四電に高知県議会歴代議長ら17人が「株主役得型」天下り 関電には大阪市幹部7人天下り
四国電力の役員に、高知県の歴代議長や幹部が就任してきた。1973年に議会で問題になり、以降は中止となった。長年にわたって自民党の役得ポストだったことを裏付ける73年3月19日議会運営委員会の議事録 |
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- 四国電力には高知県議の役得ポスト
- 地方自治法117条違反(利害関係議員の除斥)の疑い
- 「ケースバイケース」理由に回答拒否の四電
- 役員退任時期も「お答えしません」と四電
- 関西電力には吉村元志・財政局長らが役得獲得
- 不正まみれの大阪市財政局と、土肥検事総長、関電
四国電力には高知県議の役得ポスト
四国電力(本社・高松市)の有価証券報告書によれば、株主比率は次のとおりである。
① 日本生命 4.06%② 伊予銀行 3・88%
③ 百十四銀行 3・88%
④ 住友共同電力 3・10%
⑤ 高知県 2・73%
⑥ 日本トラスティ・サービス信託銀行 2・30%
⑦ 日本マスタートラスト信託銀行 2・22%
⑧ 四国電力従業員持株会 1・93%
⑨ 明治安田生命 1・75%
⑩ 四国銀行 1・21%
高知県は持株比率5位の大株主だ。そして役員名簿をみると高知県議会議長の名前が続々と登場する。
◆ 高野源吉 1970年~71年、取締役。議長(自民党)
◆ 井上六助 1969年~70年、取締役。議長(自民党)
◆ 泉清利 1967年~69年、取締役。議長(自民党)
◆ 宮本迪 1966年~67年、取締役。議長(自民党)
◆ 野中慶太郎 1965年~66年、取締役。議長(自民党)
◆ 小松重喜 1964年~65年、取締役。議長(自民党)
◆ 岡林秀起 1963年~64年、取締役。議長(自民党)
◆ 近藤正弥 1962年~63年、取締役。議長、元大阪府警吹田署長(自民党)
◆ 田村良平 1960年~62年、取締役。議長(自民党)
◆ 仮谷忠男 1958年~60年、取締役。議長(自民党)
◆ 畠中芳雄 1957年~58年、監査役。議長(自民党)
◆ 松岡頼道 1956年~57年、取締役。議長(県政クラブ→自民党)
◆ 山中傳 1955年~56年、取締役。議長(自由党→自民党)
◆ 岡村三省 1954年~55年、取締役。議長(自由党)
◆ 横山徳郎 1952年~54年、取締役。議長(民主自由党)
四国電力創業の翌年にあたる1952年から1973年まで約20年間にわたり、役員になった県議会議長は16人を数えた。このほか高知県出納長だった菊池春雄氏が1960年5月から62年7月まで監査役になっている。県幹部と県議会議長あわせて17人が四電の役員を務めたことになる。
県民の代表などではなく、株主の立場に便乗した役得ポストだったことは1973年当時の議事録からも明らかである。
1973年3月13日、高知県議会本会議。これに先立って県議会は、四国電力に売却していた水力発電の電気について、料金を改定する内容の議案を議決していた。ときの議長は市原芳郎氏で、四国電力取締役の地位にあった。つまり、四電取締役が議長を務める県議会で、四電の電力買取価格を決める議決をしたことになる。
さらに同様の問題は四電関係だけではなかった。市原氏は高知県信用保証協会の会長も兼任していたのだ。そして県議会は、高知県が信用保証協会に資金を出す旨の議決を行っていた。
地方自治法117条違反(利害関係議員の除斥)の疑い
地方自治法117条は次のように定めている。
株主の高知県の幹部や議長に役得ポストを提供してきた四国電力(上)。原子力安全=保安院の元首席統括審査官・中村進氏は東日本大震災後、常務に昇任した(下)。 |
第117条 普通地方公共団体の議会の議長及び議員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。但し、議会の同意があつたときは、会議に出席し、発言することができる。
つまり、議長や議員は自分と利害関係のある議決には参加できない、となっている。市原議長が利害関係人になっている以上、四国電力や信用保証協会に関する県議会の議決は違法・無効ではないか
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四国電力に役員の退任時期を尋ねたところ、「ケースバイケース」として取材拒否した。それほど非常識で閉鎖的な企業が伊方原発という危険な施設を動かしている(四電『伊方だより』より)。
大阪市の幹部OBを役員採用し続けている関西電力(中央の高いビル)。
関電に役員を出し続けている大阪市。歴代財政局長のポストでもあったが、同局は不正経理など汚職や疑惑に揺れた過去を持つ。
外郭団体にいったん天下り、時間を置いてから関西電力に行くのがお決まりの経路だった。こうすれば関電に再就職したことが表向き見えない。現在関電監査役をしている吉村元志・元財務局長も大阪市開発公社社長を経て関電役員になった。
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