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05/02 2011
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『日本語能力試験N1総合問題集』(高橋書店)より。『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』を転載。
 昔から国語の試験は嫌いで、僕は大学入試でも国語がないところばかり受けて(実際、英語と論文の2科目だけだった)、入社試験も国語がないところにした(読売は国語があって辟易としたが日経はなかった)。

 国語の文章力読解テストというのはグレーゾーンが多く、胡散臭いのだ。文章の解釈に答えなんかないだろう。読む人によって違って当然なのだから。著者に聞いたのかよ、漱石死んでるじゃん、と。

 このほど自分の文章がテストになったものを見て、改めてその胡散臭さを確信した。これは『日本語能力試験N1総合問題集』(高橋書店)だ。

 日本語能力試験とは、日本人が英語のTOEICを受けるように、外国人が日本語能力を試される試験で、最上級のN1から最下級のN5まで5段階のレベルがあるそうだ。これは最上級N1の読解対策問題集である。

 62番なんて、この文章からまとめるとしたら、どれも正確に言えば正しくないし、どれも間違っていない。1番については、そういうことを書いている。2番は、知識うんぬんについての議論はしていない。3番は、コンサル時代のことについてそう書いているし、間違っていない。4番は、究極的に深読みすれば正しい。

 しかし、答えは1つだけ選ばなくてはならない。これでは外国人学生も困るだろう。迷った挙句、答えと解説を見ても、どうも納得できる説明ではなかった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
13:11 05/02 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1552)


04/25 2011
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2007年8月の出版
 韓国の20代の世代論、特に若手ワープアについて書かれた本。こういった日本国外の実態を読むと、日本のロスジェネって、ほとんど問題ではないな、という思いを強くするとともに、日本の未来の姿にダブるのでは、と思った。

 韓国は1997年のIMF危機後、国の生き残りをかけて経済を自由化せざるをえなかった。その過程で、まず年功序列が崩れ、次に正規職が崩れた。IMF危機で社員が減らされ、その後に再雇用されたのは、ほとんど非正規社員だった。

 市場の失敗である「独占」が進み、政府もこれを容認。“逆独禁法”である。グローバル市場で生き残るために「選択と集中」を政府自らが進めた結果、サムスンのような巨大な企業は強くなって世界で生き残ったが、大企業に入社できないほとんどの20代社員は、待遇の悪い中小企業の社員か、非正規労働者になるしかなかった。

 IMF危機後、大資本によるフランチャイズ化が急速に進んだ結果、自営業者になる道すら閉ざされ、商店街は沈没した。

 結果、中国やインドと同様、アメリカ留学生が増え、韓国国内には戻らないケースも増える傾向にある。国を見捨てるパターンだ。

 新自由主義のもと、経済は年4~5%成長と回復したが、大企業に入社できない9割以上の若者は見捨てられた形となった。本書では、非正規市場強化へと電撃転換した大統領・盧武鉉(ノムヒョン=就任期間2003~2008年)が最大の戦犯とされている。

 本書は雨宮処凛氏推薦とあって、著者が超左派的な人物(日本でいう連合の人みたいに「雇用の流動性=悪、安定=善」という考え)であることからマイナス面しか記されていないが、一方で、そうやって蓄えた利益でサムソンは日本企業を圧倒的に凌駕する利益を叩き出し、世界の中で存在感を示している。新自由主義をとらなかったら、サムソンすら生き残れず、韓国経済は、まるごと没落して「世界の負け組」となり、今より悪化している可能性が高い。

 つまり、誰が大統領でも、IMF危機のような状態になれば、金大中-盧武鉉路線(=いわゆる新自由主義)しか選択の余地はなかったのだと思う。これは論理的に考えれば当然で、経済が崩壊しているのに、生易しい「保護」だの「規制」だのとは言っていられないわけである。韓国も日本も、原油など天然資源に恵まれていない以上、厳しい競争のなかでしか世界のなかで生き残れないのだ。

 にもかかわらず、日本の「くれくれ保護しろ」的な、甘ったれた現状を見るにつけ、そのツケはどれほど大きくなってしっぺ返しを受けるのだろうか、とつくづく思う。韓国の現状を見れば少しは理解できそうなものであるが、そのときが来なければ人間、なかなか分からないものなのだろう。

 
02:05 04/25 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(908)


