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ケース面接をどうやって乗り切るか――現場発、地方でも入手できる対策&実践ノウハウ

情報提供
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丸の内オアゾにある丸善の1階のビジネス書のコーナー。外資系企業がひしめく場所なだけに、ケース面接対策の本が充実している。
 「ケース面接」とはコンサルティング会社などが就・転職活動者に対して「~~社の売上を2倍にするには?」など実際のプロジェクトを想定したお題を与え、論理的思考力やコミュニケーション力を見る採用試験を指す。筆者は地方(NTT西日本の富山支店)から自腹を切って何度も東京に来ては、コンサルのケース面接に臨んでいた。富山から六本木界隈まで、急行能登号やJRバスなど深夜便を使うことで費用を節約しつつ、自分への投資と思って転職活動に臨んだ。地方で書籍も少なく、話ができる友人知人もいなかったため、ケース面接対策には、かなり苦労した。2010年以降、複数年にわたってマッキンゼーやATカーニーのケース面接に臨んだ自身の経験、および直近の現役コンサルタント等への聞き込みから、「地方在住の転職活動者でも活用できる実践的なノウハウ」をまとめておきたい。
Digest
  • ケース面接の現状分析と対策・NG事項
  • ケース面接の実際の雰囲気
  • 「業界でトップ5になるために死ぬほど努力してきました」と言える自信
  • 書店にあふれる対策本はどれを読むべきか?
  • 戦略コンサルブランドに乗っかる書籍は読まない方がよい
  • 例題:「あなたの営業部署の売り上げを2倍にするためには?」

最近の就職・転職活動では、現実のビジネスの場面を想定した「ケース面接」が取り入れられる傾向が強まっている。これは、ぶっつけ本番では不利な戦いとなり、実力を出し切れないものだ。今回は、そのケース対策として、筆者の実体験にもとづき、具体的で役に立つ情報をお送りしたい。

《ケース面接のポイント(【図1】=3つめの画像=を参照されたい)》

■①「論理的思考力・計算能力」②「実務経験に基づいた自信」③「心理学的な発想力」が必要になってくる。

■論理的思考力で見せるところは「テーマの把握(聞き手の望むことの確認)」「言葉の定義」「MECEを意識したロジックツリー分解」が基本動作となる。

■計算能力は、正確にちゃんと四則演算ができるか否かというもので意外に大事なところで気を抜いてはいけない。

■「MECEを意識したロジックツリー」の展開でフレームワークを使う場合、必ずフレームワークをなぜ使うのか?を意識、自分の言葉で語れるようにする。

■「実務経験に基づいた自信」とは、業界でトップの5人に入ると自信を持って言えること。完全な精神論になってしまうが、意外にこういうところも見ており、自信のある人物は、コンサル会社が望む「リーダーシップ」を兼ね備えていることが多い。

■「心理学的な発想力」とは、「あればすごい」という面。ロジックを前提として、いままでにない切り口を面接官に提供すること。これは、まず普通の人はできない。ほとんどの人は経験に基づいてロジックをゴリゴリで押すことになると思われる。

ケース面接の現状分析と対策・NG事項

【現状分析】

コンサル業界のケース面接は、主に戦略コンサルティングファームを中心に行われる。各社どういった傾向があるのか、実際にケース面接を受けたことがある同級生や同期などに話を聞き込みすると、以下のような傾向があるらしいことがわかった。

・ いわゆる「~~の売上を二倍にするにはどうするか?」などのお題。マッキンゼーやATカーニーなどはこの形が多い。

・実際のプロジェクトのようなお題を与える。物流業界の具体的な経営改善などについてホワイトボードを使って議論をするなど。BCGに多い。

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書店で見かけた戦略コンサル会社の名前をタイトルにつけた書籍の紹介ポスター。最近、こういう便乗的な書籍をよく目にする。現役のコンサルタントの間ではあまりいい目で見られていないとのこと。

他のコンサルでも、もちろんある。デロイトでは、ケースインタビューという単語がウェブサイトの採用ページにあり、「面接は、ケースインタビューの形式で、論理的思考力やビジネス感覚を披露していただくこともあります。経験や実績、専門領域に応じケースの題材やインタビューのポイントは異なります」と記載されている。

筆者の在籍していたアビームでも「あなたが営業マン時代に担当していたお客さんの経営的課題は何でしたか?」「売上を上げるためにはどうしたよいと思いますか?」というお題が出された。

「本当にそれで売上が改善すると思いますか?」と厳しい突っ込みもあった。そして「こういう突っ込みを常にされる仕事ですが、それでもあなたは志望しますか?」と意気込みも聞かれた。

【対策】 

対策は「(1)論理的思考力・計算能力」「(2)実務経験に基づいた自信」「(3)心理学的な発想力」ではないかとみている。

この3つの分類としたのは、単純にコンサルのケース面接対策関連の書籍に貼られているコード分類からもわかる。関連書籍は、「417.6(確率論・数理統計学)」「336.2(336.0)(経営管理)」「141.5(普通心理学・心理各論)」の3つのコーナー(分類)にある。

日本の図書コードの分類は「日本十進分類法」に基づいたもので、日本のほぼすべての図書館で採用されている。これは、「哲学」「歴史」「政治」「法律」「自然科学」「医学・薬学」「技術・工学・工業」・・・等々、「漏れなく・ダブリなく」網羅的に分類されて、広く受け入れられているものである。

この「モレなく・ダブりなく」というMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)は、ケース対策においても基本動作となる。

MECEを作るスキルとして、ロジカルシンキングが挙げられる。それは、「(1)論理的思考力・計算能力」の論理的思考力を指す。MECEを説明したロジカルシンキングの本はたくさんあるので、いままでの拙稿でも紹介してきた以下の書籍をおすすめする。書籍やWebにもたくさんよい教材があるので、ここではその細かい方法については割愛する。

ただ単に綺麗にロジックツリーを作り上げることは、大前提のスキルでしかない。では、どうやって単なるロジックツリーに付加価値を与えながら、面接を進めることができるのか――以下、記載したい。

ロジックツリーを作る前に重要なことは、「ロジックツリーを見せる相手(読み手・聞き手)が何を望んでいるのだろうか?どんなロジックツリーを見せると心に刺さるのだろうか?」を考えることだ。つまり、「テーマの把握(聞き手の望むことの確認)」が重要となってくる。

その根拠は、私がモンゴルで雑誌のインタビュー記事を編集していた実務経験からも言うことができる。私は昨年、モンゴルで「クールジャパン」をテーマとした雑誌を作成していた

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【図1】ケース面接は(1)論理的な思考力・計算能力、(2)実務経験に基づいた自信、(3)心理学的な発想力が必要であると考えられる。ロジックツリーやフレームワークのアプローチは、一部のパーツであるということがわかる。

【図2】オススメの書籍。ケース面接自体を全体的に解説した本は、実は1冊しかない。ロジカルシンキングを体に叩き込み、フレームワークに触れながら、問題にあたるのが正攻法といえる。

【図3】どうやって売り上げを2倍にするかという質問が多いが、売り上げをどう分解するかは法則のようなものは実はなく、いろいろな分解の仕方がある。そこが、ケース面接で見られるポイントでもある。

【図4】フレームワークはそれを使う理由・順序が大事であるが、ケースのお題につられて安易に使ってしまうと、思わぬ失敗をしてしまい、MECEにならないツリーを作ってしまうことがあるので注意したい。

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