2009年1月5日から2週間の業務停止処分を受ける債務整理専門の司法書士法人「朝日ホームロイヤー」(東京都・市ヶ谷)。年末押し迫った時期でも忙しそうに多くの従業員が作業を行っていた(2008年12月29日撮影)
|
「過払い金返還代理人」のCMや広告で知られる大手司法書士法人「朝日ホームロイヤー」(東京都新宿区)が、近く業務停止処分を受けることがわかった。遠方に在住する多重債務者を面談抜きで受任、ずさんな処理をするモラルなき「過払いビジネス」に、監督当局がようやく摘発に乗り出した。一方、同法人を影で操る「理事長」の存在も浮上し、怪しさは深まるばかり。だが同社事務局長の清水弘興氏は「説明責任はない」と言い切った。
【Digest】
◇「守秘義務」繰り返す事務局長
◇ 処分の端緒は全国放映のCMか
◇ 「7割が地方客。面談なしで受任」
◇ 「ドル箱」の過払い金回収部門
◇ 続々と”脱出”する事務員、司法書士
◇ 謎の「理事長」白橋栄治氏
◇ 社歌の作詞者「朝日白栄」って誰?
◇「守秘義務」繰り返す事務局長
業務停止処分命令は新年1月5日、監督者である東京法務局長から、ロイヤー代表の奥出欣二司法書士に文書で手渡されるという。処分期間は同日から18日までの2週間。地方の多重債務者について面談もせずに債務整理を受任、数年間も放置するなどした事実が問題視されたとみられる。詳細な理由は、処分後に公表される見通しだ。
→22万円払っても1年以上放置する朝日ホームロイヤーの“過払いビジネス”
今月29日、筆者は事実確認のため、東京・市ヶ谷にある朝日ホームロイヤーの事務所を訪れた。防衛省に近い瀟洒なオフィスビルの12階に上がると、廊下の突き当たりに「朝日ホームロイヤー」の看板が目に入る。左手のガラス戸越しに中をうかがうと、年の瀬にもかかわらず大勢の事務員らしい職員が机に向かって作業をしている。
やがて応接室に現れた事務局長の清水弘興氏に、単刀直入に尋ねた。
三宅 業務停止処分されると聞いているが、そういう事実はありますか。
清水 はい。あります。
清水事務局長はあっさりと認めた。だが質問を続けようとした途端、口を閉ざした。
清水 わが方は法律に基づいて守秘義務が課せられています。
三宅 どういう法律ですか?
清水 いや、それはあなたが調べてください。
三宅 いや、あなたが「守秘義務」でお話できないとおっしゃっているんですから、どういう法律に基づいて話せないのか説明してください。
清水 あらゆる法律と関係してきますので…説明するには時間がかかるんで…
「守秘義務」を繰り返し、要領を得ない。そこで、すでに聞き及んでいた処分の概要をぶつけてみる。
三宅 地方の依頼者を面談もせずに受任し、さらに何年間も放置していた、そういう事件だと聞いているんですが。間違いないですか?
清水 個々の案件については守秘義務があるから話せません。
三宅 司法書士法人「朝日ホームロイヤー」の業務に関すること、どんな問題があったかを聞いているんです。個々のことを聞いているのではありませんよ。
清水 守秘義務があるから話せません。
三宅 じゃ、その法的根拠を。
清水 法的根拠も守秘義務があって話せません。いっさい話すつもりはありません。
三宅 説明になっていませんが…
清水 だから結構です。あなたがどう書かれようと。解釈した範囲でお書きになって結構です。
とりつく島がない。「説明責任というのはないのか」とも質したが、清水事務局長は「ありません」と言い切った。
処分の詳しい内容は、1月5日以降になされる日本司法書士会連合会の発表を待つほかない。
◇処分の端緒は全国放映のCMか
朝日ホームロイヤーは、「債務整理業界の大手」を自認する.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
|
2006年ごろには東京・神田の雑居ビルに事務所を構えていた朝日ホームロイヤー(右)は、その後急成長を遂げて、230坪(基準階面積)もあるオフィスビルに移った(左)。100人以上の従業員がいるが、処分以降、大量の首切りがされるとの噂もある。
|
|
|
「理事長」と呼ばれ、朝日ホームロイヤーに出入りしているという元司法書士の白橋栄治氏。ロイヤーとの関係は定かではない(『週刊新潮』1987年4月9日号掲載記事「西尾かおるさんに訴えられた仲宗根美樹の元亭主」より
 |
|
|
朝日ホームロイヤーの社歌が書かれたカード。作詞者の朝日白栄氏と「理事長」白橋栄治氏は別人だとロイヤーの事務局長は説明するのだが…。
 |
|
