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三菱UFJモルガン・スタンレー証券 出向社員をロックアウト解雇、解決金3200万円で和解

情報提供
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写真は左が三菱UFJフィナンシャル・グループ社長の永易克典氏(在任期間2010年4月1日~2013年3月31日)。右が三菱UFJモルガン・スタンレー証券社長で三菱UFJ証券ホールディングス社長の豊泉俊郎氏(在任期間は両社とも2011年4月28日~)
 ロンドンに本社を置く投資銀行「三菱UFJセキュリティーズ・インターナショナル」に入社した、イギリス在住トレーダーのパド・ラブーフ氏(仮名、小学と中学の二児の父、年齢は記載なし)は、採用と同時に、東京にある三菱UFJモルガン・スタンレー証券の本社に出向することに決まった。以後、約6年間にわたって勤務したが、2012年2月に突然、会議室に呼び出され、上司三人に囲まれて、ロックアウト解雇された。その後、パド氏は出向元、出向先の両社を相手取り、地位確認を求め提訴。すると会社側は、まともに反論すらしないまま、和解に乗り出し、解決金3200万円で和解が成立、裁判を終わらせた。闇に葬られたメガバンク系列のリストラ紛争事案を具体的にお伝えする。
Digest
  • 家賃補助月86万円、光熱費、税金も会社持ち
  • 「今日から職場に来ないように」
  • 「野村証券から来た新幹部達が外国人を排除した」原告
  • 解決金3200万円で和解

家賃補助月86万円、光熱費、税金も会社持ち

訴状と陳述書によると、原告のパド・ラブーフ氏(仮名)は、イギリス在住時の06年2月、当時の三菱UFJ証券東京本社(=現三菱UFJモルガン・スタンレー証券東京本社=以下、三菱モルガン証券)の幹部から、インターナショナル・セールス・トレーディング・チームの立ち上げに一役買ってくれないか、という打診があった。

この話に乗ったパド氏は06年4月12日、当時勤務していたイギリスの大手金融H証券を退職して、ロンドンに本社を置く「三菱UFJセキュリティーズ・インターナショナル」(以下、三菱ロンドン。同社は三菱UFJホールディングス全額出資の投資銀行)に、セールス・トレーダーとして雇用された。

同時に、三菱ロンドンは、パド氏を三菱モルガン証券本店に出向、という形で勤務させた。役職はディレクターだった。

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三菱UFJモルガン・スタンレー証券本店(東京都千代田区丸の内二丁目5番2号)

給与は、年俸115,000英ポンド(23,884,209円。06年4月12日の為替レート終値、1英ポンド=207.351848円で換算)。この12分の1相当額9583.34英ポンド(1,987,123円、同レート換算)が、毎月支給された。

さらに、給与とは別に「生活補助費」という名の手当が支払われた。その金額は、出向当初が月額362,292円。(手当は英ポンドではなく、日本円で支給。ちなみに、生活補助費は毎年金額の見直しがあり、2011年には月額561,964円にアップ)

「家賃補助」も出た。月最大86万円までの家賃を会社が負担する、というものだ。

「子の教育費」も出た。内容は、18歳未満の子ども1人当たり、学費として、年間最大240万円を会社が支払う、というものだ。

ほかにも、「帰国旅費」や「光熱費」、「税金」も、会社が負担することになっていたという。

この出向契約書に、パド氏はサインした。

「今日から職場に来ないように」

08年5月、パド氏は出向を2年延長する契約にサインした。その後、10年5月には、1か月延長のサインをし、翌月、1年延長のサイン。11年6月、さらに1年延長のサイン。このように、順風満帆に過ごしているかに見えた。

だが、嵐は突然やってくるのだった。

2012年2月14日(火曜)、パド氏は会議室に呼び出された。中に入ると、三菱ロンドン人事部のエイミー・パッカレード氏(仮名)、三菱モルガン証券の銅上渉氏(仮名)、三菱モルガン証券香港のスティーブン・アダムズ氏(仮名)の3人が、待ち受けていた。彼らは、こう言ったという。

「会社が東京における株式セールス事業の再構築を行うことで、あなたの役職は不要となる。そのため、今日から2週間、あなたが余剰人員整理の対象に該当するか否か、検討する。この期間中、職場には来ないように」

こう言われたあと、パド氏は、(代替となる)職務のリストを手渡された。しかし、リストの中身は、どれ一つとして、パド氏の経験や能力を活かせるものではなかったという。

翌日、パド氏は、エイミー氏と話した。パド氏は「受け取った職務リストの中のどの職務が、私に適しているというのか」と質問をぶつけた。すると、エイミー氏は「どれも、あなたに適した業務ではないのだが、これは英国法に則って形式上やっている行為に過ぎない」と答えた

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三菱UFJフィナンシャル・グループ本社(東京都千代田区丸の内二丁目7番1号)。下は組織図

和解条項の概要。(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)

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