メタボ対策の小林製薬「ナイシトール」、効き目の独自証拠なしで販売
小林製薬「ナイシトール85」のおじさんのぽっこり出たお腹を輪切りにすると内臓脂肪がびっしりのCM |
◇薬品・健康食品業界のメタボ撲滅キャンペーン
今年の4月から「メタボ検診」(特定検診・特定保健指導)が始まった。40歳~74歳を対象に、定期健診で、内臓脂肪型肥満で高血圧、高血糖などの症状(いわゆるメタボリックシンドローム)の人を見つけ出す。
これまでも、企業の定期的健康診断や、市町村が実施していた住民健診があったが、必ずしも実施率が高いとはいえない状況だった。しかし4月からは、企業の健康保険組合や国民健康保険の場合、市町村に、被保険者の健診の実施が義務付けられる。企業の健康保険組合の場合、従業員だけでなく、その被扶養者も対象。健診だけでなく、その結果メタボ、もしくは予備軍だと判定されると保健指導も義務化される。
受診率や保健指導の実施率が悪いと、国からの補助がカットされるなど財政的なペナルティが課せられることになるので、地方自治体によっては、無料化に踏み切る所も出てきている。
早めに保健指導することで糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞など予防するという試みだ。生活習慣病をあらかじめ予防することで、2025年には医療給付を2兆円節約できるというのが厚生労働省の目論見だ。
一方で、「ちょっと小太りの方が実は長生き」「なぜ女性の方が数字が甘いのか」「将来の医療費削減のために」と言っているが、「メタボ指導を始めたら、現在の医療費増で財政がパンクしてしまう」など、メタボ検診への疑問点もささやかれている。
新聞広告「読売新聞」(2008年3月17日の広告) |
医者の処方が必要な保険対象の医療用医薬品の場合、処方量が増えれば医療費削減にはつながらないという矛盾がある。一方、薬局で誰でも変える一般用医薬品(OTC薬ともいう)やサプリメントは、健康保険の対象ではない。消費者の財布の負担は増えるが、国の医療費の削減にはつながるわけだ。
筆者は、これまでもMyNewsJapanで、花王のエコナ、ヘルシアなどをはじめとしたメタボ対策商品について、独自の検証を行ってきた。
消費者が自分で選んで購入すべきものだけに、ほんとに効果があるのか、また安全性はどれだけ確認されているのかなどの情報開示がとても大事だからだ。
健康食品にだけ文句を言っていると思われたのか、さる健康食品業界の人から、「そんなことをいったら、医薬品だって結構いいかげんなものがあるのに」という批判めいた告げ口をされた。
そこで、サプリだけでなく医薬品についても調べてみようと思った次第だ。
◇小林製薬「ナイシトール」の効能書き
メタボ対策医薬品の一番人気は、なんといっても小林製薬の「ナイシトール85」だろう。おじさんのぽっこり出たお腹を輪切りにすると内臓脂肪がびっしり、「ナイシトール」でそれが見る見る減っていく、というCMで有名だ。(画像参照)
「産経新聞」によると、2006年3月に発売開始され、06年度で35億円、07年度には50億円余と大ヒット商品となったものだ。中身は、昔からある一般的な漢方薬で「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」という。
ただ、おもしろいことにこの「ナイシトール」、CMや新聞の広告では盛んに中年親父の内臓脂肪を減らすぞと宣伝しているものの、薬の効能書きを見ると、内臓脂肪とは一言も書いていない
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り4,962字/全文6,346字
小林製薬「ナイシトール85」効能書き
小林製薬が出してきた証拠という書類の表紙
公式SNSはこちら
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
ニュースソースの確保が課題なのでしょうね。
にしても、これだけ社会において不祥事や腐敗が蔓延し、問題が山積している中で、折角こういった発言の場が用意されても国民は声を上げない。他人任せでへびつらった国民性ですね。
皆が馬鹿なおかげでやりたい放題だと一部の権力者は大笑いしていると言うのに。
発売当初購入して飲んでましたが、続きませんでした。そういう方多いんじゃないですかね。
メタボは時流に乗った話題ですね。平たく言えば昔で言うところの中年太りですかね。食事の欧米化が進んだせいで、30-40代の男性の多くが悩んでいるそうで(痛風と同じく贅沢病?)。
記事の内容もしっかりしてますし、この記者の方は出来る!と感心しました。今後も面白くて為になる記事を期待してます。
記者からの追加情報
会員登録をご希望の方は ここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい (無料)