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シティグループ証券社員、退職勧奨という「日常」に抵抗しロックアウト型解雇→提訴→転職後に和解金1千万円

情報提供
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原告T氏の解雇訴訟にかかわるシティグループ証券の歴代CEO。真ん中が、ブライアン・マッカビン氏(在任期間09年12月1日~12年1月9日)。右が東俊太郎氏(12年1月10日~3月31日)。左がスニール・バクシー氏(12年4月1日以降)
 米大手金融シティグループの日本法人シティグループ証券の社員T氏(40代)は、10年5月に突然、退職勧奨を受け、拒絶すると、「明日から出社しないでください」と命じられた。その後、上司とやり取りを重ね、ついに上司から出社要請を勝ち取ったが、会社に行ってみたら、机にPCすらない状態で、仕事を干されたまま、1か月後に解雇宣告を受けた。T氏は会社を相手取り、地位確認の訴訟を起こし、12年6月、解決金1000万円で和解した。その間、T氏は再就職に成功。このケースは、リストラに応じないと同業界での再就職が難しいと脅されることが多い外資金融の世界でも、納得できない解雇に対しては恐れず法廷闘争を挑んでよいことを示している。事件の一部始終を裁判資料に基づき詳報する。
Digest
  • 「出社しないで下さい」
  • 配置換えをして郵便物の配送、仕分けをやってもらう
  • 「バカですか?血が出ますよ」
  • 「私としてはレイプという言葉を使いたいぐらいです」T氏

「出社しないで下さい」

原告T氏は、南アジアの出身。祖国の大学のテクノロジー部を卒業後、北米の大学で企業経営を学び、98年に米金融「ソロモン・ブラザーズ・アジア・リミテッド」に、システムアナリストとして入社した。以後、合併で社名が変遷し、シティーグループ証券の社員となった。職務内容は一貫してシステムアナリストだった。

シティーグループ証券でのT氏の所属は、情報システム統括部。「DOGSシステム」と呼ばれるコンピュータの開発業務に従事した。DOGSシステムとは、Decentralization Of Operations global Support System(国際決済システム)の略。これは全世界のシティグループの証券部門で使われているシステムだ。T氏は、このシステムのうち、デリバティブや外国株式のシステムを担当していた。

しかし10年5月、T氏に運命の荒波が襲ってきた。シティグループのアジアパシフィック地域全体の決定により、T氏の担当していた業務は、「シンガポールの関連会社に統合することになったので東京での業務がなくなった」という理由で、会社はT氏に退職勧奨をしたのだ。

それは5月14日のことだった。上司のA氏(仮名)とB氏(仮名)の2人に呼ばれ、会議室に行くと、キャリアサポートプログラムの提示を受けた。

その内容は、以下の通り。

①ジョブサーチ期間の基本給と諸手当(社宅費用含む)362万5,002円。

②退職一時金629万5,030円。

③特別加算退職金356万9,337円。

④勤続割増金1,070万8,011円。

⑤未消化の有給休暇買い上げ分(1日当たり55,750円×有給休暇残30.5日)170万985円。

合計2,589万8,365円。

なお、T氏の当時の報酬は、月額約120万円で、年収は1,450万円だった。

この条件に対し、T氏は、納得しなかった。なぜなら、雇用契約の当初は、インターナショナルパッケージという海外赴任社員に対する手当(=住居費の全額、年1回の、家族分を含む帰国費用、子女の教育費の全額)が支給され

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シティグループの入る新丸の内ビルディング22、23F(東京都千代田区丸の内)

解雇通知書概要(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)

解雇理由証明書概要

和解条項概要

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