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朝日新聞は人件費を1000億円カットできる

情報提供
週刊東洋経済が「新聞テレビ陥落 」という特集を打っている。

目を引くのは、新聞業界初となる産経の希望退職募集100人。「40歳以上50歳未満で55か月分上乗せ」の意味は深い。40台で新聞社を辞めても雇い手がないから、5年分近くも払って辞めてもらう、というわけである。自分らのことをよくわかってるじゃないか、と思う。

入社以来20年、話を聞いて書くという単調な仕事だけをやらされ、他のキャリア開発の道を一切閉ざされてきた代償を払うということである。

普通の会社なら、40歳で2400万円も貰えるなら即応募だろうが、残りの人生、市場価値が年収300万円くらいのスキルでどうやって食べていくのか考え、応募を迷ってしまうのが日本の新聞記者の悲しいところだ。

日本企業のキャリア支配の問題がよく表れている。

■朝日の総人件費は8割以上カットできる

もう1つ見える問題が、正社員の異常待遇。

同じ年収300万円くらいの派遣社員は切られても55か月分の上乗せはもちろんない。正社員だけ異常待遇の、とんでもない身分格差社会である。恵まれすぎだ。

この特集全般に言えることだが、肝心の正社員人件費についてまったく触れていない。

特集では、朝日新聞の広告費が通期で200億円下がってタイヘンだ、赤字になるかもしれない、と騒いでいるが、こんなのは、他業界と比べると、なんてことはない。ちょっと人件費を正常化に向けて修正すれば事足りる。

私は外資コンサル時代に活動基準原価計算(ABC)による最適人員配置、人件費最適化を目的としたプロジェクトをよくやっていた。

朝日は、平均給与が額面で約1400万円なので、法定福利(年金・保険の企業負担分+ウラで積みあがってる退職金)と全国転勤にともなう手厚すぎる家賃補助(月18万円の賃貸物件に住むと9万5千円の家賃補助が出る)、無用に高級な黒塗りハイヤー代などを入れると、実質的な1人あたり人件費(社員が1人存在することによって会社が負担する総コスト)は少なくとも2300万円くらいに跳ね上がる。

→詳しくは『企業ミシュラン』朝日新聞社参照。

これを経団連会長企業で国際優良銘柄のキヤノン 並みにしたら、どうなるか。 キヤノンの人件費は、国際競争で勝ち残るうえで妥当な水準であり、一般的に、人材市場でもソニーと並んで競争力が高い。

・移動には、普通に電車とタクシーを使い、
・家賃補助をなくし(キヤノンは全廃、他電機メーカーも雀の涙)、
・給与をキヤノン並みの850万円にする。

概算で、2300万円→1300万円くらいにはできる。社員は5000人もいるから、500億円が浮く。

つまり、優良な大企業並みにそろえるだけで、朝日新聞はリストラすらせず、500億円も利益を増やせる。まだまだ贅肉だらけ、メタボ体質だ。実際には社員数を4割くらい減らしても現状のクオリティーは保てる。欧米では通信社がやっている速報屋業務からの撤退など、業務の効率化余地はいくらでもある。

さらに、コンサルとして人件費の最適化を提言するなら、これでもずっと払いすぎだ。朝日で市場価値の見出せる記者など、数えるほどもいない。

たとえば、誰でもいいのだが、市場価値が高そうな『アエラ』の大鹿氏が会社の外に一歩でたら、だいたい週1本アエラに書いているくらいのペースなので、2ページだと1本10万円くらいが相場で、年50週で50本書くと500万円。これが交通費も住宅費も込みの年収となるわけだ。

これに相当する現在の朝日新聞が支払っている人件費は上述の通り2300万円。どれほど貰いすぎなのかが、よくわかるだろう

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松本孝行2009/01/28 09:50
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