サービスの本質
ヒルトンハノイオペラは快適で気に入った |
今回、ホテルの予約は、「エクスペディア」が最低価格保証という日本の家電量販店みたいな戦略を前面に掲げているので、利用してみることにした。
これは「少なくともボラれてはいない感」があって便利だ。アマゾンのホテル版みたいなもので、既にデファクトスタンダードになりつつある。やはりここでも日本企業は、ITの世界でデファクトをとれないようだ。
エクスペディアは、コールセンターの対応も悪くなかった。旅にトラブルは付き物なので、問題発生時の対応はかなり重要なポイントだ。今回、ホテルの予約絡みで、2つの問題が発生した。
■予約したのにフルブックド?
ホテルの仕事場。これはメリアハノイ。 |
エクスペディアで予約をしたところ、予約完了のはずが、ホテルに行ったら予約されていない、しかも「今日はフルブックドだ」と言われたことがあった。ちょっと待て、そんなはずはない、といくら言っても変わらない。エクスペディアは知らない、というのだ。
こうなると、エクスペディアのコールセンターにiphoneから国際電話をかけるしかない。0120は海外から通じないので、03の番号にかけ、どういうことかとクレームした。
やはりエクスペディア側とホテルとの連絡に不手際があった。100%エクスペディア側の問題だったため、国際電話代として3千円払うということで決着した。明細など取り寄せるヒマもないから、ざっくり3千円で、と提案し、ほどなく向こうも了解した。
これが日本の、サービスの本質が分からない駄目企業だと、自分で問題を起こしておきながら「領収証を出せ」などと言いだして傷に塩を塗りだすから、始末に終えない。通販生活のカタログハウスなどは、まさにそういった対応で、役員にも問いただしたことがある。
たかが3千円でも、すぐに払って解決すればこのようにロイヤリティーを獲得でき、結局、会社にとっても消費者にとっても「WIN-WIN」になるのだ。実際、今回のホテルは、すべてエクスペディアを使ってやった。
ただいま執筆中。ジュース類は日本より充実していた。このグァバジュースは日本のスーパーにはない。輸入すれば売れるのに… |
■ネットにつながらない!
2つめのトラブルは、「高速インターネット接続」をうたうホテルなのにインターネットアクセスができない、というものだった。エクスペディアの最低価格保証でヒルトンの部屋を予約したときのこと。腐ってもヒルトンだから、いい加減なサービスを許すつもりはない。
夜、インターネットにつなごうとしたら、ルームナンバーとラストネームによる認証が通らなかった。フロントと電話で1時間近くやりあったが、フロントはITについて全く理解しておらず、朝8時まで待て、と言う。「私はビジネスで来ていて、今、仕事をしなければならない。とにかく認証される番号を教えてくれ」といくら言っても、ルームナンバー531以外はないのだ、と言い張る。
安ホテルなら「まあ仕方なかろう」であきらめるところだが、ここはヒルトンだ。安かろう悪かろうはいいとして、高かろう悪かろうでは、単なる泣き寝入りになってしまう。ネット新聞の経営者がネットにつながらないのでは仕事にならない。
「緊急事態なんだから、べリファイされるアナザーナンバーを教えろ」「登録されているラストネームがWATANABEではないから認証されないんだと思う。登録されているラストネームを確認して教えろ」
と、いくら言っても、全く対応に柔軟性がない。10回くらい認証をトライしたが、結局、駄目だった。
■230ドルの返金とリムジンサービス
私は消費者の立場でニュースサイトを経営している。問題を発生させた側は、被害者が納得する形で損害を保証すべきで、泣き寝入りを許したら世の中はよくならない。
そこで、私の直接の契約先であるエクスペディアに電話し、原因を追究してもらった。登録時の名前がwatatanabeと、「ta」が余分だったことが原因だった。思ったとおりだ。watatanabeなら認証が通ったのだ。昨晩、それを指摘してやったのに、フロントの人間は理解しなかった。
スーパーでは1本34円のコーラ |
100%ヒルトン側に問題があることがはっきりしたので、1泊分の返金とネット接続2日分の無償化(=計230ドル相当)で手を打つことにした。これはエクスペディアが仲介した。今回も、悪くない対応だった。
とはいえ、問題を起こした側であるヒルトンが自ら補償を言わないのは、高級ホテルとして間違っている。罰を与えないと改心しない。
そこでヒルトンの担当者とも交渉し、レイトチェックアウトと、空港までのリムジンサービス(BMW)のサービスを向こうに提案させ、許すことにした。
適切なペナルティを課すことで改善マインドが発生し、世の中はよくなる。4つ星半ホテルで客が半日間ネットを使えないなどもってのほかだ。ネットにつなぐくらいで複雑な認証システムにしている時点で、経営者がいかに愚かであるかということを、私が泊まった他のホテル(メリアなど)のベンチマーク事例も含め、具体的に伝えてあげた。スペルが1文字違うだけで使えないという複雑な仕組みにしているホテルなど、ほかにはなかった。
ヒルトンの人間にも言ったことだが、問題を発生させた場合は、発生させたホテル側のほうから補償策を提案するのが筋だ。そうすればロイヤルティーは維持される。こちらが要求したものを呑むだけでは納得性は低い。問題を起こした側が、自発的に何倍にもして返す。それが顧客ロイヤリティーを高めるサービスの本質だ。
エクスペディアはロイヤリティーを獲得し、今後、私から多額の利益を得ることになるだろう。
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