集計に使用したデータは、鉄道事業者が国に報告した事故や障害の概要をまとめた「運転事故等整理表」。情報公開請求に対して国交省が開示したデータのうち、原因が「自殺」とされたケースを集計した。鉄道局安全監理官によると、原因が自殺にあたるかどうかは警察が判断する。

◇自殺場所ランキング、１位２位は駅間
　鉄道自殺の発生場所は、ホームやホーム直前の踏切などを含む「駅構内」と、駅構内と駅構内をつなぐ「駅間」に分類できる。駅構内以外の踏切は駅間に含まれる。列車のトイレ内で首吊り自殺していたケースも１件あったが、例外的なケースなので集計には含めていない。

　自殺の発生件数は、駅構内２１９３件に対して駅間２３７３件で、駅間でより多く起きていた。発生場所は駅が１２００、駅間が１６４４で、こちらも駅間の方が多い。

　死傷者数は、駅構内が死亡１８１０人、負傷３９２人、計２２０２人（致死率８２％）。駅間は死亡２２７７人、負傷１１８人、計２３９５人（致死率９５％）だった。

　事業者ｘ路線ｘ場所ｘ都道府県を組み合わせて自殺場所のランキングをつくると、全国最多となったのは意外に中央線ではなく、ＪＲ西日本の関西線の志紀駅〜八尾駅間（大阪府）の１７件だった。２位は中央線の八王子駅〜西八王子駅間で１４件。３位は１３件の中央線新宿駅と荻窪駅という順だ。

　８件以上だった区間は１０駅と１０駅間の計２０あり、これだけで１９９件の自殺が起きている。全２９９７区間のリストは、記事末尾にリンクからダウンロードできる。

◇中央線の駅構内・駅間別の自殺発生件数
　「自殺の名所」として有名なＪＲ中央線を見ると、高尾駅で発生したＪＲ貨物の自殺１件を含む計１９０件発生していた。ほとんどの駅で自殺が起きており、とくに三鷹駅から高尾駅までは駅間でも多発している。中央線でもっとも自殺の多い場所というと荻窪駅にあたりという印象があるが、最多区間は八王子駅〜西八王子駅間だ。東京駅から高尾駅まで並べると次のようになる。

　突出して多い八王子駅〜西八王子駅間（１４件）には、いったい何があるのか。以下が１４件の事故の詳細である。