近未来シミュレーション小説「国債バブル崩壊後の社会」 (完)
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暴落後の世界をリアルに描いた 『週刊東洋経済』3/28発売号の『老人が泣き 若者が笑う』最後のくだり。全6頁。 |
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- 官営の「年金老人村」
- Uターン
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- 幻想のキャリア
- 最後のリーダー
- 悲惨な内需型企業
- ボロ儲けする輸出産業
- 「Invest Japan!」プロジェクト
- “適正化”進む報酬水準
- 縮まる世代間格差
- 「戦後」が終わった
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官営の「年金老人村」
暴落から半年がたった2014年3月。1ドル=200円が定着し、既に半年前に比べて、平均物価は50%も上昇していた。インフレになると、外貨や金(ゴールド)に資金が逃避する。一番苦しむのが、「資産は日本円の預貯金だけ」で「収入は定額の円通貨だけ」という人だ。実質価値が目減りするからである。
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生活を直撃したのは、年金だけが頼りの、お年寄りだった。物価は5割上がっても、年金支給額は上がるどころか、財源がないために3割カットが強行されていた。家賃を払えなくなった老人が路上生活者となり、ネットカフェや漫画喫茶に老人が入り浸る光景は珍しくなくなり、「ネットカフェ老人」が社会問題化した。
日比谷公園には「年金老人村」が出現し、ボランティアによる炊き出しと、テント生活を余儀なくされる老人たちで溢れ返った。村長の湯深誠は、田舎の廃校になった小中学校を改造して年金生活者向けの住居として格安で提供することを提案、政府も了承した。
「官営の貧困ビジネスだ」との批判もあったが、会社の寮のように、年金の大半を天引きする代わりに最低限の食糧と住居を与え、より多くの食糧を得たい人には、周囲の田畑で農作業をさせて自給自足を促す。老人の田舎への集団移住が始まり、巣鴨の地蔵通りも閑散となった。
住宅ローンを抱えたサラリーマンは、「変動金利」と「固定金利」で明暗が分かれた。変動組は金利が上がったことで、返済額はほどなく1.5倍に膨れ上がったが、給料は上がらない。インフレで生活費支出のほうも5割増だ。40代50代のサラリーマンの間で、住宅ローン破産者が続出した。逆に、固定金利で借りていた人は借金が目減りした。
破産の急増に加え、失業率も20%超で高止まりし、移住拒否して生活苦を受け入れる老人も増え、ほどなく自殺者数は年6万人規模に跳ね上がった。経済破綻した韓国でも2009年までの10年で自殺者数が2倍(1万5千人超)に増えたことを考えると、不思議なことではなかった。
もともと、貯金も株もローンもなく、失うものがない若者、なかんずくニートや学生、非正規社員は、生まれたときからの不況で対応力が身についている。さらに「草食系」の度合いを増し、「冬眠系」と呼ばれるようになった。なるべく何もせず、消費を抑え込み、身をひそめて事態の推移を見守るのだった。
Uターン
2014年6月
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読者コメント
今の40代~60代の頃は仕事すればするだけお金貰えたし未来もあったけど今の若い世代に未来なんて無いからな。よくて一生給料あがらない奴隷生活
やるだけ無駄なのに精神論根性論アホくさ。それでもリーダーが不始末の責任取るならまだやる気も起こるが
マスゾエ見れば解るとおり日本の老害どもは自分の失策の責任を取る気などさらさらない。ただただ己の欲望を満たす為に日本のパイを食い尽くす
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2011年5月31日、日本国債の格付けを現在の「Aa2」から引き下げる方向で見直しすると発表した。
橘玲さんも近未来シュミレーション小説を書いていました。円安というのは大きな共通点。やはり今は円高過ぎるのだろう。
藤巻健史氏は国債の未達を去年TVでも言っている。高橋洋一教授はバランスシート上は破綻ではないが、早く手を打つべきと警告。民自大連立は増税策で、日本経済を壊滅させるつもりだ。若年層はその方が良いと思うか?
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