04/15 2011
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 僕は芥川賞と直木賞の違いも理解していない小説オンチなのだが、薦められて芥川賞作品だという『苦役列車』を読んだら、久しぶりに最後まで読めた。だいたい小説モノの8割は最初の100頁までに挫折するので、極めて珍しい。

 そもそも「事実は小説より奇なり」で、ノンフィクションのほうが面白いから、小説はダメだと思っていて、普段からほぼ読まない。夏目漱石や芥川龍之介の作品も未だに面白いとか価値があると思ったためしがない。一言でいうと退屈。

 なのに、なぜ最後まで読めたのか。インタビュー記事を見て、なるほど、と思った。

 『苦役列車』は9割以上が本当の話です。ただ、実際はちょっと違いますが、この状況だったらこうするだろうなというところだけはフィクションとして入れています。貫多と一緒に日雇いのアルバイトをしている日下部は、実際にはあのままの姿かたちでは存在していません。何人かのキャラクターを寄せ集めてできたほぼ架空の人物です。

 著者は中卒で、父親が性犯罪逮捕歴があり、著者自身も暴行傷害事件で二度逮捕歴があるという、幻冬舎・見城氏がいかにも好きそうなタイプ。それでも自身の「世間的に負」なプロフィールを作品中でも、まったく隠さない。

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メモ入れは9箇所
 こういう、ウソをつかない正直なキャラは好感を持てる。本作品は、荒唐無稽な話では全くなく、事実の寄せ集めなのだった。世の小説のほとんどは、「それはない、起こりえないな」「ロジックが通ってない」→「実世界では何の足しにもならない、つまらない」で終了なのだが、本作品は9割以上事実の「私小説」ということで、圧倒的なリアリティーがあった。

 主人公・貫多と、対照的な立場の「日下部」がメインキャストなのだが、登場人物が4人も5人も出てくるとうざいから1人にまとめて日下部という人物にしているわけで、これは小説ならではの利点だと思う。ノンフィクションは一切の創作を許されない世界だが、小説では、著者が伝えたいメッセージを表現するための最短距離で、物語を作れるのだ。

 この本では、「それはねーだろ」と突っ込むところが、1つもない。ああ、そうなんだろうな、と納得させられることしきりだった。ノンフィクションが好きな人にお勧め。

 特徴をまとめると、以下。

①タイトルが抜群。『深夜特急』もそうだが、いい作品はタイトルもシンプルでいい。苦役列車ね、確かに、なるほど、って感じ。

②港湾労働者の実態を描いたジャーナリズム的な価値。『自動車絶望工場』のような潜入ルポ的な面白さがある。

③小説ならではの深い心象表現。表現やたとえがうまくて、そういうところが印象に残る。主人公(著者)の偽らざる心の深いところが描かれてる。

④登場人物が少なく、行動範囲が狭いのがいい。長編小説でありがちな「その人、どこの誰だっけ」問題が読んでいて発生しない。出てくる具体的な地名がみんなイメージできる都内なのもいい。

⑤難点は、文体が明治時代なところ。昔の本読みすぎだろ、国語の時間かよ、オマエいつの時代の人間だよ、ってずっと思ってた。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
20:48 04/15 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1019)


04/01 2011
 人生ではじめて、小説を書いて『週刊東洋経済』で発表した。シミュレーションドキュメンタリー短編小説、全6ページ、約1万字である。

 作文というのは、一番重要なのが「書き出し」で、次に重要なのが「終わり」だと思っている。最初と最後がよくないと、中身など二の次で、そもそも読まれない。読まれないものは存在価値ゼロだ。

 書き出しは「先を読みたくなるかどうか」が重要である。センスのよさも問われる。今回は、1週間くらい考えたすえに、書き出しはこうした。

 その日が注目されるのも、無理からぬことだった。2013年10月×日、毎月1度の、10年物利付国債の入札日。

 そして、書き始めて、途中からは、どうやって終わりにしようか、ずっと考え続けていた。終わりは、「示唆するもの」が含まれていて、なるほど、読んでよかった、と読者に思わせないといけない。

 終わりの場面が見えて、思いついて、よし、これでいい、と思えると、あとは早かった。それが最後の1文である。兄弟が再開し、別れる場面で小説は終わる。

 丸の内の旧本社ビルには赤い国旗がはためき、銀行名からは「四菱」の文字が消えていた。

 日本経済は復活するが、光と影の「影」の部分を示唆している。影の部分は、格差の拡大についての記述がその前にあるのだが、それに加えて終わりで言いたいのは、もちろん、自力で復活できずに中国企業の力を借り、半ば侵略されてしまった悲しさである。

