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竹中工務店 「営業いらず」非上場ならではの独自経営

情報提供
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Ba普通の企業
    【理念共鳴型】
(仕事4.0、生活3.0、対価2.6)
 非上場企業ならではの環境を活かし、独特かつ長期的ビジョンに立った経営が実践されている竹中工務店。「新丸ビル(丸の内)はもともと安値受注で赤字スレスレのプロジェクトでしたが、損が拡大していった。ミッドタウン(六本木)も損益はギリギリ。いずれもランドマーク的なものとして、戦略的にとったものです」(社員)。江戸時代(1610年)に竹中藤兵衛正高によって創業された家業で、十七代目当主にあたる竹中統一氏が30年間、社長を務めている。株式も大半を竹中家のグループ会社で持ち合っており、近視眼的に利益を求めて文句を言ってくる外部者もいない。
Digest
  • 一族完全支配の独自経営
  • 営業部門がなかったくらい
  • 1年目は全寮制「カネ持った学生みたい」
  • 「完成したときの喜び」がやりがい
  • 設計機能が支店レベルにない
  • 40~45歳で課長、1000万円超に
  • 形骸化している目標管理制度
  • 個人宅はソニー盛田、ビーズ稲葉、キムタク…
  • 支店営業担当者の1日
  • 客と会社の間に入って板ばさみに


【Digest】
◇一族完全支配の独自経営
◇営業部門がなかったくらい
◇1年目は全寮制「カネ持った学生みたい」
◇「完成したときの喜び」がやりがい
◇設計機能が支店レベルにない
◇40~45歳で課長、1000万円超に
◇形骸化している目標管理制度
◇個人宅はソニー盛田、ビーズ稲葉、キムタク…
◇支店営業担当者の1日
◇客と会社の間に入って板ばさみに



一族完全支配の独自経営

「竹中統一社長と故・竹中錬一会長の写真、そして社是・経営理念は、支店でも現場でも、必ず壁に貼ってあるんです」(社員)。そして、工事現場では、朝の朝礼で、社是と経営理念を、皆で唱和する。「最良の作品を世に残し、社会に貢献する」「正道を覆み、信義を重んじ堅実なるべし」…。

取締役が46人、代表取締役だけで6人もいるなど「家臣」に名は与えるが、決めるのは竹中家。46人というのは会議で議論が成立する人数ではない。“名ばかり取締役”だ。だが、絶対君主が1人いて、かつ間違わなければ、それで問題はない。

「数年前までの好景気時代、自らが開発事業者となって土地を購入し、上モノを建てて賃料をとるデベロッパー事業や、開発案件を高値売却する投資会社の業務にも進出すべきだ、との意見は社内の役員も含め内外からあったのですが、すべて却下、断った。建築業に徹し、どうしても、という顧客の依頼でわずかにやっているだけです」(社員)

開発事業はやらないから、種銭を持つために上場して多額の資金を調達する必要もない。株式は非公開で、株主は「TAKプロパティ」(設備会社)、「アサヒプロパティズ」(ビルメンテの会社)の2社で65%を持ち、以下、社員持ち株会、竹中育英会と続く。いずれも系列組織で、竹中家以外からの圧力はほとんどかからないから、独自の経営を貫くことができる。現状は、その強みを生かして、確かにうまく回っている。

逆にいえば、トップの暴走を防ぐ仕組みは実質的に何も存在しないため、「殿、御乱心」の際に、社是・経営理念がいつ破られてもおかしくない。

報酬制度も年功序列的で長期的な雇用関係を前提に設計されているため、若い段階で辞めると損なだけ。

 竹中家を信じ、理念に共鳴し、家業と心中する心意気をもって就職すべき会社といえる。

(右写真は現在の当主・竹中統一社長。支店でも現場でも社員は毎日、見ることになるので、嫌いだとツラい)

営業部門がなかったくらい

竹中の経営戦略は、かなり明確だ。民間建築で、ランドマーク的な建物を手掛け、多少割高になっても、最先端の技術力で良いモノを建てる。「建築は赤字でも、利益率の高いオフィスメンテで20年かけて回収するなど、非上場ならではのビジネスモデルだと思います」(社員)。実際、東京タワーや5大ドームなど、主要なランドマークは逃さず手掛けている。

「『技術がしっかりしていることを示していれば、仕事はやってくる』という考えが支配的で、営業の立場は弱いです。もともと伝統的に、営業部がなかったくらい。竹中家人脈のつきあいから、トップ同士で話がついて営業に落ちてくるかんじがある。だから営業は、経験豊富で年齢もそれなりの人でないと務まりにくい」(社員)。竹中家は、故・竹下登や民主党幹事長の小沢一郎とも遠い親戚である。

ランドマークが広告塔となり、それ以外で積極的な営業をしなくても、高い技術力と表裏一体となったブランド力、そして竹中家人脈のなかから、労せず注文がやってくる。竹中家の伝統がなせる業である。

 その環境では当然、社員個人の営業力は身に付きにくい。社員のためではなく家業のために会社があるのだから、証券会社や広告会社、さらには積水ダイワ といったハウスメーカーのような営業力は必要ないのだ。地方の中小企業クラスに対しては、むしろ「うちの技術でキミらの建物も作ってあげようか」くらいの勢いである。

竹中には、いわゆるゼネコンのイメージ、つまり公共事業にともなう談合のダークなイメージがない。同社完成工事高の92%(2008年12月期)を「民間の建築」が占めるためだ。民間は、もちろん「随契」でかまわない。官庁では随契(随意契約)と呼ばれ批判される非競争入札による契約のことを、民間では「特命工事」と呼ぶ。その競争によらない特命工事は、建築工事全体の57.5%(2008年12月期)も占めている。したがって、随契が割高なのと同じく、利益は確保されやすい。

こうした、ブランド構築や技術への投資、そして短期的な損益にこだわらない創業家人脈重視による受注などは、長期ビジョンに基づくものであり、四半期ごとの利益に追われる株式上場企業には、到底マネできない。まさに非上場・一族支配会社ならではの経営体制が、この経営戦略実現の肝となっている。

株主の意向によって、MBAホルダーの自称「経営のプロ」が突然トップに据えられ、1年で結果を出さねばクビにされる上場外資系企業とは、まさに対極にある会社である。同じサラリーマンをやるなら、見たことも会ったこともない海外の投資家やファンドの金儲け主義に左右されるくらいなら、日本で17代続く竹中家に仕えるほうが、いざリストラ、となったときの納得感は高いかもしれない。

現状では、赤字転落するスーパーゼネコン(大成、鹿島)も出るなか、竹中は長期ビジョンに基づく社是・理念を第一とする経営を創業家が守り、暴走することもなく、堅実に利益を確保し続けている。今のところは、創業家がいる非上場企業としての良い面が出ているように見える。ただこの体制はチェック&バランスが機能しないため、高い技術力を持ちながら経営が行き詰まりパナソニックに身売りした三洋電機の井植家のように、転落するときは速い。三洋だって、つい5~6年前までは優良企業と呼ばれていたのだ。

1年目は全寮制「カネ持った学生みたい」

そんな独特のビジネスモデルと企業カルチャーは、新人時代に染み込まされる。新入社員は、全員が神戸市内にある寮に入り、まず全員を親元から隔離。4カ月×3のローションで、神戸支店、大阪本店、京都支店の3つのいずれかに所属し

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藤田工営部長西森2014/04/08 20:12
初の創業家以外の社長2013/02/01 00:32会員
八郎2011/11/13 00:10会員
通りすがり2009/10/29 19:58
しん2009/10/28 18:43
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