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DHCのサプリ「メリロート」 EU安全基準の2倍超で肝障害報告も、販売続行中

情報提供
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DHC社のメリロート
 むくみ解消などダイエット用サプリメントとして人気の、DHC社「メリロート」。だが、その有効成分「クマリン」の量は、肝臓への毒性を考慮して定められたEUの安全基準の2倍超にもなる。医薬品で決められた一日服用量と比べても2倍超が含まれ、医薬品で副作用として明記された肝障害も報告されているが、「因果関係がはっきりしない」として、厚生労働省は原因究明もせず、メーカー側の自己責任で堂々と販売され続けているのが実態だ。DHC社に、どう安全を担保しているのか聞いた。
Digest
  • 肝障害の報告も原因究明はなし
  • 有効成分クマリンが、医薬品の2倍超も含有
  • EUの耐容一日摂取量の2倍超にもなるDHCのメリロート
  • ドイツでは「医薬品として規制すべき」と勧告
  • 食品なのに、海外の医薬品の基準で含有量を設定
  • 「効能の臨床データは見せられない」

日本では、医薬品にも使われている成分が、カプセルや錠剤のサプリメントとして、「健康食品」と銘打ち、通常の食品とまったく同じものとして、自由に販売することが許されている。その一例が、メリロートだ。

肝障害の報告も原因究明はなし

メリロートとは、ヨーロッパからアジアにかけて広く分布している、マメ科のハーブ。有効成分として含まれる「クマリン」には、血行を良くする作用があるとして、ヨーロッパでは、主に消炎用医薬品として使用されている。日本では痔の薬として販売されている。

また、日本では医薬品ばかりでなく、むくみやセルライトなどの解消効果があるとしてダイエット用のサプリメントとしても販売されている。

 2003年に、 DHC社の「メリロート」が原因と疑われる肝機能障害の事例が2件、厚生労働省に報告された 。厚労省は当初、企業名を隠していたが、後にDHCであると公表した。

いずれも女性のケースで、一件は新潟県に住む30代の女性で、摂取1ヶ月で黄疸を発症し、入院。一度は回復したものの、再度同じ商品を摂取したら再発した。担当医師はDHCの「メリロート」が原因だと考え保健所に通報し、厚生労働省に報告された。

2件目は、20代の女性で、5ヶ月間摂取後の健康診断で肝機能値の上昇を指摘され、7月まで入院。他の薬物や健康食品は摂っていないこと、ウイルス性肝炎などの可能性は否定されていること、商品の摂取の中止によって症状が改善されたことなどから、担当医師は「メリロート」が原因だと判断し、保健所へ通報した。

厚生労働省は、ホームページで商品名も含めて被害事例としての公表は行なった。しかし、食品安全委員会への諮問を行うこともなく、それ以上、原因究明などの措置は何もとらずに、放置している。

有効成分クマリンが、医薬品の2倍超も含有

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クマリン含有量グラフ。医薬品の服用量は0.4~4.0mg/日で、メリロートはその2倍超にもなる。No.1がDHC社のメリロート、他に医薬品量を超えているNo.2はロート製薬の「セラシーン」NO.6は小林製薬の「メリロート」。出典:「たしかな目」2004年7月号 国民生活センター

翌2004年には、国民生活センターが、市販のメリロートサプリメントの調査を実施。メリロートに含まれる有効成分であるクマリンの含有量の検査で、DHC社の商品には、医薬品で定められている服用量(最大4.0mg/日)の2倍を超えるクマリンが含まれていることが判明した(右記参照)。

厚生労働省は、健康食品などに関する通知の中に「成分が医薬品として用いられていることがあるものについては、原則として、医薬品として用いられる量を超えないように設定すること」と指導しているが、法的な強制力はない。厚生労働省に問い合わせたところ、「医薬品量を超える場合には事業者が安全性を担保すべきである」とのこと。事業者の自己責任としているだけだ。

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医薬品としてのメリロート製剤の添付文書。「まれに下記の重篤な症状が起こることがあります」として肝機能障害を銘記。

