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パチンコ・パチスロ三共社員が“いじめ&パワハラ”で提訴 賭博強要で23万円収奪、暴言の数々…

情報提供
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「人に、街に、いい笑顔。」というキャッチフレーズを掲げる三共。この言葉とは正反対のいじ訴訟が勃発している
 パチンコ・パチスロのトップメーカーである三共(SANKYO)社員・椎名勉氏(仮名、30代)は、首都圏の営業所に配属後、所長に執拗にいじめられてうつ病に陥り、本来、「業務上の傷病」に当たるにもかかわらず、業務外の私傷病として扱われた結果、休職期間満了による自動退職に追い込まれた。これは実質的な解雇と同じで違法であるとして、会社と所長を相手取り、地位確認と1957万円強(提訴時の額)の損害賠償を求める訴えを今年5月、東京地裁に起こした。被告側は訴えの内容を概ね否定したが、サイコロ賭博で23万円払わせたこと、六本木に夜呼び出して朝5時まで駐車場に待機させ所長の家まで送らせた事実を認めるなど、いじめと見られる点がいくつもある。東証1部上場の業界最大手メーカーで起きた“いじめ&パワハラ”の実態を裁判資料をもとに詳報する。
Digest
  • 「六本木で飲んでるから迎えに来い」
  • 「坊主かパンチパーマかけてこいよな」
  • 「お前、俺の奴隷だろ」
  • 地位確認と損害賠償を求め提訴
  • 三共ノーコメント
三共のテレビCM。「楽しいことでココロがいっぱいになると、人はいい笑顔になります。だから、三共のスタッフはみんな笑顔」とある。この言葉とは裏腹に、上司にいじめられてうつ病に陥った、と訴える社員が実在する>

「六本木で飲んでるから迎えに来い」

訴状によると、原告の椎名氏は、2000年代前半に三共(SANKYO)に入社。職種は営業職。勤務地は首都圏の営業所だった。

椎名氏は、そこの営業所の上司・北玉銀仁氏(仮名)にいじめられたと訴えている。具体的には次のような目に遭ったという。

06年3月下旬、営業所所長のM氏の送別旅行で神奈川県内の湯河原温泉に行った時、北玉氏は宴会の席で、突然、ビール瓶で椎名氏の後頭部を一回殴打した。

それから3年後の09年3月下旬、今度は営業所長のO氏の送別旅行で山梨県内の石和温泉へ行った際、北玉氏は、椎名氏に対し、チンチロリンをするよう強要した。チンチロリンとは、サイコロ3つとドンブリを使った賭博である。椎名氏は、上司からの誘いに断りきれず、やむなく参加した。その結果、北玉氏に対する負け分として、なんと23万円もの借金を負うハメになり、給料から毎月2、3万円を返済にあてた。

翌月09年4月からは、北玉氏が営業所長に昇進した。そこからいじめはエスカレートしていく。

10年9月頃、北玉氏は、自らの行きつけの床屋バーバーN(仮名)に椎名氏を連れて行き、「気合いを入れろ」と言って、刈り上げにすることを強要。椎名氏はやむをえず刈り上げにした。

2010年12月頃、首都圏近郊で営業活動中の椎名氏に対し、20時頃に北玉氏は、突然、電話をかけ、「今日、六本木でお客さんと飲んでいるから、23時に六本木に迎えに来い」と言ってきた。椎名氏は100km以上離れた六本木へ車で迎えに行き、北玉氏が退店するのを待っていた。がしかし、結局、北玉氏が退店したのは午前5時過ぎ頃だった。その後、北玉氏は自宅まで送るよう命令。椎名氏は送り届けた。すでに午前7時近くになっており、椎名氏はそのまま出社した。

さらに北玉氏は、2010年12月13日の夕方にも、椎名氏に電話をし、「今、飲んでいるから、23時に(営業所の担当エリア内の)K駅に迎えに来い」と命令した。椎名氏は迎えにいき、北玉宅まで送り届けた。

さら翌14日の22時頃、北玉氏は、首都圏近郊で営業中だった椎名氏に電話をし、「今、(営業所エリア内の)H市で飲んでいるからすぐに来い」と命じた。場所は、H駅前のキャバクラ「H」だった。椎名氏が現地へ行くと、北玉氏は一気飲みを強要した。

それから3日後の17日夕方、北玉氏は、電話で突然、「機械売れない奴が、車使ってんじゃねーよ」「今日から車使うな」「会社の経費で帰って来るなよ」「ガソリン代も自腹で、満タンにして、営業所に保管しとけ」などと恫喝した。これを受け、椎名氏は、高速代、ガソリン代を自腹で払った。

翌日から椎名氏は、営業所内の掃除や北玉氏の車の洗車などをさせられた。

さらに年末から北玉氏は退職強要をするようになっていった。

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椎名氏はパチスロ、パチンコ台をホールに販売する営業マンだった。写真は三共のパチスロ機

10年12月29日、営業所内で北玉氏は、椎名氏を立たせたまま、「車のリース代、ガソリン代が、いくらかかっているのか知っているのか」「車を使うだけの利益を出しているのか。お前の販売台数では、いてもいなくても同じなんだよ」「だからお前は、営業所に必要ないんだよ」「会社はボランティアで給料払っているんじゃねえんだから」などと、約2時間にわたり、大声で叱責、罵倒し続けた。なお、営業車の使用は、翌年1月11日になって、ようやく認められた。

「坊主かパンチパーマかけてこいよな」

11年1月26日にはこんなことがあった。20時から、H駅前の居酒屋「Y」で、営業所の飲み会があった。その席で、北玉氏は、他の社員6人が見ている前で、椎名氏に対し、「販売目標が達成できなかったんだから、坊主かパンチかけてこいよな」と強要した。翌日、椎名氏は、北玉氏の行きつけのバーバーNでパンチパーマをかけた。

2月7日には、「(パチンコホール店の)Tの担当外すから」と言い、突然、外された。

2月17日、営業所内の朝の会議で、北玉氏は所員全員の前で、椎名氏に対し、「機械を2台売れなかったら、退職金で買え」と言い、退職を強要した

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ノルマ未達成でパチンパーマを強制された、と訴える椎名氏。写真はイメージ

上は三共創業者で現名誉会長の毒島邦雄氏(1995年8月30日付日経新聞朝刊)。下は代表取締役会長・CEO(最高経営責任者)の毒島秀行氏(96年6月28日付同紙朝刊)

都内の渋谷にある三共本社

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匿名2013/04/28 10:17
匿名2013/02/03 12:45
その会社2012/12/19 20:45
ねこ2012/10/10 22:15
労働者の声2012/10/08 09:39
二宮金多摩2012/10/07 23:21
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