 伏線として、「外圧がないと変われない」日本について主人公に前半で語らせている。日本の歴史的背景や銀行の合併にともなう社名変更など、歴史や経営の基本を理解していないレベルの人には響かないが、分かる人には染み入る。そのくらいがちょうどいい。

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 ちなみに、左記は、私が日経の入社試験で書いた作文を、家に帰って思い出しながら書いたものである。お題は「不安」で制限時間は1時間、字数は1千字。ちょうどオウム真理教のテロと阪神大震災の直後(95年)で、都知事選の年で、現在と似たご時世だった。

 これも、書き出しがいい。終わりも悪くない。その場でこれを書いたとき、僕は文才があるかもしれないな、と思ったものである。

 この試験に先立ち、今でも覚えているのは、ゼミの先輩(今は共同通信にいる吉浦さん)と就職活動のときに、よい作文とは何か、について話していたときのことだ。

 「たとえば『始まりは、ささいなことだった』なんて書き始めだったら、先を読みたくなるだろう?」

 そう言われて、確かにそうだと思い、書き始めに気を遣うようになった。僕はとても素直な人間なので、良いことはすぐに取り入れる。

 そして、就活の作文についていえば、会ってみたくなるかどうか、が重要で、そういう文の終わり方をしているか、がポイントとなる。僕が読む側だったら、とりあえずこいつは面接に呼ぶか、と今でも思うだろう。

◇加害者にだけはなりたくない
 もとから僕は、大学教授や弁護士や官僚の文章を読むたびに、そのサービス精神のなさにアタマに来ることしきりであった。こんなクズ文ばかり書いて、よく仕事の対価を得ているものだ、と今でもビックリしている。

 学生時代に課題図書を読まされると、いつも文句タラタラ(興味をそそらねーんだよ、つまんねーんだよ、へたくそなんだよ、頭悪すぎだろ…)だったので、自然と「絶対に自分が加害者になってはいけない、加害者にだけはなりたくない」という意識から、まともな文章とは何か、を考えるようになっていた。

 だから、能力が高く、読解力に優れた人は、僕と違って、難解な文章もスラスラ理解できてしまうので、自分自身も難解な文章を書くようになり、「文才」も開発されないのだと思う。

 ある部分が欠落しているからこそ、他の部分が秀でていく。何かを失うからこそ、何かを得られる。これは、人生全般にいえることだろう。

 
05:45 04/01 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1933)


03/11 2011
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1ヶ月以上も続くわけないと思うので、「誤報」の予報しとく
 今日の地震発生時は、取材を終えて丸の内(丸ビル)にいた。女性は柱にしがみついていたが、男性は普通に歩いている人が多い。女性はこういうとき、反射的に怖がるよう教育されてるのか?と思った。ようは、ぶってるな、と。最新設備のビルなのだから、丸ビル内にいれば世界一安全であることは、考えるまでもなく明らかなのに。

 今日の教訓は、「帰宅困難者」というのを実感できたことだ。

 いま思えば、最良の行動は、すぐにビルを飛び出して、とにかくタクシーを捕まえることだった。この初動に失敗した私は、ひたすら2時間歩くはめになる。

 いつもはあれほど沢山いるタクシーが都内にほとんどいない。タクシー乗り場は、20人以上の列。待っていてもほとんど来ないのだが、歩ける距離ではないために待つしかない人がいるのも理解できる。

 地下鉄も電車もみんな全線ストップが夜まで続く。バスはゲロゲロに混んでいる。電車は、ノロノロ運転でもいいから動かせばいいのに、地震のときは完全に止めてしまう、ということが分かった。ホテルも一杯だろうし、他県からたまたま都心にいた人なんて、本当に家に帰れないじゃないか、これじゃ。

 飲食店も、なぜか地震を理由に7割がたは閉店していた。べつに営業すればいいのに、そのほうがみんな助かるのに、と思った。こうなると、食料の確保すら不安だし、歩いていても、トイレを探すのすら難しい。

