ケース面接と即興ディベートで問題解決力は分からない
左:東洋経済、右:THE21 |
発売中の『THE21』4月号の「これから10年、伸びる業界・沈む業界」という記事で取材協力した。先月の『週刊東洋経済』に続き、またも『10年後に食える仕事 食えない仕事』で示したフレームワークの図を使いたいというので載せた。
もう刊行から3年が経ったが、単行本自体が10万部売れて、この図も様々な雑誌にいまだに取り上げられ続けているのは、これが、日本人の仕事の未来を考えるうえで、極めて有効なソリューションだからだ。一言でいえば、「使える」のである。
私は2004年まで5年ほどコンサルティング会社に勤務し、様々な分析手法に触れた。2011年に中国とインドに計2か月ほど滞在し、「グローバル化が進むと、日本人としての特殊性を活かせるかどうかが生き残りのポイントだな」と思うに至り、帰国後、講演資料として作成したのがこの図だった。
コンサル会社はPPMのようなフレームワークを使って分析する。独自性の高い説得力のあるフレームを考え出し顧客を納得させることができると、「高いバリューが出ている」という評価になる。その点で、僕は社会に対して高いバリューを出した。しかし、コンサル会社が行う入社面接では、こういった能力はほとんど見ようとせず、即興の「ケース面接」ばかりで判断する。だから僕は戦略コンサル会社11社から不採用通知を貰っている。
まったく同じことを思ったのが、ディベートについてだ。大学のディベートサークルに入ったら、いきなり即興ディベートばかりをやらされるので、こんなものは意味がない、と思って辞めた。その場でお題目を考え、すぐにYES/NOに分かれてディベートを始めても、じっくり調査したり考えるインプットの時間がないので、よいディベートなどできるわけがない。僕はものごとをじっくり考えてソリューションを考えたいし、本来、ディベートは物事の裏表を多面的に考えるためにやるのだから、即興ディベートなどゲームでしかなく、何の役にも立たないのだ。
即興ディベートとケース面接は、その点で極めて似ている。どちらも、ものごとの本質はそこからは見えてこないし、より有効な問題解決にもつながらない。コンサル会社は、あの頭の回転速度だけを試す採用面接方法は、やめたほうがいい。即興型ではなく、僕のようなじっくり深堀型の人材こそ、コンサル会社で本来、使えるはずなのだから。
以下、『THE21』4月号の私の原稿部分を転載しておく。
あなたの仕事はどう変わるのか?これから10年、伸びる業界・沈む業界
■キーワードは「IT」「グローバル」「高齢者」
『THE21』4月号 |
国内の産業はどうなっていくのか? 『10年後に食える仕事、食えない仕事』で日本人の仕事を論じたジャーナリストの渡邉正裕氏は指摘する
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読者コメント
世の中、頭の回転の速さだけでいい仕事が出来るわけで無い。
頭の良さだけではなく一種の執念というか狂気みたいな物も必要。
渡邊編集長がかつておっしゃっていた物事の続く続かないという問題に直結するかと思います。
ケース面接だのなんだの結局突き詰めると面接を繰り返した所で人間というものは分からない・・・
逆に数ヶ月一緒に仕事をすると見事に向き不向きがはっきりする。
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