今から約16年後の2030年にかけて、日本人の「働く環境」にインパクトを与えるドライバー(変化要因)として、私は大きく、2点を想定している。第1に、「グローバル化」。これはじわじわと、着実にやってくる未来である。第2に、「債務危機」。こちらは、ある日突然やってくる未来である。(本稿は、リクルートMSの『
2030年の「働く」を考える』のインタビューでお話した内容をブラッシュアップしたものです)
【Digest】
◇サブプライムローンと同じ構図
◇「一億玉砕」の国民性
◇衆愚が「バブル政府」を望んでいる
◇公務員や銀行員は人気職種ではなくなる
◇財政破綻を機に訪れる本当の「グローバル化」
◇円は「ハイリスク・ノーリターン」のFX
→オピニオン1
→オピニオン2
グローバル化は現在の延長線上にある「連続的」な変化であるが、債務危機のほうは「非連続」な変化となる。いずれも、ある程度まで何がどう変化するのかを想定することができる。
どちらも、市場メカニズムにもとづく物理的な現象であり、「豊かになりたい」という人類共通の根源的欲求がある限り、そして「衆愚政治から逃れられない」という民主主義システムが内包する根源的欠陥がある限り、避けることはできない、というのが私の考えだ。
我々は、双方の到来を想定し、備えておかないといけない。債務危機のほうは、東京オリンピックが2020年に決まったことにより、それまでは財政出動によってカンフル剤が打たれ続けるため、持ちこたえる可能性が高まった。
だがこれは、「爆弾リレー」の爆弾が大きくなるだけ。破裂するのは夢から醒めた翌2021年、という可能性が強くなった、とみている。
したがってオリンピック招致決定は、“債務爆弾”が巨大化した分、日本と多くの日本人にとって、悪いニュースだった。
その以前は、消費税が10%に上がる2015年の翌年、2016年あたりが、「増税ではプライマリーバランス達成は不可能」という事実が完全にバレるため、破綻の可能性が最も高いと考えていた。日本にとって、破綻は早ければ早いほど浅い傷で立ち直れるため、2016年のほうがまだましだった。
■グローバル化
グローバル化については、本も書いており講演でも話しているので、詳しくはそちらを読んでいただくとして、結論だけ述べておく。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