国が積極的にメリロートの安全摂取量を調べるという動きも、まったくない。そして当然、メーカーが自主的にメリロートが原因なのか、原因究明をする訳もない。DHC社のケースでは、報告された被害事例との因果関係が完全に実証されていないとして、販売は継続されている。

しかし、そもそも痔の治療薬として販売されているメリロートの医薬品には、注意書きの中に、副作用として黄疸などの肝機能障害が掲載されている。(右記)

EUの耐容一日摂取量の2倍超にもなるDHCのメリロート

メーカーも国も健康食品に含まれる安全性を保証しない日本と違って、EUでは食品中に含まれる有害成分についてのリスク評価をきちんと行なっている。

EUの「食品に関する科学委員会」では、2004年12月にメリロートに含まれる有効成分クマリンの肝臓への毒性を考慮して、耐容一日摂取量(TDI)を0.1mg/kgと設定した。その段階で、EUでは通常の食品からの摂取ではこの量を超えることはない、と判断された。

  耐容一日摂取量(TDI):人が一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される量。一日当たりの体重1kg当たりの摂取量。

0.1mg/kg/日ということは、体重40kgの女性の場合は一日4mgということになる。DHCの「メリロート」の1日摂取目安量(2粒)でのクマリンの含有量は10mgなので、実に2.5倍にもなる。1日10mg以上飲んでも大丈夫なのは、体重100kg以上の人に限られるのだ。主に女性向けであることを考えると、EU基準の2倍を超えることになる。

ドイツでは「医薬品として規制すべき」と勧告

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EUは、クマリンの肝臓への毒性を考慮して、耐容一日摂取量(TDI)を0.1mg/kgと設定。ドイツのリスク評価機関(BfR)が2006年10月13日に出した「シナモンやその他の食品に含まれるクマリンについてのQ&A」より

ドイツでは、血糖値を下げるサプリメントして、シナモンのカプセルが販売されている。そのシナモンにも、クマリンが多量に含まれていることが問題になった。ドイツのリスク評価機関(BfR)は、スパイスとして伝統的に使用されるシナモンの量では問題はないが、サプリメントとして大量に摂取した場合、EUで定めたTDIを超えるので問題がある、と指摘。

また血糖値低減作用も証明されていないとして、シナモンサプリメントは食品としてではなく、有効性を確認したうえで医薬品として規制すべきである、と勧告した。

普通の食品として販売されているシナモンクッキーについても、摂取量によってはクマリンのTDIを超えるものがあったとして、注意勧告を出している。

(参考:国立健康・栄養研究所の「健康食品」の有効性・安全性情報

実際に被害事例がでても、因果関係が不明だとして何の対策もとらない日本とは対照的に、ヨーロッパでは、事前にリスクを評価して、被害を事前に予防しようとしている。

そこで、DHC社に対して問い合わせてみた。実は筆者は、2005年に、すでにDHC社広報に対して、医薬品を超える量を摂って安全だと確認しているのか?また、そもそもむくみ解消などの効果を出すためには、どれくらいの量の摂取が必要なのか、を質問している。しかし、DHC社の返事は「回答拒否」であった。

そこで今回は、商品を購入の上、DHC社の健康食品相談室「0120-575-368」へ電話した。「医薬品量を超える場合には事業者が安全性を担保すべきである」というメーカー側の自己責任を定めた厚労省の通知は、ちゃんと守られているのだろうか。

食品なのに、海外の医薬品の基準で含有量を設定

--御社のメリロートについてなんですけど、EUでのクマリンのTDIが0.1mg/kgとなっています。私の場合、体重80kgで8mgになるですが、御社の「メリロート」では1日の摂取目安量は10mgになり、超えてしまってるんですが、大丈夫なんでしょうか?

「日本では、健康食品に配合できるクマリンの量の基準はないんです。そこで当社では

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mk162022/05/01 08:31

>医薬品の服用量は0.4~4.0mg/日で、メリロートはその2倍超にもなる。No.1がDHC社のメリロート、他に医薬品量を超えているNo.2はロート製薬の「セラシーン」NO.6は小林製薬の「メリロート」

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