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世界3大広告WPPのJWTジャパン 不当解雇で敗訴連発、和解金5千万円に

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画像1 左下は、ジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパン現社長兼CEO最高経営責任者の影山亘氏。前任の不当解雇のやり方を踏襲して東京地裁で敗訴。同社は最近では郵便局店頭の「キットメール」広告で有名
 世界3大広告グループの1つ「WPP」に属するジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパン社員の青山氏(50代前半、男性、仮名)は、同社から執拗な退職勧奨後に解雇され、2007年に東京地裁に地位確認などを求め提訴。一審、二審と青山氏が全面勝訴した後、同社は上告したが急に取り下げた。矛を収めたのかと思いきや、退職勧奨を再開。青山氏が拒否すると、またも首切りを強行し、再び不当解雇訴訟となり、一審でまたも原告が全面勝訴。会社側は懲りずに控訴したが、昨年12月下旬から和解交渉となり、今年2月、計約5千万円の和解金を原告に支払うことで終結したが、専門とする労働現場を5年も離れたキャリア上の損失は計り知れない。丸6年の泥沼法廷闘争の原因を作った“裁判所公認ブラック企業”の懲りない実体を詳報する。
Digest
  • ヘッドハンティングされて入社
  • 「会社を辞めると宣言しろ!!」
  • 「会社内への立ち入り禁止」で提訴決意
  • 一審で全面勝訴
  • 上告取り下げ直後に解雇宣告
  • 2度目の地裁提訴…
  • 和解金5千万円

ヘッドハンティングされて入社

裁判資料によると、被害を訴えた青山氏(現在50代前半、男性、仮名)は、東京都内のキリスト教系の私大を卒業後、広告業界の制作分野の会社を渡り歩き、30代前半に、当時業界3番手のT社に転職。以後、約10年間、T社でリーダー役のクリエイティブ・ディレクター(CD)という役職を務めた。

そして2004年、ヘッドハンティング会社の「ハドソン・グローバル・リソース」から声をかけられた。紹介先は、世界で三本の指に入る広告企業WPPグループの中核会社JWT(ジェイ・ウォルター・トンプソン)の日本法人「ジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパン」(JWTジャパン)だった。

青山氏は、当時の制作部門トップのエリー・ミラーという女性と数回面談を行い、「ユニリーバの『モッズ・ヘア』をメインで担当してほしい」と依頼され、入社を決断した。

入社時の契約は、基本給56万円、家族手当1万9千円、昼食手当3千円、管理職手当28万9千円、住宅手当1万5千円、過労働時間35時間、固定賞与夏168万4千円、同冬168万4千円、合わせて年収1,400万円。肩書は、CD(クリエイティブ・ディレクター)だった。

ちなみに同社の制作部門は、トップがエグゼクティブ・クリエイティブ・オフィサー(取締役)、セカンドポジションがエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター。その下に、SCD(シニア・クリエイティブ・ディレクター)とCD(クリエイティブ・ディレクター)が計9人。その下に、アート・ディレクター、コピーライターが計約35人。これらのスタッフが、仕事ごとにチームをつくっていた。

入社後、青山氏は、精力的に仕事をした。例えば、年一回、優れた広告を選出してまとめる「コピー年鑑」で広告賞を受賞。さらに、ロンドン国際広告賞、ニューヨークフェスティバル賞、メビウス賞といった国際広告賞に入賞する作品を手掛けた。

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画像2 モッズヘアの最近のCM。青山氏は入社当時モッズヘアをメインで担当していた

青山氏はこうも自負している。「言われた仕事しかやらない人間が大半の中、会社の売上を伸ばそうと、一人で企画書を作成し、会社の顧客以外の企業数社に売り込みをかけていました。そのようなことをしている人は、社内では僕以外にはいなかったはずです」。

こうした仕事ぶりが評価され、人事評価は5段階で4だった。

このように青山氏の人生は順調だったが、突然、“災厄”が降りかかってきた。

「会社を辞めると宣言しろ!!」

06年に入り、まず、青山氏を入社に導いたエリー・ミラー氏が退社した。その上、メインのモッズヘアの広告宣伝機能の中心が、シンガポールに移ったことにより、担当を外れることになった。

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「コピー年鑑」

そうした中、新たに制作部門のトップに糸尾(仮名、男性)という人物が就任。そして06年3月、青山氏がオフィスのデスクで座っていると、突然、糸尾が近づいてきて「青山君、ちょっと話できるかな」と言い、糸尾の部屋に呼ばれた。

個室で2人きりになった。そこで糸尾は、「今の会社の経営状況はあまりよくない」という話を延々と述べた後、こう切り出した。

「何人か会社を辞めてもらうリストを作っている。残念だけども、君もそのリストの中に入っている

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JWTジャパンのある恵比寿ガーデンプレイスタワー。モルガンスタンレーなどの外資が多数入っている

東京地裁、高裁。青山氏は丸5年、ここで裁判を続けた

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