9月25日花王と関係省庁の代表を招いて行なわれた緊急集会
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消費者団体主催で9月28日、花王、食品安全委員会、厚生労働省、消費者庁の代表者を招いての緊急集会が開催された。「そもそも安全性を確認中の商品が、なぜ堂々とトクホとして販売できていたのか?」など様々な質問が出されたが、納得のいく回答は得られなかった。特に、今回の発足でトクホの許認可権限を与えられた消費者庁の対応はひどく「食安委の結果を待つだけ」という回答。消費者の不安に対して、省庁の垣根を越えて必要な施策を調整していく、とは口先ばかりで、結局、既存省庁の権益の隙間で何もできない省庁であることが明らかになった。
【Digest】
◇消費者団体、トクホ取消しと被害実態解明の調査を要求
◇消費者庁「食品の健康・安全政策・調査は所管でないので・・・」
◇厚労省「被害が出ていないので販売禁止はできない」
◇花王 有害影響を見つけにくい実験で安全確認を強調
◇販売再開なら「発ガン疑い審議中」の表示を義務づけろ
◇消費者団体、トクホ取消しと被害実態解明の調査を要求
一時的販売中止措置がとられたエコナ。再三取り上げてきているのでMynewsjapanの読者には驚きは少なかったと思われる。しかし健康効果のトクホのイメージと「発ガン」という言葉のあまりのギャップに、ショックを受けた人も多く、花王、消費者庁などへの問い合わせは殺到している様子だ。
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9月25日の緊急集会配布資料 |
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9月28日には、主婦連や日本消費者連盟、著者も委員を務める食の安全・監視市民委員会などが共催で、「エコナの安全性を問う」と題した緊急集会を開催。説明者として花王株式会社、食品安全委員会、厚生労働省、消費者庁の各代表が出席した。
集会の中では様々な質問がだされた。
1)販売中止しながら、花王は「安全性に問題無い」と言い続けている、矛盾しないか?
2)食品安全委員会で安全性審議中の商品がなぜ堂々とトクホとして販売できているのか?
3)本当にヒトで被害は起きていないのか?なぜ確認しないのか?
4)消費者の不安や不満に答えるのが消費者庁ではないのか?消費者庁は何ができるのか?
など、当然普通の人たちが疑問に思うだろう質問が相次いだ。
また、要望として、行政措置としての販売禁止とトクホの許可の取り消し、被害の有無を調べるための疫学調査の実施などが出された。
というのも、現在エコナは、花王が自主的に販売自粛をしているだけの状態。花王としては問題の一部である不純物グリシドール脂肪酸エステルという成分の量を一般の油並みに減らして販売再開したい意向だ。
現状では関係省庁はどこもそれを止めることができないので、厚生労働省に行政としての販売禁止措置の実施、またトクホの許認可権限が与えられた消費者庁に対しては、トクホの取り消しが求められるわけだ。
◇消費者庁「健康・安全政策・調査は所管でないので・・・」
各省庁の説明の中で、一番がっかりさせられたのが、消費者庁の対応だった。「現在進行中の食品安全委員会の審議結果を待って検討したい」という発言を繰り返すばかりで、審議結果が出るまでの間の、消費者保護のために必要な措置をとろうという態度はみじんもない。
そもそも消費者庁の設立のきっかけになったのは、農薬入り餃子による食中毒事件だ。千葉や兵庫で散発的に被害が起きていたものの、行政の怠慢で被害情報が吸い上げられず被害の拡大を止められなかった。
その反省から「消費者行政を統一的、一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織」として設立されたのが消費者庁だったはずだ。ましてや、トクホについては許認可権限を与えられ、まさに自分の所管の案件である。
安全審議が終わるまで、一旦トクホの許可を取り消して、花王が勝手にトクホとして販売を再開できないように措置をとっておく権限はあるはずだ。しかし、消費者庁の食品表示課課長相本浩志氏は、「一旦許可したものを取り消すには、新たな科学的知見が必要で・・・」と、食安委の審議結果でなければ何もできないという。
またヒトでの被害が起きていないかと言う問題でも、消費者庁がリードできるはずだ。
MyNewsJapanの記事のコメント欄には、よかれと思ってエコナを食べさせていた夫や父親がガンになったという報告が多数寄せられ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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花王提出の資料1「.ヒトの摂取量の12.5~48.5倍の高い用量で実施」と自慢げに書いてあるが、見当はずれの内容だ。 |
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花王の提出資料2.食安委は「安全性に問題なし」と言っていると説明したが、直後に食安委代表から「良いとこ取りの説明で、事実でない」と批判された。 |
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