厚労省、トクホ不許可の情報を隠匿「飲むヒアルロン酸サプリに効果なし」
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トクホ審査で効果が無いと判定された、キューピーのヒアルロン酸サプリ「ヒアロモイスチャー」。相変わらず「うるおい力」などと効能をうたう。 |
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- ヒアルロン酸サプリの中で、唯一トクホ申請したキューピー
- 食安委「肝臓疾患の人は、ヒアルロン酸の血中濃度が1000倍だが肌は潤わない」
- 東京都「肌への効果を言っていると言えるのか… 時間を下さい」
ヒアルロン酸サプリの中で、唯一トクホ申請したキューピー
肌がプルプルになるなどの効能で、コラーゲンと並び、美容サプリの上位を占めるヒアルロン酸。ドラッグストアやテレビの通販番組、新聞広告などでも、さまざまなメーカーがヒアルロン酸サプリを宣伝、販売しているのはご存知のとおりだ。
ただ、どの商品も、実は一般食品扱い。効能表示が認められたトクホ(特定保健用食品)のマークのついたものなど、一品もない。つまり、ヒアルロン酸を飲んで、本当に肌がプルプルになるという確たる証拠はない。
そうしたインチキのヒアルロン酸サプリが横行するなかで、マヨネーズでおなじみのキューピーは2003年、トクホの申請を行なった。「ヒアロモイスチャーS」という商品だ。
エコナ騒ぎでにわかに注目を浴びたトクホは、国が効能と安全性を審査して表示のお墨付きを与えるという制度。本来、市販の健康食品は、ほとんどが薬事法違反(68条の「承認前の医薬品等の広告の禁止」に違反する)である状況のなかで、トクホだけが唯一、食品の中で特別な効能を表示して販売しても良い、ということになっている。
エコナが販売停止となったことでトクホへの不信感は広がっているが、トクホを取得していない健康食品は、山のようにある。巷にはいい加減な効能をちらつかせながら販売を続けている健康食品が山のようにあるなか、トクホにチャレンジしたキューピーの姿勢は、大いに評価すべきことだ。
ところが残念なことに、2008年11月に、有効性が認められないとして不許可となっていたことが、このほど判明した。
ただ、どういう審議の結果として不許可になったのかは、不明な点が多い。というのも、トクホの審査制度は、安全性の審査と有効性の審査が別々に行なわれるという2重構造になっているためだ。
安全性の審査だけは内閣府に設置された「食品安全委員会」が行い、有効性などの評価は厚生労働省が行なって最終的に許可が出る、という仕組みだ。食品安全委員会の審議内容は詳細な議事録が掲載されるため知ることができる一方で、厚労省の審査は、ほんの数行の議事要旨が出るだけ。
また厚労省のHPには、申請されたトクホの結果がどうなったのかを知らせるページはなく、情報公開の面から見て、とても問題のある制度になっている。相変わらず、厚労省は、生活者よりも企業のほうを向いている。不許可になった企業にとっては痛手だが、生活者、消費者にとってこれほど役立つ情報はない。
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10月29日の食品安全委員会へ提出された資料![]() |
今回のキューピーのトクホ不許可についても、厚生労働省では昨年の11月に結果が出ていたにもかかわらず、食品安全委員会に報告されたのは、今年の10月だった。それがなければ、見つけるのは困難だったといえる。
効果が無いと断定した厚生労働省は、もっと積極的に情報を開示すべきではないのか。企業のために効能表示を許可するだけでなく、消費者のために不許可の表示を公表するのも、トクホ審査の役割だろう。そうでないと、誰のためのトクホなのかわからなくなる。
食安委「肝臓疾患の人は、ヒアルロン酸の血中濃度が1000倍だが肌は潤わない」
さて、このヒアルロン酸を飲んだ場合の肌への効果だが、じつは2003年7月9日のNHK「ためしてガッテン」でも取り上げられているこの先は会員限定です。
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2008年11月17日の厚生労働省の調査会の議事要旨
薬局の美容サプリコーナー。コラーゲンとヒアルロン酸が大きく展示されている。
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乾燥肌が潤う、などといわれ人気の「ヒアルロン酸」。コラーゲンと並ぶ人気の美容サプリだ。だが、同成分でトクホ申請していた商品が、5年間の審議を経て、2008年11月に効能がないとして不許可になっていたことが分か
科学的な根拠が認められなかったからトクホの申請に通らなかった。トクホ制度がきちんと運用されているということではないか。それを「いわゆる健康食品」の問題とごっちゃにしている。切り口を変えようよ
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読者コメント
消費者は、もっと利口になるべきですね。何も効果がないばかりか、かえって危ない健康食品を高い金を払って買うなんて、馬鹿ですよ。
このような問題と消費者庁とのかかわりはどのようになるのか、興味あります。
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