「低成長・格差時代」を生き抜くために、子どもに示すべき教育の選択肢
『週刊東洋経済』2015年2月23日発売号。 |
- Digest
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- 教育費総額は年収上限と考えよ
- 親自身のためでもある教育投資
- 親子連結でプラスになればよい
- 国は無償ではなく無利子の教育ローンで
- 親は子どもに知識を与え、選択させよ
- 高校から留学するのが食いっぱぐれない秘訣
- 留学経験者は進学、就職で優遇される
- 日本人メリットを活かした仕事に就く
- 優秀な子は高度な知識を活かして国内で活躍
- 低成長時代に生き残る会社と仕事の見極め方
- 中学校までは公立で日本人基礎力を養成
教育費総額は年収上限と考えよ
教育の投資対効果が極めて高いことは、誰もが感覚的に理解しているだろう。特に日本は、銀行預金がゼロコンマ数パーセントの利息しかつかない超低金利、住宅ローン「フラット35」は固定金利1.5%を切る時代で(ハイパー)インフレも予想されるため、「固定金利で借りたもの勝ち」の流れだ。問題は、借りた金を何に使うかだが、子どもの教育には、いくら借金してでも投資すべきである。
たとえば現在、最も失業リスクのない盤石な職業の筆頭である医師の免許をとるために、私大で1億円かけたとしても、医者は定年がないから30歳~70歳まで40年働くとして、勤務医でも40歳までに年1500万円は稼げるようになるから、生涯賃金は最低6~7億円。1億円の投資で6億円超のリターンというのが、最低水準だ。田舎に行けば医師不足なので、2倍は稼げる。しかも定年がないから死ぬまで働ける。開業医はさらにリターンが大きい。こんなに効率の良い投資はない。
これが、目先の1億円をケチって、せっかく子どもが優秀なのに、大学まで1千万円しかかけなければ、せいぜい平均年収700万円×40年で3億円弱の平凡なサラリーマンで終わる可能性が高い。高校まで500万円しかかけなければ、500万円×40年=2億円しか回収できないかもしれない。非正規は、さらに半分になるリスクがある。
簡単な算数ができれば、その生涯スパンで見た投資収益の絶対額の格差については、いちいち数字にしなくてもわかるはずだ。ごく簡略化して言うと、子どもが社会に出るまでにかけた教育費の総額が、その子どもの単年度年収のマックスになる、との感覚がある。仮説ではあるが、僕は取材のなかで、少なくとも教育費と年収は、そのくらい正比例するとの皮膚感覚を持っている。
親自身のためでもある教育投資
子どもの教育費には、少なくとも数千万円はかけるつもりで臨むべきだ。私自身、親から「おまえには大学時代だけで2千万円かかった」と恩着せがましく言われたものだが、「回収ー(マイナス)投資」で考えると、既に30代のうちに投資の回収は終わり、確実にプラスに転じた。したがって、仮に両親がこれから貧困に陥っても、十分に養うことができる。
だから子どもは、自分の未来を信じ、堂々と親から教育資金をせびるべきなのだ。その際、「親の老後のためでもあるんだから合理的じゃないか」と言うことが重要である。子どもは、親が自分にいくらかけたのかは、子どもの時分は何だかよくわからないものだが、大人になるにつれて実感をともなって気づき、生涯、忘れることはない。だから、自分に投資した親を見捨てることもない。
そして、子どもの可能性を信じない親はいない。自分の子供であるがゆえに、投資に失敗したとしても諦めがつく。いずれにせよ、子への投資は、親自身のためでもあることを理解すべきである。
親子連結でプラスになればよい
投資する際の概念としては、親が持ち株会社だとして、そこに子ども(兄弟姉妹)らが事業会社としてぶらさがり、それぞれが事業を営んでいくと考えよう。
私の場合は、過去40年を連結決算すると、感覚的に5年ほど前からプラスである。弟のほうが不明なのでグループ全体ではわからないが、私自身は現在、年間4千万円の売上を立てて無借金だから、投資分をホールディングに返せと言われれば返せる(国際会計基準と同様、親子間のやりとりは無意味なので返すつもりはない)。
中国の田舎では、一族郎党で成功した出世頭が残りの全員を養う、などという文化があるそうだが、それもこの、家族連結決算の概念から来ているものだ。
P70~「格差拡大下で子どもをどう育てる?」理想的な教育フローなど。 |
