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JR東日本 自動起床装置で目覚める24時間拘束の激務

情報提供
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B 不良企業予備軍
(仕事2.5、生活2.7、対価3.2)
 ある若手社員は昨年、先輩から「運転士やるらしいね」といきなり言われて驚いた。事務系総合職のキャリアパスが、現場経験重視となり、新卒で入ると最初の5年ほどは、駅業務、車掌、運転士をひたすら経験し、異動もオフィスワークもほとんどないことが判明したからだ。2006年度時点で入社3年目までの社員が、強制的に適用されることになった。
Digest
  • ちょっと、どういうこと?
  • 徹底した縦割り組織
  • トラブルが起きても自力で解決できない
  • 社会人採用、入社後の見逃せない実態
  • リクルーターとしては言えない組合問題
  • 入社後5年は名刺さえ持てない事務系
  • 「年20日の有休を全部消化している」
  • JR中型駅担当、社員の一日は24時間拘束の激務
  • 女性にはキツい現場仕事
  • 総合職は転勤族の運命
  • 管理職に昇格して1千万円
  • 会社への忠誠試す独特な穴埋め試験
  • 若い世代は全員が管理職には昇格できない
  • 乗車券は全部タダ

ちょっと、どういうこと?

今後の事務系キャリアステップは、事実上、以下のとおりだ。入社後、共通研修3ヶ月→駅に配属し、駅業務を1年→その駅がある地域で、車掌を1年→その地域で運転士を1~2年弱。そして、その駅がある地域の支社でオフィスワークを数年。新卒で入ると、これで30才くらいになる。この間、地域間移動はなく、確実にその地域に住み続けることになる。

ここで言う地域とは支社レベルのことで、最初の配属先は、JR東管内の盛岡、秋田、大宮、仙台、新潟、水戸などの関東以北の支社が半分、関東地方内が半分、といったところである。

「JR東海などに比べても、支社にあがるまでに総合職が現場にいる期間が長くなった訳ですが、学生に対してそのことをあまり言わないのが、正直、ちょっと、どういうこと?と思いました」(若手社員)

支社勤務の時点で助役試験を受け、受かると、また現場に戻って、今度は、車掌業務や駅業務の管理業務を行う。ここまでは、事務系総合職は全員が同じキャリアパスだ。現場で2年ほどやり、30代前半で、違う支社に異動するか、または本社へと異動していく。本社には、生涯のうちで、一度も行かない人もいるという。

異動先で「助役」を数年経験し、30代半ばに副課長に昇格できれば、もはや総合職が現場に配属されることは、ほぼないと思ってよい。

徹底した縦割り組織

同社は、総合職をポテンシャル採用と呼び、ここ数年は、180人ほどを採用。うち150~160人が鉄道部門採用で、残りが生活サービス部門採用である。鉄道部門は、事務系は3割程度(ほとんどが学部卒)、残りが技術系である。生活サービス部門は基本が文系だが、文理を分けておらず、最初の配属は、事業創造本部か、子会社である。2008年4月の入社予定は、全体で200人程度と発表されている。

これがいわゆるキャリア組で、それ以外に、鉄道事業配属(つまりノンキャリ)として、社会人も含め約1,200人を採用している。ノンキャリも、「だいたい大卒、専門学校卒、高卒がそれぞれ3分の1ずつくらいと、高学歴化している。MARCH卒とかでも普通にいる」(若手社員)という。大学進学率が上がった今となっては、高卒だけで1,000人も採るというのが現実的ではないのだ。

キャリア組のほうは、文理ともに推薦制度はなく、技術系は伝統的なリクルーター制度を未だに続けている。それ以外(事務系と生活サービス部門)はオープンではあるが、学歴重視。実際に技術系でリクルーターをやっている中堅社員によれば、技術系はほとんど院卒で、会社としては、仕事柄、列車の制御などにかかわる電気関係を専攻している学生を多く採りたい意向だという。

技術系は完全な部門別採用で、人数は例年、電気40~50、機械20弱、土木40~50、建築10~20を採っている。早稲田大、慶応大、東京理科大、東工大が多く、地方の国立大なども1人ずつ、様々な地域から採る。「自分が卒業した大学の学生を20~30人割り当てられ、学生に会って仕事内容などの説明をします。だいたい7~8割の学生を、次の面接のプロセスに上げている。ヘルメットをかぶって現場に出るといった泥臭い話もするので、説明の後で学生側から断られることもありますが…」(リクルーター)