 結局、丸の内から麻布まで、2時間近くかけて歩いた。さらに、マンションもエレベータが予想に反して復旧しておらず、16階まで、はじめて階段を昇った。家のガスは止まっていたので、久しぶりに再起動した。予想以上に家はちらかっており、観葉植物は倒れ、土が散乱していた。まあそれでもたいしたことはない。なにしろ私はモノを持たない主義で、冷蔵庫も電子レンジも持っていないのだから。

 儲かったのは、都内のコンビニとタクシーだろう。みんな飲み物やカップめんなどを職場の人の分までまとめて買出ししていて、楽しそうにさえ見えた。会社に泊まるのだろう。多くのコンビニから飲食物が消えていた。

 丸の内の公道には「ヘルメットOL」がけっこう歩いている。防災救急セットを背負い、ヘルメットを被っているサラリーマンも散見される。会社に常備しているのだろう。なんと準備万端なことか。それに対して、私はなんと無防備なのか。

 あの光景の違和感はすごかった。サラリーマンって、そんな保険までかけて生きてるのか!という驚きである。脱サラした私には、一生に一度くるかどうかという地震に備えるために時間を使うなど、無理な相談だ。私としては、とにかく「大きく揺れたらタクシー捕まえろ」でよい。家に帰れればよいのだから、これだけですべて解決できる。今回を契機に、それを肝に銘じたい。

 
23:39 03/11 2011 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(4967)


02/17 2011
 セミナーは事務局ワークが大変なのでなかなか自力ではやりきれないのだが、今回、アゴラという会社がやってくれることになり、引き受けた。3月2日18:10開場@渋谷。

 就職セミナーというと今シューカツ中の大学3年向けと思われがちだが、そんなことは全くなく、実際の対象は大学1年、2年、3年、4年、院1年、2年、留年生、第二新卒まで(27~28歳くらい)と、けっこう幅広い。

 これは、本(35歳までに読むキャリアの教科書)で書いたとおり、本質的には第二新卒時期までなら(職種も業界も変える)キャリアチェンジが可能だから、もちろん早いうちから考えているほうがよいのだが、手遅れでもなく、このセミナーを聞く意義はあるということです。

 定員53名は過去3年毎年やってる私のセミナー(毎回定員オーバー)としては最少人数。しかも学生3千円(※2月23日まで)は安い。かなり早いもの勝ちな感じです。アゴラ社は利益度外視なところがエラいなぁ。

 お申込みはこちらより。
会社説明会では聞けない本当の就活情報

 私は一番書いているほうですが、それでもやはりブログやツイッター、本では具体的に書きにくいオフレコな話というのが結構あって、やはりそういうところに物事の本質がある。セミナーは、そういうネタを話す場としてちょうどいいと思っています。

 それでは、会場にてお会いしましょう。
(※2/25満席になりました。次回開催のお知らせはメルマガの『他のメディアへの配信/MyNewsJapanからのお知らせ』にご登録いただけるとメールが流れます。)

 
01:45 02/26 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1235)


01/03 2011
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渋谷のブックファースト
 年末に渋谷の本屋を徘徊したところ、10月に出した本が、最大手の紀伊国屋で売り切れ。マークシティの啓文堂でも売り切れ。ブックファーストは前の本がずいぶん売れたから担当者が分かっていたとみえ、まだヒラ積みだった。これは例外。

 たった2ヶ月余りで綺麗さっぱり、リアル本屋からはなくなるんだな、と実感した。ほかの六本木周辺の本屋3店ほども定点観測しているが、同時発売の『ちくま新書』5作品のうち、売れ残った3~4作品くらいが棚差しになったままで、僕の本だけは一向に補充されないのだ。5作品のうちで一番売れているのは担当者にも聞いて確認している。

 何が言いたいのかというと、本屋にはマーケティングの概念がなさすぎて、こんなことしてたら、とても生き残れないだろう、ということ。僕が本屋の経営者だったら、間違いなく逆にする。3ヶ月たって売れ残ってる作品は返品して、売れてしまった作品を補充すれば、売れる可能性が高いじゃないか。

 しかも、これはデータが全て個店ごとにあるわけだから、機械的に行うだけの単純作業である。マーケティングというほどのものでもない。限られた店頭のスペースで、売れた実績のある本を店頭にいれ、売れ残ったものと入れ替える。それだけ。

