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暴走する労働組合

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雇用・労働分野に興味がある人は、このタイトルから何を言わんとするか、ピンときたことだろう。

『暴走する資本主義』(ロバート・ライシュ)では、「企業は市民ではなく、大量の契約の束である」とし、企業の善意に期待する無意味さ、愚かさが指摘されている。いわく、「利益を損なうような社会的善行は許されない」「株主の受託者義務に反する」のである。全くその通りだと思う。

 ライシュはこう述べる。
社会全体の目的や目標を成し遂げるために、企業からの「自発的な」協力に頼ることもできると主張する政治家に対して疑いを持つべきだ、という私の考えもここではっきりさせておきたい。

つまり、経営者に対して「労働分配率を上げろ」などと言う社民・共産の政治家には「疑いを持つべき」ということである。経営者が利益を削って市場価格以上の人件費を払う行為は、株主からの受託者義務に反し、契約違反でクビにされるだけだ。

 経団連の御手洗会長に給与アップをお願いしていた福田首相や、労働分配率を上げろとうるさい辻元清美には、ライシュのこの言葉がふさわしい。
この政治家の非難の言葉は、問題に対して何らアクションを起こさないでいることの隠れ蓑だと考えてよい。

企業とまったく同じことが、労組についても言える。労組は市民でも人間でもなく、「組合員との契約の束」にすぎない。そこに人間らしい善意を期待することはできない。そんなものはフィクションだ。

「全米ライフル協会」が自動的に銃規制に反対するのと同じで、労組の目的は組合員の利益確保なのだから、自動的に、強欲な組合員の利益追求に走るのである。

組合員たる既存正社員の利益を守るためには、非組合員たちを冷酷に切り捨て、搾取する。人間としては失格だが、組合という組織になった瞬間、人間性は失われる。それは、企業が人間でないのと同じである。

これまでは、正社員組合が非正規社員(ハケンや期間工)から搾取するという構造だったが、昨今では、正社員が、同じ仕事をする非組合員の正社員から搾取するように“進化”を遂げた。日テレと朝日新聞が実例だ。

朝日新聞出版「同一労働三重賃金」の闇

日本テレビ 「泥舟」の老害船長×士気下がる乗組員たち

全く同じ仕事、同じ責任で、同じ正社員で、3割も5割も報酬水準を下げている。まさに「暴走」と呼ぶにふさわしい。

日テレでは、新入社員の非組合員に対して、組合員にカンパを募って削減分を埋め合わせる動きがあったが、結局、実現しなかった。人間の心と、冷酷な「契約の束」との間での葛藤が見える興味深い事例だったが、実現しなかったという結果が示しているように、暴走する労働組合に人間の心は期待できないのだ。

おそらく組合員1人1人をみれば、人間の心は残っているのだが、組織としてやっていることは醜悪だ。会社として総人件費を増やせるはずがないなかで、1円たりとも妥協を許さず、非正規労働者や新入の正社員に負担を押し付け、事実上の搾取を行っている。50代の年収2千万円の組合員は心が痛まないのだろうか。

 ライシュは解決策についてこう述べる。法律や規制を変えるしかないのである。  
改革派は、変更したい法律や規制に注力し、それを一般大衆に働きかけるべきである。

本件、日本において対象となる法律や規制は、「均等待遇」の一語に尽きる。整理解雇の条件も、正社員だろうが非正社員だろうが、均等にしなくてはならない。法律で、「同一価値労働、同一賃金」を義務付け、厳格に罰則付きで運用しなければならない。

 現状では正社員だけが異常に規制に守られているため、均等化すれば彼らの既得権は奪われる。したがって、残念ながら正社員労組の親玉である連合が支持する民主党政権には、できそうにない。さっさと政界再編し、上げ潮派の構造改革政権ができることを望むばかりである。

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payequity12014/04/18 22:24

【渡邉正裕】経営者に対して「労働分配率を上げろ」などと言う社民・共産の政治家には「疑いを持つべき」ということである。経営者が利益を削って市場価格以上の人件費を払う行為は、株主からの受託者義務に反し、契

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