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民主党“電波特定財源”の甘い事業仕分け 誰がやったのかも分からない研究や業界の御用学者に138億円バラマキ

情報提供
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6月4日に開催された公開事業レビュー
 総務省内の事業仕分けとして、独自財源「電波利用料」収入から13年間で138億円もの予算が投じられた電波の安全性に関する調査事業にメスが入った。外部委員から「研究費のばら撒きでは」といった意見が出て「廃止を含めた全面的見直し」の結果に。だが次年度概算要求では、体質も構造もそのままで25%減の9億円も要求している。研究者名すら非公開だったり、研究者と企業の利益相反もチェックされないなど、ずさんな中身は放置されたままだ。省の予算として聖域化した“電波特定財源”に切り込み、安全性の検証事業を総務省から独立させるなどの抜本的な仕分けが必要である。
Digest
  • 12年で総額138億円かけた電波の安全調査事業
  • 「基準緩和のための研究と判断されて結構です」と総務省
  • 「予算ばらまき型の研究ではないか」仕分け人
  • 公募制とは形だけのズサンな研究体制
  • 「廃止を含めた全面的見直し」にも次年度9億円の概算要求
  • 利用促進のための安全性検証では意味が無い

12年で総額138億円かけた電波の安全調査事業

蓮舫議員の「2位じゃダメなんでしょうか?」発言をはじめ、世間の注目を集めた事業仕分けが国民に好評だったため、各省庁内でも同様の「行政事業レビュー」が進んでいる。

各省単位で副大臣をリーダーとした予算監視・効率化チームを作り、21年度の予算の執行状況について外部委員を入れて自己点検する。その模様はネットテレビなどで公開される。

総務省の行政事業レビューの一つに「電波の安全に関する調査事業」が仕分けの対象にあげられた。この事業の問題点は、mynewsjapanでも何度も紹介してきている。

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電波の安全性事業には1999年から毎年10~15億円程度が支出され、2010年までに総額138億3千万円も支出されている。それが本当にきちんと使われているのかということの検証だ。

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画像1:事業レビューシート。お金の流れがよくわかるように整理されている。

見直しの対象となった事業に対しては、担当部局が自己点検したレビューシートが作成される。そこでは予算がどこにわたり、何に使われているかを、わかりやすくまとめてある。電波の安全に関する調査事業のレビューシートが画像1だ。

レビューシートを見ると平成21年度の総事業費11億3000万円は、大きく3つの事業で構成されていることがわかる。ひとつは生体への電波の影響を研究する部門で3億800万円。テレコム先端技術研究支援センターという財団法人に委託され、公募により研究者へ支払われている。

ふたつめは、そうした安全性の研究に必要な評価技術の開発やデータ収集の事業で、6億6400万円。さらにペースメーカーなど医療機器に対する電波の干渉による影響を調べる事業が1億5700万円。後の二つは、民間企業や公益法人が受注している。今回この記事で特に問題にするのは、最初の研究に関する部分だ。

 レビューシートに基づき、6月4日に外部の有識者を交えて公開の場での検証作業が行われた。その模様はニコニコ動画の生放送などでも放映されたが、現在でも政府の インターネットテレビ で閲覧できる。

公開レビューではまず、担当部局である総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課 課長の岡野直樹氏と、外部委員で弁護士の水上貴央氏の間で、事業の目的についてのやり取りがあった。要約すると以下の通りだ。

「基準緩和のための研究と判断されて結構です」と総務省

水上貴央氏「事業の目的があいまいで、そもそも電波が安全かどうかわからないから調査しているという話なのか?電波は安全なのだけど不安に感じている人がいるから調査するという話なのか?今後基準を変えるために調査しているのか?… つまりは何なのか?」

岡野課長「

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画像2:H20年度の研究課題と金額と研究者名の一覧。公募にもかかわらず、8割以上が課題を選択する検討会の委員で占められている。

3、「廃止を含めた全面的な見直し」という結果になった

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