11月24日のNHK朝イチ。セシウムの測定値と、測定値ゼロという表示は訂正された。
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食事からの放射能汚染調査を行なっているNHKの「あさイチ」。11月24日にようやくデータの間違いを認め、一部訂正の速報を放送した。しかし訂正後も様々な疑問は残っている。唯一検出されたことになる目黒区一家の「セシウム137」の値についても、福士正弘教授から入手した訂正後のデータを検証すると、セシウムの検出限界設定値が不自然に高すぎたり、重量補正を約100倍も間違えていたりと、杜撰な測定体制が明らかになった。別の専門家からは「お粗末過ぎる。最初からやり直すべき」との意見も出ている。NHKは12月15日に再検証の結果を放送するとのことなので、放送前にこれらを問う再質問状を出すことにした。
【Digest】
◇NHKようやく一部間違いを認めるが…
◇目黒区一家のセシウム137の発生源は何か?
◇事故以前の平均値の100倍以上の高濃度検出
◇福士教授のデータから垣間見える測定体制のズサンさ
◇「セシウムの検出限界は高すぎる」中地重晴教授
◇「別の研究者に依頼して全面的にやり直した方がよい」
◇NHKの責任を再質問
◇NHKようやく一部間違いを認めるが…
筆者が質問状を出すなどして不自然な点を指摘してきたNHK「朝イチ」が、その間違いの一部をようやく認めた。11月24日の放送では、10月17日に放送された「放射能 食卓まるごと調査」での数値の訂正を行なった。
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番組HPに記載されている訂正事項。セシウムの値については訂正。カリウム40についてはまだ検証中。 |
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番組ホームページに記載された訂正後の値(左図)では、「セシウム134」が検出されたケースは全て不検出に改められた。「ビスマス214」という別の放射性物質との間違えであったのだという。
また検出限界ゼロという表示についても訂正され、不検出の場合の検出限界は大体5~7ベクレル/kg程度であることが明示された。
しかし、水道水からミネラルウォーターの1千倍の濃度で検出された天然の放射性物質「カリウム40」の値については再検証中で、詳細は12月15日に放送予定だという。
筆者が10月29日の記事で指摘した問題点のいくつかは訂正されたものの、それでもなお様々な疑問点は残ったままだ。
◇目黒区一家のセシウム137の発生源は何か?
訂正の結果、今回の調査で検出されたのは目黒区の島田さん一家の「セシウム137」の1件だけとなった。そのセシウム137は、どこから出てきたものとなるのだろうか。
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セシウム137が検出された目黒区島田さん一家の9月28日の献立。 |
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セシウム137が検出された9月28日の島田さん一家の献立が、右図だ。特段汚染源と考えられる食材は使われていない。
前回も指摘したが、今回の原発事故が原因であれば同時にセシウム134も検出されているはずだ。福島第一原発から放出されたセシウムは、セシウム134と137が1:1の割合。多くの食品の測定結果のほとんどでも、セシウム134と137の両方が検出されている。
半減期が2年と短いセシウム134が検出されず、30年と長いセシウム137だけが検出された場合、その発生源は、1986年のチェルノブイリ事故やそれ以前の核実験のフォールアウト(死の灰)などが原因.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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日常食のセシウム濃度の経年変化 |
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セシウム137が検出された目黒区島田さん一家の9月28日の測定データの一部。赤線は筆者。 |
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