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サントリーとキリンは水と油

情報提供

日経が、月曜日朝刊の一面トップでスクープ扱いとして最終版のみに突っ込んだ、サントリーとキリンの統合交渉(最終版でないと他社に漏れるため)。他社はもちろん都議選の結果が一面トップなわけだけど。

最初は、「飛ばしかな」と思った。記事を読むと「少人数の統合検討チームに指示した」程度の話しかなく、具体的な話がなにも書いてないし、統合の検討くらいいつも裏でやってるものだから。産業部の食品担当記者の焦りが見えるようだった。

ところが、翌日にはサントリーの社長がちゃんとしゃべってくれたおかげで他社も追いかけたから、これはもしかしたら社長賞じゃないかな。悪くても編集局長賞。

こういう「放っておいてもいずれ発表されるニュース」を、発表される前に、かつ他社より先に、記事にする、というのが日経記者の「社内でもっとも評価される仕事」です。東京銀行と三菱銀行が合併します、普天間基地返還へ、も社長賞。

こんなスクープをいくら報じても、社会は何もよくならない。一ミリも前進しない。こんなのはジャーナリストの仕事ではない。自分がやらないと埋もれてしまう話を調査報道するのがジャーナリストの仕事である。だから、MyNewsJapanが載せている記事はすべて調査報道。それしかやらない。

それでも、マスコミのサラリーマン記者たちは、毎日毎日、社内的な評価を勝ち取って部長にのしあがるために、そして地方支局に飛ばされないようにするために、サントリーとキリンの役員宅の前で役員のお帰りを待って、「社長から統合交渉についての報告を受けましたか」とぶつけ、反応を見る。この土日に最終確認のために両社担当の記者が走り回った様子が目に見えるようだ。

私にはこの仕事はできない。意味がない仕事だから。「日本投資家新聞」に就職したのなら諦めるしかないが、社長はジャーナリズムだとか言っているわけでね。日経に残っていたら、こういう合併話を、キャップとして責任ある立場でやらされてる年次だから、精神障害を起こして廃人になっていたかもしれない。

ようは、既存の新聞社というのは、株価が動くインサイダー情報をとるために膨大な手間ヒマをかけているわけだ。ホント、くだらない。株情報屋さんに成り下がっている。堂々と人に言えるような仕事じゃない。そんなことしてて、何か、やりがいあんのかねぇ。

■誰も幸せにしない統合

ところで統合の件ですが、サントリーとキリンは全くカルチャーが違うから、絶対うまくいかないと思う。サントリーは、非上場で独自の魅力的なカルチャーを持っているのに、その強みがなくなるのは本当にもったいない。

官僚機構みたいなガチガチのキリンと、やんちゃで「やってみなはれ」の自由な社風を持つサントリーは水と油です。足して2で割ったら、それぞれの強みが消えて普通のつまらない会社になるだけ。日立とかNECとか丸紅みたいな「一通り何でもあるけど無難で特徴がない」幕の内弁当みたいな会社になるか、いつまでも統合できず内部分裂が続くか。社員にとっては、どっちもハッピーではない。

投資家にとっては、生産・流通・営業・販売などの統合を強引にやればコストメリットがあるから短期的には利益が増えるが、市場は競争が減っていいものが生まれなくなるから、中期的に縮小すると思う。

消費者にとっては、競争がなくなって、似たようなブランドは統合されて商品の選択肢が減るわけだから、得な話はひとつもないです。3社のうちで圧倒的なシェアを握った段階で値上げもしやすくなるだろうし。朝毎読の新聞3社みたいに、証拠を残さないで闇カルテルも結ぶだろうし。

公取はこの統合を認めてはいけない。ビールは税金が高いため規模の経済が必要で、今後の新規参入がほぼ不可能な市場だから、統合を認めたら、企業を怠けさせるだけです。

サントリー
キリン

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読者コメント

名無し2009/08/05 13:27
松本孝行2009/07/17 12:02
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