 正直、紀伊国屋クラスでさえ、同時発売のうち、僕の本以外の売れ残り作品だけはしっかり棚差しになっていた。啓文堂でも同様だった。これって、明らかに経営として間違っている。読者も書店も著者も、三方一両損。これじゃ、アマゾンの独壇場になって当然だ、とつくづく思った。ブックファーストだけは例外として…。 

 
15:01 01/03 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(2091)


12/14 2010
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 経営企画とかコンサルとかマーケティングとか、「仕組みを作る側」の仕事をしてる人が読むといろいろインスピレーションが沸いてくる本である。

 同じ出版社の名著『ロジカル・プレゼンテーション』みたいに架空のストーリー仕立てを多用するか、実際の過去に手掛けた事例をベースに(多少デフォルメしてもいいから)説明したほうが、分かりやすいと思った。

 少し概念的な話が多すぎて、腑に落ちないことが多かったからだ。その理由は、著者自身がしっかり説明してくれている。

 脳神経系では、「2つ以上の意味が重なりつながったとき」と「理解したとき」は本質的に区別できないのだ。(中略)シナプスに由来する特性として「つなぎを何度も使うとつながりが強くなる」ことが知られている。(中略)何度も情報のつながりを想起せざるを得ない「なるほどー」という場面を繰り返し経験していると、その情報を忘れなくなる。
 これは、まさに記憶や理解の本質だと思う。情報をつなぎ続けることが記憶に変わる。著者がそういうとおり、本書はストーリーや具体的事例が不足しているために、言わんとしてることが、具体的な我々の日々の生活や企業の経営課題と、イマイチつながらない。

◇ヤフー方式VSユニクロ方式
 実は、僕がなるほど、と一番思ったのは、著者がヤフーで働いていることについてだった。日本のヤフーという会社は、日本の検索&ポータル市場で独占的な地位にあるガリバー企業で、私が取材した限り、既存マスコミの裏部隊のような会社である。

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この図は分かりやすい。メモ入りは24枚。けっこう中身濃い本

 

 言ってみれば、ITの仮面を被った旧勢力。その競争力の源泉は、日本人の「習慣の奴隷」とでもいうべき性質にある。日本人は、一度慣れてしまったヤフーのトップページから離れられない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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僕はいつも書き込みながら本を読んでるから、自由にデッサンできないといけない。よって電子書籍は、サブの保存用くらいにしかならない。

 
10:18 12/14 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1084)


12/03 2010
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 自ら「自分は社会企業家だ」と名乗るような人は、ダメな奴である。経営者としてのスキルアップを怠り、自ら負けを認めているようなものだからだ。

 好きなことやってるんだから貧乏で当然だろ、みんなリスペクトしろよ、おれはあくせく稼がないよ、ラクだもんね、社会的意義があるんだからいいんだよ--どうしても、そういう胡散臭さが漂う。一言でいえば「逃げ」だ。

 以下、詳細に説明しよう。

 私は、いわゆる「社会企業家」や「社会貢献志向」について、『やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する!』(光文社)という本のなかで、個人のキャリア形成の視点から、実現に向けた方法論を述べている(右記図参照)。

 どんなにやりたいことがあっても、経営という「修行」なくして、いきなり学生から突き進んだところで、労多くして実少なしだ、ということである。そこで、ビジネスモデル構築力と実現したい夢との、複線型キャリアパスを提示した。

■自己満足の世界に逃げるな
 まず、若者の社会貢献志向については、右肩上がりの時代の終焉と経済の成熟で説明できる。現在20歳の人は、右肩上がりの時代をまったく知らず、モノやカネが満たされた成熟社会しか知らない。

 そのなかで次に人間が求めるのは、マズローの欲求段階説のとおり、「自己実現の欲求」であり、それが企業への所属や昇進といった外部から与えられるものではなく、個人の内発的な動機を満たす社会貢献志向へと向かっているわけである。

 このようにして若者の「社会貢献」志向が強まると、サラリーマンにならず、アントレプレナーにもならず、自己満足的な社会貢献の世界にいきなり入る人が増える。それが近年の現象である。

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仕事のやりがいと報酬のトレードオフ曲線

 

 

■社会貢献とカネ儲けのトレードオフ
 ところが、社会貢献度が高い公共性の高い仕事は、そもそも軌道に乗せるのが難しい。本来なら政府や自治体が行うべき儲からない仕事を、ビジネスとしてやろうというのだから、儲かるわけがない。通常以上の経営力が必須となる。

