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第一回「日本鬼畜訴訟大賞」最極悪賞に読売新聞社

情報提供
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(上):投票結果。
(下):「最極悪賞」を受賞した読売新聞グループ本社代表取締役社長の内山斉氏(『ANY』発表会見より)
 12月8日、2008年「日本鬼畜訴訟大賞」の選考会が東京・月島で開かれ、審査委員による議論と投票の結果、最極悪賞に、言論媒体であるにもかかわらずジャーナリスト個人狙い撃ちで“口封じ訴訟”を連発した読売新聞西部本社が選ばれた。次点の極悪賞には、内部告発をした元従業員に損害賠償請求を行うという暴挙に出た新銀行東京が僅差で選出された。カフェベローチェを運営するシャノアールには「お笑い賞」が贈られた。ノミネート作品全一覧付(EXELダウンロード可、会員限定)。
Digest
  • 「最極悪賞」は読売新聞社、次点に新銀行東京
  • 「お笑い賞」にベローチェ
  • 選評
  • 正式名称の決定
  • 言葉の定義
  • 被害に遭うとどうなるのか?
  • 「訴え損」の空気を醸成せよ
  • ノミネート作品全一覧(2007年以前含む、エクセルダウンロード可)


企業や権力者が裁判制度を悪用して高額訴訟を吹っかけ、個人の口封じ・嫌がらせを図る事例が頻発している。そのような人間の風上にも置けぬ「鬼畜」による訴訟の防止と対策を図るため、ジャーナリズムメディアであるMyNewsJapanは、このほど鬼畜訴訟防止委員会(鬼防委)を結成。手始めの活動として、今年の「鬼畜訴訟大賞」を選出・発表し、“嫌がらせ口封じ訴訟”を仕掛ける組織名を世に広く知らしめることにした。

本年の選考委員は、下記のジャーナリスト4名。

 過去に武富士から2億円もの損害賠償を請求される嫌がらせ訴訟を起こされながら完勝した経験を持つ寺澤有氏、同じく武富士に1億1千万円の損害賠償請求を求められながら2年前に勝訴確定した三宅勝久氏、『サイゾー』にコメントしただけで記事すら書いていないのにオリコンから5千万円請求され、まる2年にわたってイジメられている 烏賀陽弘道氏、そして、今年に入って読売新聞社から2200万円の請求を受けた、「新聞の偽装部数」問題を報道し続ける 黒薮哲哉氏。

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審議の様子
 いずれも、米国で言うところの、いわゆるスラップ(SLAPP=Strategic Lawsuit Against Public Participation:大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるために起こす高額の恫喝訴訟)の被告経験者だ。


各選考委員が1位(3点)、2位(2点)、3位(1点)を選び、その合計点数でランキングした。なお、厳正を期すため、選考委員自身が関わった訴訟には投票できないこととし、その影響を薄めるため、投票には事務局を務める編集長・渡邉も加わった(三宅氏は出張先より参加)。

「最極悪賞」は読売新聞社、次点に新銀行東京

グランプリにあたる「最極悪賞」は、極悪な訴訟のなかでも、さらに最も悪意が感じられる訴訟で、裁判制度の悪用、つまり国民の税金無駄遣いも甚だしい訴訟を起こした最悪の企業・団体に贈られる。2008年の、不名誉ある最極悪賞には、計11点を獲得した読売新聞西部本社が輝いた。江崎法務室長名による訴訟も含め、2008年は黒薮氏に対する訴訟を連発した。

概要:
読売新聞西部本社(江崎法務室長含む)
1:読売新聞社が販売店との商取引を中止した経緯を、ジャーナリストの黒薮哲哉氏が自身のウェブサイトに掲載したところ、その一部が、読売新聞西部本社および社員3人(江崎法務室長、長脇担当、池本担当)に対する社会的評価を低下させたとして、2008年3月11日、黒薮氏に対して2230万円の損害賠償を請求。読売側が問題にしたのは、以下の記述だった。

「その上で明日の朝刊に折り込む予定になっていたチラシ類を持ち去った。これは窃盗に該当し、刑事告訴の対象になる」。黒薮氏に対して削除・訂正の要請すら行わず、突然、裁判を起こした。

2:読売新聞西部本社法務室長・江崎氏の催告書を黒薮氏のウェブサイトに掲載したところ、催告書は江崎氏個人の著作物だとして公表権を主張、2007年12月28日、催告書を削除せよと仮処分申請、2008年4月、本裁判開始。

2位の「極悪賞」は、10点の新銀行東京となった。乱脈融資で経営危機に陥り、2月には都税から約400億円の追加出資が決定、疑問を呈する報道が活発化した。その情報源が狙い撃ちされた格好で、まさに表現の自由を脅かすものといえる。

概要:
新銀行東京
 新銀行東京が、メディアに実名・顔出しで登場して内部告発を行った元行員、横山剛氏(40)を、情報漏えいの禁止に違反したなどとして、損害賠償1320万円の支払いを求め2008年8月、訴えた。北海道新聞などによれば、元行員は「取材に応じたのは、都民がいかに新銀行で損害を被るか分かってもらう公益のためであり、わたしが受けた不当な扱いを知ってもらうため。訴訟は言論の弾圧だ」と反論している。

なお、対象は2008年に提訴された裁判に限定。2006年末の提訴以来、24ヶ月間にわたって烏賀陽氏をいじめ続けるオリコンも大賞の有力候補だったが、提訴を2008年に限定したため惜しくもノミネートから外れている。

「お笑い賞」にベローチェ

 各賞として、本年は「お笑い賞」を設定。これはその名のとおり、笑うしかないバカバカしい訴訟。審査委員の合議によって、カフェベローチェを運営するシャノアールに贈られた。

