、ガラス職人なんだ(笑)」
--ガラス職人?
唐突である。
「うん。しかも、おそらく宣教師だとかそういう人なんだけど、なぜか職人。要するに、おそらく教会を運営していくお金をつくるために、たとえば日本の修道院でもクッキーつくっていたり、バターつくってたりするじゃないですか(笑)。外国だとワインつくってたりとか、なんかそこはガラス工房があったみたいなんですよ」
Aさんは語り続ける。彼女の脳裏にどんな光景が映っているのか、判断のしようもない。
「うん、あと絵描きさん。だから芸術家肌なんですね、うん…あと、靴職人みたいな人もいました」
わたしの風貌は、どうやってもサラリーマンには見えないだろう。だいたい平日の昼間にやって来るのだから無職か、自営業しか考えられない。職人とか、芸術家とか、単に思いつきで言っているのではないか
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