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ダノンヨーグルト、米国では虚偽表示で集団訴訟 日本はおとがめなし

情報提供
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ダノンビオのコマーシャル「新・母と娘篇」より
 米国ではシェア4割に届こうかというダノンヨーグルト。日本でも「ダノンビオ独自の高生存BE80菌」とCMが流れている。アメリカでは先月、ダノンビオと同じ乳酸菌を使用したダノンアクティバの購入者が、ウソの宣伝で約360億円の被害を受けたとして損害賠償を求める集団訴訟に発展。日本でも「お腹すっきり、14日間で」などと効果を期待させる宣伝をしているが、ダノン・ジャパンは「効能はうたっていない」。表示規制が甘く、集団訴訟制度もない日本の消費者は、騙されないよう注意する必要がある。

◇普通のヨーグルトにはない効果を宣伝
 ダノンビオのコマーシャル「新・母と娘篇」での母娘の会話。

娘「どうしたの?」
母「(お腹をさすりながら)張っちゃって」
娘「それなら、ビオ」
母「だって、ヨーグルトでしょ?」
娘「違うの」
ナレーション「違いはダノンビオ独自の高生存BE80菌」
母(ビオを食べながら)「いいかも」
ナレーション「お腹すっきり、14日間で!ダノンビオ」

 ダノン独自の乳酸菌の働きで、普通のヨーグルトにはない特別な効果があるとCMでは宣伝している。

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ダノンビオのアメリカ版「アクティバ」
 アメリカで同じ乳酸菌を使用した商品が「アクティバ(Activa)」という商品だ。アメリカでは2006年から発売されており、商品のパッケージには「あなたの消化システムを自然に調整します」と書いて、お腹の絵の上に下向きの矢印の絵が掲載されている。

 通常のヨーグルトと差別化するために、「本格的プロバイオティクス」「効能が臨床実験などで実証されている」などと科学的な装いを前面に打ち出している。

 プロバイオティクスとは、いわゆる善玉菌と呼ばれるもので「消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用をもたらしうる有用な微生物」と定義されている。

◇米国で集団訴訟、被害総額は360億円
 アメリカで商品名「ダノンアクティバ」で販売されているダノンヨーグルトの効能を信じて購入した消費者が今年1月23日、効果が確認されない、ウソの宣伝で金銭的損害を受けたとして、代金の返済を求める裁判をアメリカ・カリフォルニア州の連邦地裁に起こした。

 アメリカでのダノンヨーグルトのシェアは高く、アメリカのダノン社幹部のホアン・カルロ・ダルト氏は「2008年にはアメリカのヨーグルト販売の40%以上を占めることが期待される」ほどだという。

 アクティバの売り上げはこの1年で、48%増の1億8130万ドル。姉妹品のダンアクティブ(日本では未発売)は、185%増の6000万ドル。アメリカの食品産業界では近年まれに見る大成功のケースだと評されている。

 訴訟では、1年間の売上額を超える損害賠償を要求している。個別の消費者の被害は少額だが、集団訴訟なので総額は莫大なものとなる。

 集団訴訟とは、消費者保護の観点からアメリカで発達した訴訟のやり方で、少額だが多数の被害者の集団を、ひとり、または数人が代表して、被害者全員の損害賠償を一括請求できる訴訟手続きのことだ。

 原告の弁護士によると、被害総額は3億ドル(約360億円)に及ぶのだという。

 また日本では発売されていないが、アメリカでは「免疫力がアップさせる」という効能を宣伝した「ダンアクティブ(Dan Active)」という商品も訴訟の対象に担っている。ダンアクティブは、ダノンビオとはまた別の乳酸菌を使ったもので、商品のパッケージに大きく「免疫力(immunity)」と表示され「あなたの体の抵抗力を強化します」と宣伝文句が書いてある。

 アメリカのダノン社によれば、商品に含まれるこの高生存ビフィズス菌は、他の善玉菌と違って「胃などの強酸性の状態でも生きたまま腸までたどりつき、毎日2週間摂り続けると、食品が腸内を通過する時間が短くなり、消化システムの調整に役立つ」効果があるという。

 ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)紙の報道によると、原告の1人、トリシュ・ウィーナーさんは、「科学的な専門用語が使われていて、何かよさそうな期待をさせるでしょう。でも結局は不味いだけで、何の効果もなかったのよ。私たち消費者は忙しくていちいち調べていられない。書かれている効能は本当だと信じるしかないじゃない」と語る。

 アメリカではダノンのヨーグルトは、他の通常のヨーグルトより3割ほど値段が高いのだという。せっかく効果を期待して高いものを買ったのに、とウィーナーさんは、知り合いの弁護士に相談し、集団訴訟に加わることになった。

◇アクティバは効果の検証が途中まで
 ダノン社は、宣伝している効能は科学的に証明されていると主張している。アクティバの宣伝用パンフレットでは、アクティバの効果を示したという論文が3件ほど示されている。しかし原告の訴状によると、それらは食品が腸内を通過する時間が短くなるというもの。

 そういう効果があるとしたら、確かにお通じがよくなる可能性は期待できるだろう。だが実際に、お腹の張りや便秘とかの症状の改善などの効果を調べた研究論文はない。

 またパンフレットの中にも「消化機能が正常に働いている人たちに対しては、特段の変化(や下痢のリスク)は観察されていません」と書いてある。悪くもないがよくもないというのだ。

 もし日本で健康食品の効能表示を審査し許可する特定保健用食品(通称トクホ)の審査を受けたとしたら、これだけでは、効能表示は認められず、追加の研究論文を要求される可能性がある。実際日本で販売されているダノンビオはトクホの許可は受けていない。

 誤解を招かないようにあえて指摘しておくと、今回の訴訟は、乳酸菌などプロバイオティクスとして注目されている善玉の腸内細菌の体へのよい効果全体を否定しているわけではない。訴訟で問題とされているのは、

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日本では発売されていない、免疫効果をうたった「ダンアクティブ」

日本で販売中のダノンビオ。「14日間お試しください」とある。

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読者コメント

でめきん2013/07/17 12:57
乳業界のアルフィスタ2008/02/26 00:30
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