チェーン店を覆面調査してランキングを発表したところ、最下位にされたことが名誉毀損だから1100万円払え、という訴訟を起こしたのだ。相手がライター個人ではなく講談社であるところが救いである。

概要:
シャノアール
 『おとなの週末』2007年10月号の「人気カフェチェーンランキング」でベローチェがランキング最下位とされたことで名誉を傷つけられたとして、2008年2月、1100万円の損害賠償と出版差し止めを求め、発行元の講談社を訴えた。

選評

各選考委員の選評は下記のとおり。

烏賀陽弘道
1位:読売新聞西部本社
2位:毎日新聞社
3位:新銀行東京

【選評】僕はコロラド大学の「市民が公に意見を表明することを妨害するために起こす、いやがらせや威嚇目的の民事訴訟」という「SLAPP」の定義に従います。その意味では、行員を「メディアの取材に応じたこと」を理由に訴えた「新銀行東京訴訟」はあっぱれなほどSLAPPの定義にぴったりです。本来ならこれが大賞間違いなしなのです。が、「発行部数偽装問題」を公にしようとしたジャーナリストや市民を、あろうことか言論機関がSLAPPで妨害している「読賣新聞訴訟」「毎日新聞訴訟」は、原告こそ「言論の自由」の生態系に生きているくせに、自らがその民主主義の原則を破壊しようとしているという点で、二倍危険。ダブルスコアをつけざるを得ません。


寺澤有
1位:新銀行東京
2位:読売新聞西部本社
3位:毎日新聞社

【選評】新銀行東京が元行員・横山剛さんを訴えた訴訟は、これまでの内部告発に対する損害賠償とこれからの内部告発の禁止を求めるもの。このようなあからさまな恫喝訴訟が提起されるほど、名誉毀損訴訟は濫用され、それを司法は容認している。もはや法律で名誉毀損訴訟を規制するしかないと考える。
 読売新聞と毎日新聞が起こした訴訟は、「押し紙」に関するもの。「押し紙」が事実無根だというのならば、1000万部(読売)、400万部(毎日)の販売部数を誇る自分たちの新聞で検証、反論するのが最も効果的。それをしないで裁判に訴えるのは、読者に「押し紙」の存在を知られないまま、内部告発者を口封じしたいとみられてもしかたがない。


黒薮哲哉
1位:新銀行東京
2位:ベローチェ(シャノアール)
3位:創価学会

【選評】内部告発者を保護する法律に2006年の4月に施行された公益通報者保護法がある。これは内部告発が社会の潮流となる中で、成立した法律である。密告者がいなければ、企業や役所は伏魔殿と化す。ちょうど新聞社の販売局のように。都の出資で設立された銀行が、真っ当な告発者を提訴するのは、民意に反している。一般企業が同じことをするよりも遙かに悪質だ。
 2位ベローチェの訴訟はブラックユーモア。あまりにもバカバカしい訴訟の一言に尽きる。3位矢野絢也氏を訴えた創価学会は、過去に言論妨害事件を起こしている。また復活したかという思いで推薦した。


三宅勝久
1位:読売新聞西部本社
2位:新銀行東京
3位:べローチェ(シャノアール)

【選評】かつては書き手や出版社をねらうのが主流だった「名誉毀損型言論弾圧訴訟」が、取材に応じた者や、告発者を標的にするようになってきた。また「著作権法違反」という新手や、べローチェ裁判のように嗜好にまで弾圧を加える手口も現れた。手口は巧妙化している。有名な「人権派」弁護士を起用して乱発した言論弾圧訴訟の実態に、多くの国民が気付き始めたためだ。巧妙化する゛新型言論テロ゛も、裁判制度を悪用した粗暴な口封じであることには違いはなく、ことの本質を賢明な国民が見破るのは時間の問題だろう。


渡邉正裕
1位:読売新聞西部本社
2位:毎日新聞社
3位:新銀行東京

【選評】 読売新聞社には、部数偽装を報道するジャーナリストをカネの力で抹殺してしまえ、という悪意を明確に感じる。読売の記者は、そういう悪徳会社に勤めてカネを貰っていることを恥ずべき。ペンの力ではなくカネの力で潰そうとしている時点で、自称1000万部が嘘八百であることを自ら認めたに等しい。言論では勝ち目がないからこそ暴挙に出たのである。もし読売新聞を購読している人がまだいたら、すぐさま購読を打ち切り、抗議文を送ってほしい。


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名誉毀損訴訟や「SLAPP」の専門書をもとに討議した

正式名称の決定

名称については、口封じ訴訟、いじめ訴訟、言論妨害訴訟、恫喝訴訟…。議論の過程では、いろいろな案が出た

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ノミネート作品一覧(2008年分)

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seotch2008/12/25 12:27

読売新聞おめでとう!

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nagaimichiko2008/12/15 19:10

何気にすごい。お笑い大賞って。

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h_sabakan2008/12/15 11:57

讀賣に変態毎日がベスト5にランク入りしている時点で,新聞社の凋落が判る。

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moppara2008/12/11 17:58

選考委員の人たちが読売から名誉毀損で訴えられるというオチがつく、と

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a_dogs2008/12/11 14:53

「「鬼畜」による訴訟の防止と対策を図るため、このほど鬼畜訴訟防止委員会(鬼防委)を結成」 「今年の「鬼畜訴訟大賞」を選出・発表し、“嫌がらせ口封じ訴訟”を仕掛ける組織名を世に広く知らしめることにした」

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2008/12/12 04:07
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