これからの親子には、簡易的な連結決算の財務諸表を作ることをお勧めしたい。そして政府は、そこに適切なファイナンスを行う機能を持つべきである。
具体的には、親に「教育は投資だ」という概念を植え付けるためにも、柔軟に教育費を減価償却し、その分の税金を減らせるべく、子どもの教育費については、自由に年数を決めて全額を償却可能とし、損金算入できる法制度とすべきだ(個人でいうなら自由に年数を決めて所得控除可能とすべきだ)。
なぜなら、より適切な教育を受けて育った子どもは、たくさん納税し、結果的に税収増につながるからである。企業に対する投資減税みたいなものと考えればわかりやすい。そもそも「教育」「勤労」「納税」は国民の3大義務と定められているため、この3つを促進する制度は、日本国憲法に正面から沿ったものだ。
子どもに教育を受けさせれば受けさせるほど、親が支払う税金が安くなる。より多くの教育を受けた子どもは、将来、より勤労に励み、よい納税者になって、かつて親が控除された税金を上回る額を、国に還元し続ける。きわめて合理的なサイクルである。
親としても、親子連結で見た場合、仮に40年(子どもが40歳)でまだ回収できなくても、寿命である80年ほどで回収できればよいのだから、マイナスは確定しないし、その前に自分は死んでいるから結果を見届ける必要もない。この投資は、国全体がネットで勝てばよい。親から見たら、負けがない投資だ。
国は無償ではなく無利子の教育ローンで
より多額の教育投資を受けた子どもがより稼ぐようになるーーこれは、逆に言えば、投資がなければ貧困になるということだ。高度成長時代は、全員が豊かになっていった時代だから、その同じベクトルの中での格差が少々開こうが、そう気にならなかった。しかしこれからの低成長時代は、教育を受けた者と受けない者の格差は、絶望的に開いて行ってしまう。
したがって、仮に親が貧困層だとしたら、なおさら、親戚中を回って借金してでも、子どもにはよい教育を受けさせなければ、将来、もっと貧困になり、自分のいざというときの老後を支える存在にもなりえず、親子ともどもで後悔することになる。
親の無知は罪深い。教育について、子ども本人の自己責任とするには、子どもは未熟すぎる。20歳以下の、まだ社会に出ていない未成年に、責任があるだろうか?やはり、親が最低限の指導を行い
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72~73ページにある図。毎度おなじみの4つの領域。このフレームワークはきわめて使い勝手がよい。
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"子どもが社会に出るまでにかけた教育費の総額が、その子どもの単年度年収のマックスになる"
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読者コメント
日本はアメリカの情報が無条件に大量に入って来て、アメリカのことが大好きな人が多いです。それは自由です。無防備に留学したら駄目です。後悔します。
アメリカ留学は危険ですけど・・・。優秀な学生でも、アメリカ残留しない意思の日本人は、うつ病診断されて、人生廃人にされた人がいるのです。
留学留学と馬鹿のように、言わない事です。
韓国人が従軍慰安婦像をアメリカで建立しまくっていて、アメリカに日本人が行くと、韓国人に、ディベートを仕掛けられて、過去の従軍慰安婦についての土下座謝罪させられたり、意地悪されたりしています。最近、集団訴訟していました。
アイビーリーグ、アイビー+大学は、将来エリート階層なので、アジア人よりは、白人を多く配置したいのだと思います。
私の姉妹は、奨学金でMITへ行きましたが、アメリカはアジア人に入学させないように、「SATの得点から-50点引きますよ」
白人よりアジア人の学力得点が高いからです。
アメリカはアジア人にはキツイですよ。
子会社で偽装請負してたような大企業が闊歩しているのが現状。新卒さんはそういう隠される負の実態を知らないから結果的にイメージに騙されて酷い目に会うんだろうと思います。雇用に関する問題をどんどんケーススタディで教えていくべきでしょう。
医師になればというのはよく分かる。しかし医学部難易度はずば抜けている。教育だけではなく、それこそ一種の才能が必要。看護師の方が現実感はある。
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