事務系と技術系では完全に別会社みたいなもので、普段は、まったく会うことすらない。それはまだしも、同じ技術系の部署の間でも、一切、人事異動はない。技術系において特筆すべきは、その縦割ぶりである。電気、機械、土木、建築といった部門よりも、さらに細かい組織に分かれており、たとえば電気のなかでも、さらに「電力線」と「信号制御」に分かれ、両者の人材の行き来すら、全くないのだ。

機械も「車両」「輸送」「設備」などに細分化される。最初に配属された細分化された組織の外には、生涯出られない。「異動の機会がほとんどないので、技術系の同期で1人、行きたいところにいけなくて、1年目に辞めた人がいました」(若手社員)

トラブルが起きても自力で解決できない

技術系で入ると、最初の3ヶ月は支社で現場業務を見て学び、その後、専門研修を経て半年後に正式配属となる。その後も、1~2年目は2週間に1度の研修がある。最初は各支社にある縦割り組織の出先に配属され、2~3年ごとに地域間異動を含むバラバラな異動がある。早くて入社5年目くらいから本社へ異動する人もいるという。

運転士を経験するのは、技術系では「機械」のなかで車両を担当するグループの、さらに半分くらいの人たちだけ。つまり、事務系のほぼ全員が運転士を経験するのに対し、技術系のほとんどの人は経験しない。

仕事内容は、設備のメンテナンスを担当する部署にいても、現場2割、事務所8割ほどで現場での仕事は少なく、基本的には管理者としての仕事が多い。支社では、今ある設備の取り替え工事の計画を作ったり、事故が起きたときの緊急対応をしたり、夜間工事の際に安全のために電気を止める手配計画を作成する。

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上:社員の年齢別人数構成(2007年4月時点)
下:社員の状況(2006年4月時点、会社発表資料より)

JR本体の社員は、民営化後のリストラで大幅に減らしてきた。鉄道事業は2005年で46,800人となり、昭和62年から35%も減らしている。実際に現場で作業を行うのは、JR東日本が大株主となっている「日本電設工業」の社員などだ。

また、機器の設計も、メーカーや施工業者に頼るためブラックボックス化し、たとえば信号トラブルが起きてもJR東日本は自力で解決することができない。

線路の取り替えなどもグループ会社が担当。本体の社員は現場業務を把握していないため、復旧が遅れる。新大久保-高田馬場間で線路の隆起があり、山手線が約5時間半運休する(2006年4月)など、トラブルが目立っている。「グループ会社に丸投げでプロパー社員はよくわかっていなくて、問題になっている」(若手社員)。

しかも、施工会社の現場業務は3K職場で、若い人はすぐに辞めてしまう。グループ会社に、若い人が入ってこない。「いるのは50過ぎのおっちゃんばかり。鉄道のメンテは、鉄道が走っていない深夜~明け方しかできないため、20日連続でやったりすると、ほとんど家に帰れない。50代が抜けたあと、本体の若い人にはスキルがないので、問題になるのでは」(中堅社員)。社内でも、今後を不安視する声が強いという。

担当者レベルでは、細かい仕様検討を行う。入社7~8年目で

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JR東日本のキャリアパス

上:社内試験対策で配られる穴埋め方式のペーパー。社内の話が中心で、汎用性のない問題ばかりだが、答えは1つしかない。グループ経営計画や行動指針、社内の定期刊行物、社内規定などをしっかり読み込んで覚えているかを試される。下:昇格試験の案内パンフ

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jiangmin-alt2011/05/11 06:07

そうかー、埼玉は東北地方なのかー。

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レチ2011/07/16 10:58
産経ニュースより2011/07/01 14:57会員
bb2009/02/13 00:14
・・・2009/01/26 12:05
よく考えな2008/11/01 23:01
とんきち2008/02/01 02:51
・・・2008/02/01 02:51
↓こういうことだろう2008/02/01 02:51
いやいや2008/02/01 02:51
世間知らずな。。2008/02/01 02:51
そらそうよ2008/02/01 02:51
2008/02/01 02:51
甘いね2008/02/01 02:51
甘いね2008/02/01 02:51
別に2008/02/01 02:51
え~2008/02/01 02:51
社風2008/02/01 02:51
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