 儲からなければ再投資できないから、事業は拡大しない。収入が低いから貧乏になる。「貧すれば鈍する」で負の連鎖にはまり、本来の目的も果たせなくなる。右図でいうと、右下である。

 逆に、公共性の低い仕事は儲かりやすい。最近のグリーやモバゲーを見ているとよくわかる。CMで「無料です」と言って貧乏人をケータイゲームに引き込み、ゲームに熱中させてアイテムを買わせ、ケータイ料金と一緒に請求して、カネを巻き上げる。どちらも、もともとゲーム会社ではなかったが、理念などそっちのけで儲ける方向にシフトした。右図でいうと、左上である。

 このように、社会貢献度の高さと報酬は反比例する。
 左上にいる人たちは、右下の人たちが「社会企業家」だと持ち上げられるのが面白くない。

 『週刊東洋経済』(2009年12月14日発売号)の特集「30才の逆襲」でも若者の社会企業家志向について議論され、サイバーエージェントの藤田晋社長がインタビューに答えて、「社会企業家は逃げてるように見える」と問題提起していた。

 堀江貴文氏もライブドア社長当時、「人をたくさん雇って納税しているだけで十分、社会に貢献している」と繰り返し述べていた。

 僕がよく着ている「GAP」のシャツはバングラデシュ製だし、ユニクロもグラミン銀行と合弁で、バングラデシュで現地向け低価格衣料の製造販売と雇用拡大を進めると発表した。やっていることはマザーハウスと変わりない。雇用拡大のインパクトはむしろ大資本のほうが大きいし、マザーハウスの商品は高すぎて現地の人は買えない。

 だから、マザーハウスの山口氏が「社会起業家」の『社会』という言葉に違和感を示すのは当然だ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

asahi.com『ウェブ論座』にも出した)

 
02:05 12/03 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1455)


11/29 2010
 私は「若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか」(東洋経済新報社)という本を出している関係で、就活生に話を聞くこともあり、昨今では、後輩から4月1日に「本日、内定を貰いました」というメールを貰う(これはテレビ局)。選考は1~3月に実施され、既に内々定が出ているわけである。

 外資はもっと早く、投資銀や戦略系コンサルでは、12月~1月に実施するウィンタージョブ(インターンシップ)が「天下分け目の関が原」になっており、最大数の内定が出る。

 そのインターンシップに参加するためのES(エントリーシート)が第一関門である。つい最近(11月上旬)もゼミのOB会で大学3年生に話を聞くと、「インターンシップに参加するためのESで落とされた」「会社説明会の予約が2分で埋まってとれない」などと焦っていた。

 大学4年生はというと、満足のゆく内定が貰えず、大半がまだ活動中だった。大手に決まったのは1人だけ(新日鉄)だという。慶大生でこれだから、いったいどのくらい今の就活は厳しいのか、と思ってしまう。

■プレーヤーが入れ替わらない
 この就活における問題の本質は、「新卒の時期にしか良い就職の機会がないこと」だ。だから学生が血眼になって2年生の頃から就活を始めるのである。

 中長期的な解決策は明確である。社会的規制を除いた規制を緩和し(経営側の経済的規制・労働側の解雇規制ともに)、同時に市場の失敗を監督する機能を強化し、フェアな競争を促進することによって、市場のプレイヤー(経営側・働く側とも)を流動化させ、就職機会の絶対数を増やすのである。

 競争市場において新参者が勢力を伸ばすには、他社から中途採用を活発に行う必要がある。引き抜かれた企業側は、人材不足から新卒者を活発に採用したり、既卒採用も、中途採用も、強化せざるをえない。競争が激しくなると、経済全体のパイも増える。解雇規制を緩和すれば、人材の流動性はさらに高まる。フェアな競争のためには、公正取引委員会や証券取引等監視委員会の機能強化が必要になるので、併せて行う。

 一例をあげれば、広告代理店業界は、独占禁止法違反と言われる電通が、コネ入社をはじめとする政治力を駆使して公取の動きをなきものとし、市場を支配することで、健全な競争を妨げてきた。その結果、市場シェアもプレイヤーも長らく固定化しており、入れ替わりが起きない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

asahi.com『ウェブ論座』にも出した)

 
15:13 11/29 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1991)



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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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